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スパイクマイスターKoheiがアディダス『COPA 19』のテクノロジーを徹底解説!フュージョンスキンって何?

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 アディダスは9日、しなやかなボールタッチを求めるプレーヤーへ向けた新スパイク『COPA(コパ)19』を発表した。類まれなテクニック、スピードでディフェンスラインを切り裂き、高精度のシュートでゴールを量産するFWパウロ・ディバラ(ユベントス)や、両足から繰り出す正確無比なパスと広い視野でゲームを組み立てるMFトニ・クロース(レアル・マドリー)など、その他多数のアディダス契約選手が着用する『コパ19』。同日、ミラノで開かれたローンチイベントで、実際に製品に触れ、デーブ・スレース(デザインディレクター)ら開発者に取材を敢行。最新のマテリアル、最先端テクノロジーが取り入れられた『コパ19』の主要機能から細部に至るまで、その本質に迫る。


 1982年のスペインW杯に合わせて登場した、アディダスのロングセラースパイク『コパムンディアル』。アッパー全体にカンガルーレザーを採用し、足なじみの良さと心地よいフィット感をもたらしてくれるアディダスの名品スパイクだ。1982年のスペインW杯でも当時の選手たちがこぞって着用し、今でも世界中のサッカープレーヤーたちから愛されているというのは“フィット、履き心地”という面において優れているというなによりの証拠である。その『コパムンディアル』を最新テクノロジーで進化させ、現代のフィッティングスパイクとして登場したのが『コパ』の成り立ちである。これまで2017年モデルの『コパ17』、2018年モデルの『コパ18』がリリースされてきたが、今回、2019年モデルである『コパ19』で機能性や素材などがフルモデルチェンジし、まったく新しい革新的なレザースパイクに進化している。


 革新性の一番のポイントは“フュージョンスキン”だ。独自の加工を施したプレミアムカンガルーレザーとニット素材をシームレスに融合させた新たなテクノロジー「フュージョンスキン」をアディダスのサッカースパイクとしては史上初めて採用。シームレスとは“継ぎ目のない状態”のことを意味し、その言葉通り、アッパーに繋ぎ目がないような作りになっていて、カンガルーレザーとニットがシームレスに一体となって構成されているのが一目で分かるデザインになっている。従来のモデルでもカンガルーレザーやニット素材が採用されていたが、カンガルーレザーとニットの繋ぎ目はむき出しだった。だが、『コパ19』は違う。カンガルーレザーとニット素材をシームレスに融合させたことで視覚的にアッパー全体が完全一体化しているのがすぐさま分かるデザインになっているのはもちろん、デザイン性だけではなく実際に履いたときにカンガルーレザーとニットの境目がまるで分からない足入れ感になっている。従来のスパイクではアッパーの繋ぎ目の硬さや段差がフィット性や履き心地にちょっとした違和感を及ぼす原因となりえたが、『コパ19』ではフュージョンスキンを採用したことによって、アッパーの繋ぎ目自体を極力なくしながらカンガルーレザーとニットの両方の柔らかさが一体となり、その相乗効果で今までにない抜群のフィット感・足なじみを生み出すことを可能にしている。これは現代のサッカースパイクにおいて“フィッティング革命”だと言えるだろう。圧倒的な柔らかさがあり、シームレス。従来のスパイクでは履いていくうちにアッパーを足になじませていくのが一般的だったが、『コパ19』では履きならしいらずで、新品の状態でも試合ですぐ使えるほどの柔らかさを実現し、足全体をジャストすぎるほどに包み込む “鬼フィット”をもたらしてくれる最先端のアッパーに仕上がっている。


 フュージョンスキンテクノロジーだけに留まらず、プレミアムカンガルーレザーの内部には“フォームパッド”を内蔵。スーパーソフトフォーム材をプレミアムカンガルーレザーのアッパーに内蔵することで上質なカンガルー皮革本来の柔軟性やしなやかさにプラスして、フォーム材によるソフトさやクッション性が組み合わさり、今までにない独特な柔らかさを実現したアッパーに進化している。アッパーはとにかく柔らかだが、ただ単に柔らかいだけではない。プレミアムカンガルーレザーの柔らかさ、そして、フォームパッドの柔らかさ、それが融合しさらにフュージョンスキンテクノロジーも採用されていることで『コパ19』でしか得ることができない感触を生み出してくれる。それによって、繊細で柔らかなボールタッチ性を発揮しながらボールが足に吸い付くようなボールクッション性ももたらし、シームレス設計によって繋ぎ目がボールタッチ時に邪魔になったりすることがない、革新的なボールタッチを可能にする。それはまさに“神タッチ”と言えるだろう。

 そして、さらにプレミアムカンガルーレザーに特殊なコーティング加工を施すことで撥水性を向上。従来モデルとの比較で吸水率を約40%低減し、雨天時などにおけるシューズ内の不快感の軽減に貢献する。「鬼フィット。神タッチ。」という面を追求しながらそこにさらに「撥水性」という機能も追加し大幅な進化を遂げた。まさに“鬼と神に金棒”だ。


