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[国体少年男子]同点優勝ではなく、単独Vを取りに行った神奈川県、最近10年間で5度目の全国制覇!

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優勝を決めた神奈川県が平塚次郎監督を胴上げ。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[10.5 国体少年男子決勝戦 広島県 0-1(延長) 神奈川県 西条市ひうち陸上競技場]

 前回王者・広島県とのファイナルは0-0のまま延長戦へ突入。国体の決勝戦は「延長戦において勝敗が決しなかった場合、両チーム優勝とする」という規定があるため、このままのスコアを保てば優勝が決まる。
 
 だが、平塚次郎監督(湘南)によると、神奈川県は延長戦の際に「同点優勝は嫌だ。取りに行こうと言っていた」のだという。同点優勝ではなく、最後まで勝利を目指した結果がFW宮城天(川崎F U-18、1年)の決勝PKを引き寄せ、単独では3大会ぶりとなる優勝(15年大会は福岡県と同点優勝)を勝ち取ることに繋がった。

 主将を努めたMF 柴田徹(湘南ユース、2年)は勝因について、「自分たちがやってきたことをやり続けられたことと、最後までみんな声を掛け合って走り続けられたところだと思います」と分析する。狭い局面を連動したパスワークで打開するなど、個、技術力の高さは大会トップクラス。その上手さだけでなく、逞しさをチームは求めてきた。

 決勝の後半はかなり相手にセカンドボールを拾われ、自陣ゴール前まで攻め込まれていたが、この日は高さだけでなく下のボールに対しても強さを発揮していたCB和田昂士(横浜FMユース、1年)やCB小林夏生(横浜FMユース、1年)らが身体を張った守り。危険を察知した柴田徹が左から逆サイド寄りの位置まで顔を出してディフェンスするようなシーンもあった。そして延長後半にスプリントで相手に勝った宮城が決勝PK。それぞれが勝つために走り続けて勝ち取った勝利だった。

 昨年3位の悔しさを知る右SB島崎元(川崎F U-18、2年)は「去年は大阪戦で負けたけれど、今年はその大阪戦も勝てて、それも自分たちの力を見せつけて勝てて、決勝も去年優勝している広島ということで、去年自分たちよりも上の成績を出しているチームに対してリベンジという気持ちで臨んで勝てて良かった」と前回大会で自分たちを上回ったチームに雪辱して王座を奪還したことに胸を張る。

 試合後、選手たちの手によって胴上げされた平塚監督は神奈川県の2種(高校年代)から4種(小学生年代)までのチーム、選手、指導者たちの勝利であることを強調する。「その方たちのためにもしっかりやろうと言ってきた」。これで、神奈川県は最近4年間で3回目の全国制覇。同10年間でも優勝5回、4強以上7回と強さを継続している。今後、選手たちは各チームに優勝した経験を持ち帰り、所属チームの日本一、個人としては日本代表やプロ入りなどの新たな目標達成を目指す。

(取材・文 吉田太郎)
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