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「THE CHANCE」ジャパンファイナル終了後の国内スカウト統括・風間八宏氏コメント

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 ナイキジャパンは22日、世界で戦える若きフットボールプレーヤーを探す世界規模のスカウトプロジェクト「THE CHANCE」のジャパンファイナル2日目を行い、初日の1次選考を突破した26名が参加。午前中に7対7などを行った後、午後には埼玉スタジアム2002でファイナルマッチを実施し、国内スカウトを統括する風間八宏川崎フロンターレ監督と内藤清志筑波大ヘッドコーチ、小林大輔筑波大コーチの各選考委員からの評価を勝ち取ったFW木下稜介(滝川二高)とDF冨澤右京(桐蔭学園高)、MF山之内優貴(鹿児島実高)の3選手が、8月19日から26日までスペイン・バルセロナで開催される「グローバル・ファイナル」進出を決めた。

以下、風間監督のジャパンファイナル終了後のコメント
―「THE CHANCE」に挑戦した選手たちに、どのような印象・感想を持たれたか?
「自分たちでチャンスを掴もう、ということが凄く伝わってきました。よく『日本の選手はおとなしい』とかいろいろなことが言われますけれど、全くそういうことはなくて。それぞれが初めての選手たちとプレーする中でも、どんどん自分たちを出して、協調して、良さが凄く出ていた。非常に有意義な2日間だったと思っています」

―新たな発見、驚きも
「これだけの選手たちがこれだけの強い気持ちできているというのは新たな発見ですし、前回大会に比べれば、本当に洗練されたというか、全国から時間を見つけていい選手たちが集まってくれたと思います」

―選ばれた3選手について。まずは木下選手について
「3選手ともに言えることなんですけど、彼の場合、身体的に特長があるということ。そして伸びしろですよね。まだまだ幅が広がっていくでしょう。幅というのはボールの届く範囲もそうですし、視野も広がるんじゃないかと思う。楽しみな選手かなと思います」

―続いて冨澤選手について
「彼は多少後ろに弱点があるんですけど、前に物凄く速いこと。また重複してしまいますけれど、この3人に言えることはボールがしっかりと扱えることですね。ですから、ボールを持って自信がある。それが我々に凄く伝わってきたということです」

―最後に山之内選手について
「彼はまだまだこれからというところもある。今の段階では他の選手の方が良かったかもしれませんが、彼は自分の身体能力も含めて凄く伸びしろがあるんじゃないか。また気持ちを表現することが非常に上手くできていたと思います。この3人は我々の目にぐっと入ってきたということが共通点ですね」

―日本人選手が海外で活躍するために必要なことは
「彼らは十分にそれだけのものを持っていると思いますけれども、ひとつはフィジカル的なもの、スピード、それから体格もありますし、そのへんの特長のある子たちですよね。あと、状況判断の良さ。このへんをしっかりと掴んでいってもらいたい。ドリブルできればいい、パスができればいいという世界ではないですから。相手をどう倒すか。そのためにどんなプレーが出来るのか。当然、技術の種類も必要ですけれども、その中で常に多くの判断、多くの判断材料を持っているということが重要だと思いますので、そこのところはしっかりと相手を見ながらサッカーをやってきてもらいたいと思います」

―彼らのプレーで世界は驚くでしょうか?
「ぜひ驚かしてもらいたい。前回もあと一歩のところまで何選手かいきましたので、彼らにはきょうくらい自信を持ってやってもらいたい。そして自分たちの強さ、特長を出してほしいと思います」

―ファイナルへ進む彼らにもう一度メッセージをお願いします
「ここでのプレーは素晴らしかったですから、向こうの言葉の分からない国、あるいは慣れていないところもあるでしょうけれども、その中でも堂々と自分を出してもらいたい。一番は自分が望むこと。これができれば、この3人は十分に大きなチャンスを持っていると思いますので、頑張ってきてほしいと思います」

―選手でボールタッチの上手いことが多いように感じましたけれども、この年代のボールタッチの重要さとは?
「自分の特長を生かせるか、ということ。例えば、自分のスピードがあるとしたら、そのスピードにしっかりとボールがついてくるかどうか。逆にスピードを上げるだけでなく、ボールと一緒に動きながらその最速を求めていく。もちろん、パスのスピードもそう、また止めてから動くまでもそうですけど、やっぱり上手くスムーズにボールを運べるかということが重要なポイントになると思いますので、スピードとボール技術が一緒になっているかどうか。そういうところでもこの3人は非常に良かったと思います」

―落ちてしまった子に対してきょうからがチャンスとおっしゃっていましたけれども、このセレクションで彼らが掴んでほしいことは
「特にはないです。というのは何かというと、ほとんどの選手が“彼らの顔が見えた”。組織の中に埋まっている選手はひとりもいませんでしたから。そういう意味では我々も非常に選考が難しかったです。その中で今の段階で選んだだけですから、(落選した)彼らにも十分にチャンスはありますし、皆さんも見てもらったと思いますけれども、非常に質の高いプレーを見せてくれていましたので、大いに期待したいと思います」

―今回、この企画に参加せずにウズウズしていた選手もいると思いますが、彼らが前に一歩踏み出すために必要なこととは?
「こういうイベントはどんどんどんどんやってもらいたいなと思いますし、いろいろなところでこういうことがあれば刺激になる。それはもう当然ですよね。周りは、どんどんこのような刺激をつくって、日本のサッカーを盛んにしてもらいたいと思います。もう、今はJリーグも含めて世界中がサッカーをすることができるところですから、『自分が何を目指すか』しっかりした目標を持ってそのために努力してほしいなと思います」

(取材・文 吉田太郎)

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