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「アドレナリンも出ずに」…大阪体育大DF菊池流帆は無念の負傷

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[8.10 総理大臣杯準々決勝 明治大3-0大阪体育大 ヤンマースタジアム長居]

 悔しすぎる終戦だった。大阪体育大明治大に0-3で敗戦。先発した大阪体育大DF菊池流帆(2年=青森山田高)だったが、開始25分過ぎに右足を痛めた影響で後半6分に途中交代。試合後は無念な思いを露にした。

「本当に悔しい……もう何て言えばいいかわからないですが、とにかく怪我が悔やまれます」。やりきれない思いでいっぱいだった。チームは前半18分にオウンゴールで失点。1点を追う展開となる。そこから追いつき、逆転したいところだったが、約25分過ぎのセットプレー時に菊池は右足首を負傷した。

 治療のために一旦はピッチ外へ出たものの、すぐに戻った。熱きCBは痛みを感じさせることなく、果敢に戦った。“通常営業”でヘディングでボールを叩いては「よいしょー!」の声。「それしかないので」と痛みをこらえ、叫んでは戦った。

 0-1のハーフタイムにはテーピングを巻き、戦うべくピッチへ立ったが、後半5分には2失点目。直後に菊池は交代した。その1分後にチームは3失点目を喫して0-3で敗れ、4強入りは叶わなかった。

 菊池が痛めた右足は、全日本大学選抜として臨んでいた今春のデンソーカップチャレンジで痛めた箇所と同じ場所。全日本を外れる原因となった右足首を、日本一を目指すと誓った大臣杯で再び痛めるという残念な結果。2年生CBは「またか……」とうなだれる。

 とはいえ菊池は今大会で攻守に渡って、その存在感を示したのは違いない。CBながら攻めては1回戦、2回戦と連続ゴールも記録。守っては身体と声を張ったプレーで相手を威圧した。

 チームメイトで同級生のMF浅野雄也(2年=四日市四郷高)は「彼は本当に一番気持ちが入っているので」と菊池を称え、「流帆が抜けてからの対応力というか、失点を重ねて集中力が切れたのが(0-3の)原因なのかなと思います」と語るとおりだ。チーム内において、菊池の存在感は大きい。

 無念のCBは「戦ってはいましたけど、アドレナリンも出ずに終わりました」と唇を噛んだ。大学2年目の夏は不本意な形で幕を閉じたが大学生活は、まだ折り返し地点にも来ていない。まだまだ菊池流帆の戦いは始まったばかり。悔しさや、言葉も見つからないやりきれなさ、そんな想いの全てがCBとしての糧になる。ここからまた次のステージへ。声張るDFの挑戦は続く。

(取材・文 片岡涼)
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