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4万大観衆を沸かせたカズ、ルーキーだった松田さんとの対決に思い馳せる

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[1.22 松田直樹メモリアルゲーム Naoki Friends 0-1 横浜F・マリノス・OB 日産ス]

 サッカーを純粋に楽しんだ。「Naoki Friends」の一員として先発したFW三浦知良(横浜FC)。代名詞の“またぎフェイント”にボレーシュート、さらにはオーバーヘッドキックと何度となく見せ場をつくった。ハーフタイムにベンチへ下がったが、後半39分には中田英寿とともに再出場。4万475人が詰めかけたスタジアムを大いに盛り上げた。

「試合に関しては、いつもと一緒で楽しめたら、と思っていた。サッカーを楽しむことがマツ(松田)の供養にもなるし、サポーターも楽しめる。そういう気持ちでやった」

 前半13分、中田からのスルーパスを受けた右SBの田中裕介がGKを引き付けてクロス。無人のゴールへ右足ボレーで合わせたカズだったが、シュートはクロスバーの上へ。同34分には右クロスを中田がバックヘッドでそらし、カズが胸トラップからオーバーヘッドキック。これもゴール上に外れたが、スタンドは大歓声に包まれた。

「全部外しましたけど。もう少しゴールが大きかったら入っていたのに」。思わず苦笑いを浮かべたカズだが、「点が入れば盛り上がるし、もちろんいいんだろうけど、そういう場面が来るたびに会場が沸いて、そういう雰囲気が素晴らしかった」と感謝した。

 故・松田直樹さんとの思い出に話が及ぶと、対照的な2つの試合を挙げた。一つは95年のチャンピオンシップ。カズが所属していたV川崎は横浜Mに第1戦、第2戦ともに0-1の零封負けを喫し、Jリーグ3連覇を逃した。当時の横浜Mにいたのが、前橋育英高から入団したばかりのプロ1年目の松田さんだった。

「ルーキーらしからぬというか、いいDFが出てきたなと肌で感じたし、やられたな、抑えられたなと。悔しかったですね」

 もう一つは01年11月24日の神戸対横浜FM戦。ホームズスタジアム神戸のこけら落としとなった試合でカズが同点ゴールを決め、1-1の引き分けに持ち込んだ。「うまくトラップで抜けて、最後は(GKとの)1対1だったけど、今度は自分が『やってやった』と思えた試合。その2試合が印象に残っている」と懐かしそうに語った。

 来月26日には45歳の誕生日を迎えるカズだが、今月18日に横浜FCとの契約を更新。今季のJ2では、松田さんが昨季プレーしていた松本山雅FCとも対戦することになる。「全力で戦いたいですね。向こうは初めてのJ2だけど、そういうことは関係なしに、ピッチの上では激しくやり合いたい」。プロ生活27年目。45歳になっても最前線を走り続けるカズは、松田さんが残した“思い”にこれからもプレーで応えていく。

(取材・文 西山紘平)

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