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[総体]19年ぶり全国の修徳がPK戦制し東京王者に

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[6.24 全国高校総体東京都予選決勝 実践学園0-0(PK7-8)修徳 駒沢第2]

 平成24年度全国高校総合体育大会「2012北信越かがやき総体」サッカー競技(長野)東京都予選は24日、決勝を行い、実践学園と修徳が対戦。ともにすでに全国大会出場を決めている両チームの戦いは0-0で突入したPK戦の末、8-7で制した修徳が優勝した。

 19年ぶりの全国大会は東京王者としての挑戦となった。修徳はPK戦1人目のエースFW大塚竜太(3年)がゴール左ポストに当てて失敗したが、相手の5人目・GK天野将貴(3年)が失敗したことで追いつくと、相手の9人目・佐藤剛のシュートを左へ跳んだGK野口博輝(3年)がストップ。2人目から7人連続で成功していた修徳は、最後はFW田上真伍(2年)が冷静にゴールへと流し込み、夏の東京の頂点に立った。岩本慎二郎監督は「試合内容は7、8割は実践。申し訳ない半分、嬉しい半分です」と苦笑いしたが、相手に主導権を握られながらも、清水麦と佐藤大斗(ともに3年)の両CBと危険を的確に消したMF久保祐貴(2年)中心に1点を許さなかった。主将のMF野澤克之主将(3年)は「今年の春から(学校が)人工芝グラウンドに代わってサッカー部は優先的に使わせてもらっている。感謝している。目標は全国優勝。部員120人のために戦って日本一になって帰ってきたい」と言い切った。

 試合は関東大会予選準優勝で今大会でも決勝進出した実践学園が修徳を押し込んだ。狙いを持った配球から相手ディフェンスラインの背後へボールを動かす実践学園は前半8分、右FKをニアサイドのFW小林優(3年)が頭で流すと、MF伊藤健人(3年)が決定的なヘディングシュート。立ち上がり10分間でCKを4本獲得した実践学園はさらに11分にも右CKをCB尾崎快斗(3年)が頭で合わせる。ただ、修徳はGK野口の好守で決定的な一撃を阻むと、逆に武器である高速カウンターが唸りを上げる。インターセプトから数選手が一気に相手ゴールまで走りきって実践ゴールを脅かした。

 12分にはワンツーから大塚がPAへ侵入すると、15分にはDF1人をかわしたMF佐藤悠輝(2年)が一気に右サイドを駆け上がる。そして大塚とのパス交換でPAへ飛び込むなどチームは持ち前の走力、運動量を活かした攻撃で対抗した。21分にはMF野澤克之主将(3年)の左足FKがゴールを捉え、31分には相手CBからインターセプトをした大塚が敵陣を独走。ただ修徳はその後攻撃に時間にスピードがなくなり、またミスも増やしてしまう。

 サイドまでボールを運ぶものの、CB鴻田直人主将やSB安齊柊(ともに3年)らが安定した対応を見せる相手DFの前に1対1の局面で苦戦して決定機をつくることができなくなった修徳に対し、セカンドボールを支配した実践学園は前半ロスタイムに小林の落としから伊藤の放った右足シュートがゴールを捉え、後半にもサイド攻撃からMF徳山浩介(3年)らがビッグチャンスを迎える。ただ、一本のパス、ドリブルで穴を開けようとし過ぎたか、強引な攻撃は修徳守備陣に跳ね返されてしまった。

 互いに一発狙いの色が濃くなった終盤は蹴りあいのような展開に。相手の安定した守りに加え、ともに全国を決めているために主力を2、3人温存していたことも影響してか試合を決めきることができなかった。結果、無得点のままPK戦で決着。試合後、両指揮官ともに力不足を認め、全国大会へ向けた課題を指摘した。修徳の岩本監督は「(今年の武器は)バックラインがそのまま残っているので勝負勘、最後身体張るところ。伝統の粘るところや戦うことができるようになってきた。でもまだまだダメです。全国では戦えない」。実践学園の深町公一監督も「1回目は代表になるだけで嬉しかったが、今回はそこでどう活躍するか期待されている。個のレベルアップはもちろん、カバーのある時にどう周りを活かして突破していくか。サイドの突破、長いパスの精度は課題」。近年、東京勢は不振が続いているだけに躍進が期待される両校。武器と課題を少しでも鍛えて全国に臨む。

(取材・文 吉田太郎)
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