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初優勝に王手かけたブラインドサッカー日本代表…大会最少1失点の堅守には大きな自信、攻撃面も「チャンスはある」

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今大会最少1失点のブラインドサッカー日本代表

 ブラインドサッカー日本代表は3日、「Santen IBSA ブラインドサッカー ワールドグランプリ 2021 in 品川(以下、Santen ブラサカグランプリ 2021)」の5日目でアルゼンチン代表と0ー0のドロー。2位以上を確定させ、初の決勝進出を決めた。

 グループリーグ2勝1分で暫定首位に位置していた日本は、この試合で引き分け以上になれば、初の決勝進出となった。対戦相手は世界ランク首位のアルゼンチンとなったが、日本は果敢に攻撃を仕掛ける。守備面では、相手エースのマキシミリアーノの個人技にも冷静に対応。得点は不発に終わったものの、失点はせず、スコアレスドローで決勝進出を決めた。

 日本は初戦のフランス戦、第2戦のタイ戦を1ー0で勝利し、2試合連続完封を達成。第3戦のスペイン戦では初の失点を喫し、1ー1のドローに終わっていた。だが、第4戦では合計5得点を挙げたアルゼンチン相手に無失点でドロー。参加5チーム最少の1失点でグループリーグを終え、守備面で大きな自信を手にした。

 試合後、オンラインでの囲み取材に応えた高田敏志監督は、相手の高い攻撃力にも「想定通りの動きと、想定通りの仕掛け」と予想通りだったことを明かす。「(日本は)相手にスペースを与えない。粘り強く移動できる。アルゼンチンがゴールを決めるのに一番必要な時間とスペースを奪うということを、日本がどの国よりもできるという前提でゲームに入りました」。日本の選手たちには「想定通りの中でとにかく負けないと。自力で勝ち点1を取って決勝行こうと話していたので、100点ではないですけど、決勝に向けて合格点かなと思っています」とその奮闘をねぎらった。

 相手エースのマキシミリアーノの脅威には「とにかくすごすぎた」を舌を巻く。アルゼンチンは今日の試合を終えた時点で2勝1分。明日のスペイン戦の結果次第で、日本とは再び決勝で相まみえる。マキシミリアーノを生かした相手の攻撃、そしてその個人技や強烈なシュートをどう止めるかが、優勝への大きなポイントになる。

 指揮官は“エース封じ”に「早く相手を捕まえて、スピードを上げさせない。ドリブルの進入するコースを消す。人数をかける。マキシだろうが、メッシだろうが同じなので」とサッカーと通ずる守備の鉄則を語る。「相手がスピードを上げられるような体の向きの状態を作らせないことが重要。それをやり続けた結果、打ってもGKに当たるようになる。全部抑えようとするのも無理なので、GK佐藤のレベルの高さもうまく使いながらやっていけば、マキシも抑えられるんじゃないかなと。2試合連続で抑えたことはないので、ぜひそこにチャレンジしたいと思います」と決勝への意気込みを口にした。

 一方で、攻撃面では課題が残った。ここまで3試合通じて、日本はバックパスからGK佐藤が正確なロングフィードをサイドフェンスに飛ばす攻撃の形を構築。得意なパターンで得点を生み出していた。しかし、戻りが遅かったこれまでの3チームと比べ、日本の攻撃パターンを予想していたアルゼンチンはことごとくカット。すかさず指揮官は川村怜を低い位置に落とし、ドリブルで運ぶプランBに変えたが、アルゼンチンの堅守を破れず。今大会初の無得点に終わっていた。

 高田監督は「アルゼンチンの癖というか、ここ数年間の失点を全部調べて、どこでやられているかっていうのはわかっている」と語る。前半終了間際、川村が縦突破ではなく、カットインでシュートを打った場面を引き合いに「あの回数を増やせば、チャンスはある」と強調した。

 守備に奔走した田中章仁は「ディフェンス面ではすごく守り切れた。ゼロに抑えたので自信は持てた」と語りつつ、やはり攻撃面の課題を挙げる。「明後日もう一回できるので、少ないチャンスかもしれないんですけど、1点を取って、勝てるように頑張りたいと思います」とその牙城を崩すことを誓った。

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