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長友が丸秘エピ連発、「10年後にユベントスに入ると……」

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 ユース年代のフットボールプレイヤーをサポートする特別プログラム「NIKE FC プレイヤーズフォーラム」が19日、東京・JR原宿駅近くにあるNIKE原宿で開催された。この日はセリエAのインテルで活躍する日本代表DF長友佑都が登場。集まった約40人の小中高生に、サッカーが上手くなるためのアドバイスを送った。長友は「努力を積み重ねること」「長所を伸ばすこと」「夢を持つこと」などの重要性を説き、子供たちの活躍にエールを送った。

以下、イベントでの質疑応答の要旨。質問者は司会者とNIKE FCの少年たち

―インテルでコッパ・イタリアに優勝し、セリエAで初めてのタイトルを獲得されました。おめでとうございます。あのときのお気持ちは?
「やっぱり、インテルのあのメンバーと、ビッグクラブでタイトルを取れたことは嬉しいですね」

―決勝のパレルモ戦はフル出場されました。優勝の瞬間をピッチで味わえたというのは、やはり違いますか?
「違いますね。やっぱり、格別ですね。それに、あのメンバーで獲れたので」

―インテルといえば欧州で、世界でも最高峰のクラブの一つです。ここにいる若い選手たちも、いつかはプレーしたいと思っています。インテルに移籍後、CLなどいろんな経験をされたと思いますが、一番印象に残った試合は?
「かなり、どの試合も印象に残ってますね。ただ、チャンピオンズリーグのシャルケ戦で初スタメンして、アンセムをピッチの上で聞けたのは、かなり震えがきましたね。特別ですね。やはり違います」

―インテルでは、最初は苦しい時期もあったようですね。キエーボ戦でマン・オブ・ザ・マッチを獲得しましたが、あのあたりから吹っ切れたとか?
「メンタルのほうのブレがなくなって、いいプレーができました。あれがターニングポイントですね」

―メンタルが強いとされる長友選手ですが、あのインテルのそうそうたるメンバーの中に、すぐに溶け込むのは大変だったのでは?
「なかなか、時間がかかりましたね。僕は、メンタルはそんなに強くないんです。ただ、自分の弱さを知っているところが、僕の強み。これからも弱い自分との戦いですね」

―思い返せば1年前。南アフリカW杯を戦い、そのあとFC東京からセリエAのチェゼーナに移籍して、アジア杯をはさんで冬にインテルに移籍。長友選手にとってこの1年はどんな1年でしたか?
「10年分くらいの経験が出来ました。それくらい濃かったです。W杯もあって、イタリアのチェゼーナに移籍して、アジア杯に優勝して、インテルに移籍して……。最後、コッパの優勝もできた。凄い経験が出来ました」

―この1年で一気に階段を駆け上がったように感じますが、何かきっかけになった要因や心に残る出来事は?
「すべてが積み重なってきている。W杯もそうだし、すべてが自分の経験としてつながっている。これというよりは、すべてですね。すべてが僕を成長させてくれました」

―FC東京では5つの目標を立てて、それをクリアしたら海外移籍をしようと考えられていたそうですが。
「そうですね。僕は目標は常に持っているんで、目標を掲げながら、それを逆算して今何をすべきなのかを考えてやってきました。今は世界一のサイドバックになることが僕の夢なので、それを叶えられるように、いいトレーニングをしています」

―夢は常に考えている?
「毎日は考えてないですよ。僕も休むときは、何も考えずに休みたいので。ただ、寝る前に確認はしますね。自分の夢と、今の立ち位置とを。しっかり自分の位置というのを確認してます。結局、日々の積み重ねなので」

―夢を叶えるにあたって、日ごろのトレーニングで一番気を使ってることは?
「基本的なことですね。食事や睡眠だったり。あとはトレーニングの質ですね。ただ単に長い時間、努力をすればいいというのではなく、努力の質を大事にしてます」

―大学時代はヘルニアとの闘いがありました。そういうときの心の置き方は?
「僕は苦しいときほど、チャンスだと思っている。それを乗り越えたら成長できると。それを信じて、苦しいときこそ、なりたい自分を描いて乗り越えるようにしています」

―ヘルニアに苦しんでいたころは、体幹を鍛えないといけないと、相当のトレーニングを積まれたとか。
「体幹は毎日やってましたね。ただ単に腹筋をやるとかではなくて、結局はバランスを考えた中でのトレーニングをしました。バランスが大事だと思うので。その中で体幹トレーニングをやりましたね」

