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堅守と勝負強さ。強み表現した地元・茨城県が徳島県に1-0勝利!

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前半12分、茨城県はFW淵上涼太(鹿島ユース、10番)が先制ゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[9.29 国体少年男子1回戦 徳島県 0-1 茨城県 北海浜多目的球技場]

 地元の期待を背負う茨城県が初戦突破! 第74回国民体育大会 「いきいき茨城ゆめ国体」サッカー競技少年男子の部が29日に開幕。1回戦で開催県の茨城県と徳島県が対戦し、茨城県が1-0で勝利した。茨城県は30日の2回戦で静岡県と戦う。

 茨城県が強みである勝負強さを発揮した。茨城県は主将のCB福原陽向(鹿島ユース、1年)ら鹿島ユース勢8名と鹿島学園高2名、明秀日立高1名による先発イレブン。一方の徳島県は主将のMF藤田樹(徳島ユース、2年)をはじめ、先発11名を全て徳島ユースの選手たちが占めた。

 GK、最終ラインから徹底してショートパスを繋ぎ、小さな局面を正確な技術とコンビネーションで打開しながら前進する徳島県に対し、茨城県はFW飯塚輝(鹿島ユース、2年)とFW淵上涼太(鹿島ユース、1年)の2トップを中心とした前線からのプレッシングで対抗。MF中熊岳琉(明秀日立高2年)やMF村山剛琉(鹿島ユース、1年)のダブルボランチがFWの動きに呼応して前に出る。そして、相手のキーマン、藤田らのパスコースを遮断するなど徳島の攻撃のリズムを狂わせることに成功した。

 立て続けに高い位置でボールを奪う茨城県は、右サイドでキープ力や効果的な仕掛けを見せたMF伊藤龍之介(鹿島ユース、1年)やエネルギッシュな攻め上がりが印象的な右SB山口諒真(鹿島ユース、1年)を活用した攻撃などからチャンス。前半12分にはMF山口永遠(鹿島学園高1年)が中央で獲得したFKを伊藤が右足で狙う。右隅を突いた一撃は徳島県GK久保力輝(徳島ユース、1年)が横っ飛びして弾いたが、こぼれ球をフリーの淵上が右足で押し込んだ。

 中熊が「関東トレセンマッチや国体前の合宿でも前線からのプレスは意識できていて、前日のミーティングでも前からのプレスだったり、プレスから撤退する場面について結構話し合っていた」と説明するように、茨城県は前からの守備と重心を下げた際の守りを使い分けながら安定した守備。選手同士で共通意識を持ちながら守る茨城県がその後も主導権を握り、サイド攻撃やセットプレーから追加点を狙う。

 対して、徳島県は飲水タイム直後の21分にFW片山寛人(徳島ユース、1年)がフィニッシュまで持ち込むなど反撃したが、なかなか決定打を放つことが出来なかった。後半、徳島県はスペースへの配球など攻撃に変化を加える。そして、ボールを保持する時間を増やしたが、茨城県も対応してカウンター攻撃からチャンス。16分には山口諒の右クロスから交代出場のMF溝口修平(鹿島ユース、1年)が決定機を迎える。

 1点差のまま食い下がった徳島県は、選手交代から反撃のギアを上げる。スペースへ上手く抜け出すFW梅本翼(富岡西高2年)や突破力のある右SB森下翔(小松島高2年)を加えて攻撃のバリエーションが増加。そして、終盤にかけて徐々に存在感を増していたMF藤崎琉依(徳島ユース、1年)がDFをかわしてシュートをまで持ち込んでいた。

 茨城県は後半、体力が落ちてプレッシングがかからなくなってきていた。それでも、鹿島ユースの選手たち中心に構成された茨城県は、ハードワークを貫き、ゴール前で諦めずに身体を張り続ける。鹿島ユースの先輩たちからの声援も受ける中、苦しい時間で踏ん張り、逆にFW松村尚樹(鹿島学園高1年)のポスト直撃シュートなど2点目のチャンスを作り出していた。その2点目こそ奪い取ることはできなかったものの、福原やCB小林栞太(鹿島ユース)中心に全員で守り切って1-0で勝利。初戦突破を果たした。

 開催地のプレッシャーを乗り越えてまず1勝。茨城県の内野弘監督(麻生高)は、「見えない重圧があったと思う。選手たちが良くやってくれた。この子たちは勝負強さを鍛えられている。アイデンティティーは茨城の強みだと思います」とタフなゲームを勝ち切った選手たちの気持ちの強さ、勝負強さを讃えていた。

 ここから地元で躍進することができるか。中熊は「前からの守備だったり、声を出して雰囲気を持ってていくところが今の茨城らしさだと思っているので、これからもやっていきたいです。最初から自分たちは全国制覇を目指しているので、次も良い形で勝って、良い流れに持っていきたいです」。この日、まさに“アントラーズスピリッツ”と言えるような勝利への執着心や献身性を表現して勝利した茨城県は、最多優勝回数を誇る静岡県との2回戦でも自分たちの強みを発揮して白星を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」特集

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