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「“翼タッチ”じゃない新しいもの」。高橋陽一氏『サッカー少女 楓』出版。あすタイ戦のなでしこに熱烈エール!!!

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 国民的サッカー漫画『キャプテン翼』の作者である高橋陽一氏が、女子サッカーを応援するために新たに書き下ろしたキャラクター「楓(かえで)」を主人公にした小説『サッカー少女 楓』を出版。8月31日に講談社で出版会見を開き、作品への思いを語った。かねてから高橋氏と親交がある日本サッカー協会の小倉純二会長も出席。“楓効果”による女子サッカーのさらなる発展に期待した。

 神奈川・湘南を舞台に、サッカーに青春のすべてをぶつける女子高校生の楓が主人公の今作品。モデルになっているのは、なでしこジャパンを牽引するMF澤穂希だ。芸能人の女子フットサルチーム・南葛シューターズの監督を務めるなど以前から女子サッカーへの関心が強かった高橋氏だが、本書を執筆するきっかけになったのは、なでしこジャパンが4強入りした2008年の北京五輪だった。

「なでしこジャパンは、北京五輪で4位という素晴らしい成績を挙げましたが、でも、メダルにはあと一歩のところで届かなかった。そのあと一歩のところを、応援できたらいいなと思いました」

 直後から、もともと親交があった澤への取材を敢行。これまで『キャプテン翼』を執筆するにあたって男子選手にはいろいろと取材し、男子サッカーについては詳しかったが、澤に話を聞くうちに、女子サッカーについて、様々な“驚きと発見”があったという。

 高橋氏によると、澤から「最初は男子と混じってサッカーしていて、小学校のころは男子よりも上手かったが、中学、高校になるにつれて男子との体力差が出てきてうまく行かなくなて悩んだこと」「女子ならではの、男子とは違う厳しい環境でやらないといけないこと」などを聞かされたという。また、取材を重ねるうちに、澤から感じたものがある。

「男子の選手とは違ったアスリートの感覚があった。男子の場合は『自分がどこまでいけるか』とか、自我が強いけど、澤選手はまったくそういうことがなくて、単純に仲間とボールを蹴ることが楽しいと言っていたことが、一番の印象に残っている」と明かしたが、これら澤から伝え聞いた“女子サッカーのすべて”をふんだんに織り込んで、物語を書き上げた。

「男子とは違う、女子ならではの感覚を持っていることがわかり、今まで書いてきた“翼タッチ”じゃない、男子じゃない、新しいものが作れないかと思った」と高橋氏。漫画と小説という部分でも大きく違うが、『キャプテン翼』とはまったく違った魅力のある作品が出来上がった。

 楓は澤がモデルだが、物語にはW杯優勝メンバーで、テクニシャンのMF宮間あやがモデルの『宮間サキ』、同じく優勝メンバーでドイツでプレーするFW永里優季をモデルにした『永里零』も登場する。一番の見どころは、楓たちが、なでしこジャパンのように、サッカーに対して一生懸命で、真摯な姿勢で取り組み、困難に立ち向かっていくところだ。

 高橋氏は「なでしこジャパンも、うまく行かない時があったと思いますが、あきらめないで、自分たちの夢に向かって頑張って優勝した。物語の中では、楓もなでしこジャパンと同じように、あきらめないで、仲間と一緒に自分の目標に向かって頑張っている。そういうところ読んでもらいたい」と訴えた。

 くしくも明日1日から、澤らなでしこジャパンは中国・済南で行われるロンドン五輪アジア最終予選に挑む。1日は初戦のタイ戦が行われる。高橋氏は「W杯に優勝してから、ぜんぜん休めていないと思うので、コンディションが心配ですが、彼女たちなら予選を突破して帰ってくると思う。陰ながら応援しています」とエール。

 さらに「オリンピック予選に勝たないと、もしかしたらこのブームも去ってしまうかもしれない。突破すればロンドン五輪まで、そしてその先までも、どんどん人気が上がってくると思うので、重要な大会になると思う」とコメントした。もちろん、新たに“サッカーファミリー”に加わった楓も、なでしこたちを応援している。

[写真]『サッカー少女 楓』の出版会見を行った高橋氏(左)と日本サッカー協会の小倉会長。小倉会長には楓のイラスト入りの本がプレゼントされた

~物語あらすじ~
 舞台は神奈川・湘南。サッカーを愛し、サッカーに青春のすべてを捧げる高校生・楓。夢はなでしこジャパンに入り、W杯やオリンピックでメダルを獲得すること。ところが、夢への第一歩だった名門女子サッカーチームの入団テストに落選してしまう。それを機に楓のサッカー人生は大きく動き始める。

 サッカーを愛する仲間たちとの出会い、女子サッカー部の設立、部解散の危機、そして、2度目のサッカーチームへの入団テスト……。

 いくつもの困難に立ち向かう一人の少女が、サッカーを通じて仲間や家族の絆をつなぎ、みんなの想いを一つにする。

 楓の真っ直ぐな生き方に周囲の人々は勇気や希望をもらい、いつしかどんな困難であろうと乗り越えられる強さを手にしていた―。

★ゲキサカでは本書のために書き下ろされた巻頭漫画を特別公開!!こちらでチェック!!

■著者:高橋陽一
■発行:講談社
■発行日:2011年8月29日
■価格:本体1470円(税込)
■ISBN:978-4-06-217234-9
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