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5年ぶり、令和初開催の自衛隊サッカー大会、厚木マーカスが最多21回目の優勝

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海上自衛隊厚木航空基地マーカスが21回目の全国自衛隊サッカー大会優勝

[4.20 全国自衛隊大会決勝 海上自衛隊厚木航空基地マーカス 5-3 航空自衛隊入間基地第三補給処 西が丘]

 全国各地の駐屯地や基地で活動するチームの日本一決定戦、第57回全国自衛隊サッカー大会は20日に味の素フィールド西が丘で決勝戦を行い、海上自衛隊厚木航空基地マーカス(以下、厚木マーカス)が5-3で航空自衛隊入間基地第三補給処(以下、空自三補給)を破り、最多21回目の優勝を飾った。

 前回開催は、平成最後の年となった2019年。翌年からコロナ禍に見舞われたことなどにより、大会中止が続いていたが、5年ぶりに開催。令和になってからは初開催だったが、絶対王者が変わらぬ強さを示した。

 厚木マーカスで選手兼任監督を務めるDF大山徹(日本大出身)は「負けられないので、優勝できて良かった。仕事柄、社会情勢に左右される大会。今回も能登半島地震があり、陸上自衛隊の金沢駐屯地は出場を辞退した。当たり前に開催できる大会ではないと、5年を振り返って思う。開催してもらったことに感謝したい」と久々の開催と、自衛隊最強を証明したことへの喜びを語った。

 試合は、何度も流れが変わる激戦となった。開始2分、厚木マーカスは、右MF吉田誠(桐蔭横浜大出身)のクロスをFW坂倉光雄(安房高出身)が右足ボレーで合わせて決定機。圧倒する流れかと思われたが、前半3分に先制したのは、空自三補だった。中盤で左MF斎藤元太(日章学園高出身)がボール奪取からドリブルで前進してスルーパス。FW境大輝(久留米大出身)が抜け出して先制点を奪った。

 リズムを失った厚木マーカスは、試合のペースをつかめず、攻めあぐねる展開となった。しかし、何度も三補のカウンターに脅かされながら押し込み続けると、前半35分、左MF佐々木蓮(尚美学園大出身)のクロスを右MF吉田が頭で合わせて同点。さらに前半終了間際、浮き球の縦パスに抜け出したMF工藤隼人(神奈川大出身)がドリブルからラストパス。MF吉田がワンタッチで合わせて連続ゴールで逆転した。

 空自三補は、後半開始早々に逆襲。右にポジションを変えたMF斎藤へ、DF児玉弦太(ルーテル学院高出身)がロングフィード。斎藤がワンタッチのアーリークロスをゴール前に送って好機を作った。この高速カウンターアタックで左CKを獲得すると、斎藤が蹴ったボールをDF鈴木隆介(青森山田高出身)が鮮やかな左足ボレーでゴールへたたき込み、2-2の同点とした。

 互いに退かない戦いに大きなうねりが起きたのは、互いにFWを投入した後半12分だった。空自三補は、後半15分に右からのクロスを投入直後のFW橋本開(東京国際大出身)がヘディングシュートで合わせたが、ポストに嫌われた。一方、厚木マーカスは、その1分後に右からの侵入で最終ラインを破り、投入されたばかりのFW森川侑哉(びわこ成蹊スポーツ大出身)がGKをかわして勝ち越し点をマークする。

 空自三補は、その後のピンチをGK篠原歩夢(大津高出身)を中心にしのぎ、FW橋本を起点に攻め返した。しかし、後半30分に相手ゴール前の混戦を生み出しても、押し込みきれず。逆に、厚木マーカスは後半37分にFKの流れから左クロスをDF湯江俊太(東海大出身)が戻りながらの技ありヘッドで押し込み、4点目。さらに後半40分、MF工藤を起点にFW森川が自身2点目となるダメ押しの5点目を流し込んで勝負あり。それでも、空自三補はアディショナルタイムに意地の一発を見舞った。途中出場のDF佐久間怜旺(日体大柏高出身)が左から相手の背後にパスを送ると、FW橋本が豪快な左足シュートをたたき込んだ。

 5-3で逃げ切った厚木マーカスのFW坂倉は、同チームで20年プレーして来たベテラン。この大会を最後に引退する。「開催されない時期に引退を迎えて悔しがっていた選手の思いも背負ってプレーした。陸海空の異なる幕や別の基地に属する仲間と意思の疎通を図れる機会。自衛隊の体育振興に携わる仲間も多い。あらためて開催意義を感じた」と話し、大会と、大会を通した連係を仕事に還元するサイクルの継続を期待した。

(取材・文 平野貴也)
平野貴也
Text by 平野貴也

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