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[高校MOM180]青森山田GK櫛引政敏(2年)_窮地救うPK3本セーブ

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.9 全国高校選手権準決勝 関大一 2-2(PK2-3)青森山田 国立]

 PK戦、青森山田の2年生GK櫛引政敏はベンチの外で勝利を願う兄でDFの信敏(3年)に「自信をもっていけ」と声をかけられて決戦の舞台へと送り出された。リードを守れず、試合終了直前に連続失点。精神的に難しい状況だったに違いない。それでも「取られたものは仕方ない。PKで勝つ自信があった」と振り返るGKはなんと相手のシュート3本を止め、兄弟で日本一を手にするチャンスを手繰り寄せた。

 1本目は助走で一度膨らんでからシュートへ入るというキッカーの分析から「あの入り方は腰を回さないと左には蹴れない。(キッカーから見て)右しかない」と読み通りのビッグセーブ。直後にチームメイトが失敗したが、櫛引は相手の2人目も完璧に止めてチームの士気を落とさない。同じくチームメイトが失敗した直後の5人目も止め、チームをミスからも救った。
 そして5人目直前に「次止めたらやろうと思っていた」と考えていたという前方宙返りの派手なパフォーマンス。「勝った喜びと決勝に初めていく喜び」を爆発させた。

 青森山田は昨夏の全国総体2回戦で神村学園(鹿児島)にPK戦の末、敗戦。櫛引は相手にことごとく逆を突かれて6本のシュートを決められた。以来、月に1度東京から訪れる湯田哲生GKコーチとともに徹底的にPK技術向上に励んだ。「特訓して負けない自信があった」。
 大舞台で見せたその成果。流通経済大柏(千葉)のGKコーチ時代に元日本代表候補GK林彰洋(現プリマス)らを教え、07年度には同校の高校選手権優勝にも貢献している湯田コーチは「(櫛引のいいところは)シュートストップとアグレッシブさ。スピードは林よりもある」。評価されているシュートストップ能力の高さでチームを決勝へと導いた守護神は「3年生はこれが最後。勝って終わりたい」。JFAのGK強化キャンプメンバー(高校生では全国で11人のみ)にも選出されているなど、年代別の日本代表候補としても期待されるGKは、決勝でも好守でチームを勝たせることを誓った。

<写真>青森山田GK櫛引
(取材・文 吉田太郎)

特設:高校サッカー選手権2009

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