―筋トレの中でも、お尻というか臀部の筋肉を鍛えることにこだわっているそうですね。
「素晴らしい選手は、臀部の盛り上がり方がぜんぜん違うんです。いま一緒にやっているエトーもそうですし、スナイデルもそうだし、サネッティもそうだけど、そこの筋肉の質だったりが(普通の選手とは)違いますね」

―ここに来ている18歳以下のNIKE FCのメンバーは、みんなプロを目指して頑張っている人たち。中学時代や高校時代、長友選手はどういう選手になりたいと思って練習をしていましたか?
「サッカーはヘタクソだったので、とりあえず走ってばっかりでしたね。スタミナもスピードもなかったので。ただ、自分の中に能力というのは眠っていると思っているので、それをどう呼び起こすかというのが大事だと思う。絶対、いいところがある。そういう長所を伸ばすべきだと思いますね」

―みんな、長友選手は最初からスピードやスタミナを持っていたと思っていますが、努力の賜物なんですね。
「積み重ねだけですね。結局は。自分が(こういう風に)なりたいと叫んでも、夢は叶わない。日々の積み重ねでやっていくしかない」

―小中学生のころから、将来は日本代表に入って、セリエAのインテルでプレーしたいと、思ってたのでしょうか?
「そのときはちょうど、セリエAのユベントスが強かったので、たぶん、小学校の卒業文集かなんかに、10年後にユベントスに入ると書いてました。海外挑戦するなら、セリエAというのはありましたね。日本代表も意識していた? もちろん。日本代表に入って活躍できないと、世界では活躍できないと思っていたので」

―自分の中に目標があるからこそ、努力できると思いますが、小さいころから目標は明確でしたか?
「小さいころからは、分かっていなかったけど、サッカー選手になりたいという大きな目標はありましたね。それに対して、ちゃんとビジョンを持っていたかというと(子供の頃は)できていなかったと思います」

―ここには小・中・高生年代の選手が集まっていますが、今の時期に、こういうことをしたらいいというアドバイスをお願いします。
「僕は長所を伸ばして欲しいなと思います。走るのが速いとか、運動量もそうだし、これから上にいくためには、長所で自分をアピールしていかないといけない。短所を克服するというのもあるけど、長所が伸びれば、短所もついてくる。そこを大事にして欲しいなと思います。あとは夢を持つこと。これが一番大事なことです」

―長友選手は小学生や中学生のとき、自分の長所は何だと思っていましたか? 特に何に力を入れて練習をしていましたか?
「僕は特に長所はなかったですね。身長も伸びなかったし。ただ、これから戦う上で強くなろうと思った。とりあえず強くなって、走れるようになったら活躍できるんじゃないと思って、そこからトレーニングに励みました。中学生のとき、マラソン大会があって、男子は100人くらいいて、もちろん部活動の生徒だけじゃなくて、文科系の人もいた。それでも本気で走って50位くらいだった。それくらい、ぜんぜん体力がなかった」

―そこから努力をされたと聞きますが、最終的にはどうなりましたか?
「1年間、ほんとに走り込んで、サッカーの練習だけじゃなくて、駅伝の練習もやって、それから3年のマラソン大会で1位になりました」

―どれくらい走ったんですか?
「思い出したくないですね。もう戻りたくないくらいです、あの当時には」

▽高校2年生、ナカムラくんの質問高校生のとき、チームの練習以外で何か自主トレなどをしていましたか?
「まず朝は5時に起きて、朝練習を自分でやりましたね。走り込みのトレーニングをやって、そのあと学校に行って(夕方)4時くらいから部活動をやって、そのあと残って10時くらいまで自分のトレーニングをやってました。体幹もそうだし、筋トレもそうだし、走るのもそうだし、ボールを蹴ることもやってた。常にやってましたね」

▽中学3年生、カトウくんの質問世界で戦ってみて、海外の選手と日本の選手とで違う部分はどういうところですか?
「日本人はけっこう足元が上手いと思うんだけど、プレッシャーを受けると、自分の技術を発揮できない選手が多い。でも、エトーもそうだし、スナイデルもそうだけど、あのレベルの選手は、技術ももちろん持ってるんだけど、プレッシャーを受けた中で自分の技術を発揮できるというのがある。そういう部分は、日本人とは違う。日本人はプレッシャーがあると、なかなかうまくプレーできない。リフティングは凄く上手いんだけど……(試合では生かせない)。そこが違いかな」

▽小学5年生、ヤマモトくんの質問今まで戦った中で一番、強かった選手はだれですか?
「ACミランのブラジル代表のパトという選手ですね。あの選手がやっぱり一番凄かった。スピードがあるし、技術もあるし、判断も速い。ずば抜けてましたね」


[写真]参加者と記念撮影を行った長友。少年たちに上手くなる“秘密”を余すことなく伝授した

(構成 近藤安弘)

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