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[高校MOM148]藤枝明誠FW安東大介(3年)_怪我乗り越え先制弾

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 藤枝明誠 1-1(PK3-2)徳島商 駒沢]

「安東がいなかったら、結果は変わっていたと思う」。試合後、静岡のメディアの一人はこうこぼした。

 大会前は試合に出場することは無理だと思われていたが、スタメン表を見ると、藤枝明誠FW安東大介(3年)の名前はしっかりと刻まれていた。県予選決勝で右足首と膝を痛め、その怪我が癒えぬまま、今大会を迎えた。

 だが、田村和彦監督は彼の起用を決意した。「逆に今日、彼の精神力が試される。勝ちたいという強い気持ちがあるかどうか。試合になれば痛さも忘れるだろうし、人間の本当の強さが試される。そこで何が出来るのかを見てみたい」。安東のポテンシャルに掛けての起用だった。
 
 この期待に彼は見事に応えた。開始1分の先制弾は、左からのセンタリングに対し、見事な体の入れ方でDFを完全にブロックし、豪快に頭で叩き込んで見せた。その後も数人に囲まれても懐の深いボールキープで、タメをつくり、前線で起点を作り続けた。後半は怪我の影響からか、動きの質は落ちたが、それでも安東がいたからこそ、徳島商も思い切った攻撃が仕掛けられなかった。大きな存在感を示したまま、彼は最後までピッチの上に立ち続けた。

 「自分が出ていない間に頑張っている選手がいたのに、自分がスタメンで出た。申し訳ない気持ちもあったし、絶対に点を取ることで、感謝の気持ちを伝えたかった」。自分の怪我よりも、仲間を思う気持ちで奪ったゴール。そして、気持ちで立ち続けたピッチ。まさにエースストライカーのあるべき姿を示してくれた。2回戦以降もこの姿を見せてくれることを期待したい。

<写真>先制点を決めた藤枝東FW安東(中央)
(取材・文 安藤隆人)

特設:高校サッカー選手権2009

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