 アッパー前足部エリアには内部にソフトなフォームパッドが内蔵されているが、アッパーの中足部から後足部にはやや硬度のある保形性を備えたフォーム材が内蔵されており、足全体を包み込むフィット性を実現しながら中足部から後足部は的確な安定性をもたらすことを可能にしている。これによって、抜群のフィット感と安定した履き心地が両立される、抜かりないアッパー設計を実現。


 『コパ19』では新たにレースレス(紐なし)モデルの『COPA(コパ) 19+ FG/AG』(定価33,000円)が登場したのは注目ポイントだ。『コパ』シリーズとしては初となるレースレス構造を採用したモデルが登場し、レースレス、プレミアムカンガルーレザー、ニット、フュージョンスキンテクノロジーが一体となることで足全体を一切の隙間なく包み込んでフィットするスパイクに仕上がっている。また、レースレスモデルではアウトサイド側にスリーストライプスが無い、斬新なデザインを採用。これは新しいフュージョンスキンテクノロジー、新しいマテリアル、『コパ』シリーズとしては初となるレースレスモデルという、その革新性をより強く印象付けるためにあえてアウトサイド側にスリーストライプスを採用しなかったとのこと。確かに今までのアディダスのサッカースパイクとは一風変わったフォルム、ビジュアルになっており、従来のスパイクとは違う、まったく新しいスパイクが登場したというのが一目で分かる。


 シューレースが採用されている『COPA(コパ) 19.1 FG/AG』(定価21,000円)ではスリーストライプスはアウトサイド側に配置。『コパ』シリーズでレースレスモデルの登場は非常に画期的な出来事でありレースレス設計でしか成しえないフィット性を実現するが、依然としてシューレースを必要とするプレーヤーのためにシューレースありのトップモデルもラインナップされているのは心強い。それぞれの好みによって選び分けることができるのも魅力と言える。もちろん、シューレースがある『コパ 19.1』では土グラウンドや人工芝に対応したHG/AGモデルも発売される。普段、土や人工芝で毎日のようにプレーする中高生プレーヤーにとってはレースレスの『コパ 19+』よりもシューレースが有る『コパ 19.1』の方が選びやすいだろう。また、HG/AGモデルには現代の日本人中高生プレーヤーの足型を分析し、現代の日本人プレーヤーの足型に合わせて設計された“ネオジャパニーズマイクロフィット”が採用されているのも魅力の一つだ。

 実際に『コパ 19.1』に足を通してみると、フュージョンスキンテクノロジーやプレミアムカンガルーレザーが生み出す柔らかなフィット感に脱帽した。足を入れた瞬間にピタッとフィットし、すぐさま足とスパイクが一体となったかのような足入れ感は従来の『コパ』とは明らかに一線を画す。もはや“フィット”という言葉では表現できないほど抜群の一体感やシームレスさが好感触に感じる。特に前足部エリアのフィット性は秀逸だ。ちなみに『コパ 19.1』ではシューレースがあり、甲部分はイン側がセパレートしているモノタン構造になっていることで履き口の広さは確保されていて、着脱作業はスムーズに行える。そしてボールタッチの柔軟性やボールクッション性も出色の出来。フィット感やボールタッチにとことんこだわるプレーヤーに強くおすすめできるクオリティー・機能性を有したスパイクだ。


 今までにない新たなテクノロジー、最新のマテリアル、斬新なデザインが融合し、革新的なフィッティングコンセプトスパイクに進化した『コパ19』。特にフュージョンスキンテクノロジーは『コパ19』ならではの構造であり、その独自設計ゆえに生み出される抜群のフィット感、一体感は『コパ19』でしか体感することができない。まずはサッカーショップで試着してみてほしい。足を入れたその瞬間に『コパ19』がもつポテンシャルの高さ、『コパムンディアル』から継承したフィッティングコンセプトスパイクとしてのアイデンティティと最新テクノロジーが融合したことによる未だかつてないフィッティングを感じることができるだろう。そしてそれが実際にピッチで“鬼フィット。神タッチ。”を生み出し、ボールを止める、蹴る、走るというサッカーにおいて重要な要素をより快適に行えるような万能性をもたらしてくれるはずだ。

取材を受けてくれたデザインディレクターのデーブ・スレース氏


★『COPA19』の詳細はこちら

Koheiプロフィール:
日本初のスパイクマイスター。日本全国の部活プレーヤーがサッカースパイク選びの参考にする「Kohei's BLOG」の運営者。これまでに1000足以上のスパイクを着用し、その最新情報や機能性を独自の視点で紹介している。国内でも有数のスパイク目利き力を持ち、プレーヤーの生の足を見れば、その人にマッチするスパイクが何かを見抜くことができる。身長180cm、体重72kg。ポジションはFW、ときどきMF。中学、高校、大学とサッカー部に所属し、現在も社会人チームでプレー。

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