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[選手権]3戦連続2発の大迫勇が全7得点演出!大会記録まであと3点(鹿児島城西vs宇都宮白楊)

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[高校サッカー注目選手クローズアップ]

[1.3 第87回全国高校サッカー選手権大会3回戦 鹿児島城西(鹿児島)7-1宇都宮白楊(栃木) 市原臨海]

 圧巻のゴールショーだった。鹿児島城西(鹿児島)は宇都宮白楊(栃木)に7-1と大勝。卒業後の鹿島入団が内定しているFW大迫勇也(3年)は驚異の2得点4アシスト。全7得点に絡む独壇場だった。

 大迫勇が止まらない。1回戦、2回戦に続く3戦連続のマルチゴール。3戦6発で得点ランキング単独トップも守った。全国選手権の1大会最多得点記録は平山相太(国見=現・F東京)、石黒智久(富山一=現・カターレ富山)が持つ9得点。決勝まで勝ち進めば、あと3試合を残すだけに、記録更新も現実味を帯びてきた。

 開始早々の1分、PAすぐ外でボールを奪うと、右側から走り込んだFW野村章悟(3年)に流し、先制点をアシスト。前半5分にも大迫勇が右サイドに展開し、MF大迫希(3年)の右クロスにMF室屋良憲(2年)が右足ボレーで2点目を奪った。

 観衆の度肝を抜いたのが前半28分。大迫勇が鋭い振りから放った左足の弾丸ミドルがゴールネットに突き刺さると、スタンドからはどよめきが起こった。後半6分にもMF平原慎也(2年)のゴールをアシスト。同26分には左サイドのゴールライン際でパスを受けると、鮮やかなフェイントでDFをかわし、ラインすれすれを突破。角度のない位置から右足で反対のサイドネットに流し込む技ありゴールを決めた。後半36分のMF河野圭亮(3年)、同38分の室屋の2点目もアシスト。ゴールラッシュの主役は、やはり大迫勇だった。

 全得点に絡む活躍にも本人は「まだ判断の悪いところがある。結果に満足せず、次もしっかりやりたい」と浮かれた様子を見せなかった。「もうちょっと周りを使って、自分で行くところとそうじゃないところをはっきりさせたい」と反省したが、強引さもストライカーとしては大事な要素だろう。実際、2回戦の大阪桐蔭戦(5-2)でも自ら決めた2得点も含め、チームの全5得点を演出しているのだから、視野の広さとパスセンスも実証済みだ。

 現状に満足しないという向上心だけでなく、プロ意識も高い。試合後はひとりマスクを付けてバスに乗り込んだ。「風邪予防です。万全の体調にするのは選手として当然のこと」と言ってのける。試合後のストレッチにもひと一倍、気を遣う。こうした厳しい節制、肉体管理が大活躍の陰にはある。

 8大会ぶり2度目の出場で、初の8強進出だ。5日の準々決勝では滝川二(兵庫)と対戦するが、全国総体でも高円宮杯全日本ユース(U-18)選手権でも、この8強の壁に阻まれてきた。「この壁を破らないと、これ以上強くなれない」と大迫勇。「自分が点を取ればチームも勝てる。1試合1試合、しっかり点を取っていきたい」。自らのゴールでチームを優勝に導く。背番号9の背中は、182cmの身長以上に大きく見えた。

<写真>3戦連続2ゴールの大迫勇也(中央)。全7得点に絡む大活躍だった

(取材・文 西山紘平)

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