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[総体]東京8強を懸けた大熱戦、東京実が劇的V弾で実践学園撃破!

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[5.24 全国高校総体東京都予選1次決勝 実践学園高 1-2 東京実高 駒沢2]

 平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技(兵庫)の東京都予選は24日、1次予選決勝の残り3試合を行い、実践学園高東京実高戦は後半40分にFW寺山晋太郎(3年)が決めた決勝ゴールによって2-1で東京実が勝った。東京実は2次予選準々決勝で東久留米総合高と戦う。

 10チームによって行われる2次予選進出を懸けた1次予選決勝。実力派同士による注目の好カードは東京実が逆転勝ちした。序盤は完全なる実践学園ペース。セカンドボールを制圧した実践学園は右のSB黒石川瑛とMF野崎智寛、左のSB海老名優作とMF谷本薫(全て3年)を軸としたユニットがともにサイドの攻防戦で主導権を握り、深くえぐってからクロスにまで持ち込んでいく。8分には野崎のインターセプトから逆サイドまでショートパスを繋いで谷本がフィニッシュ。また、高精度の右足を持つ黒石川のFKなどセットプレーからも東京実を脅かしていった。

 だが、東京実はCB境亘平主将(3年)が抜群の存在感。攻められてはいたものの、跳ね返す作業とカバーリングを忠実に全うする境とCB伊の木洸平(3年)を中心とした最終ラインの奮闘や「(序盤)選手は相手のやり方を見ていたと思う。(20分までは)そこで落ち着かないところがあったけれど、FWのポジション取りが決まって落ち着いたと思う」と片山智裕監督が振り返ったように、相手に合わせたポジション取りができるようになったことで、東京実は前半半ばまでの押し込まれた時間帯を乗り越えた。そして21分には左スローインから10番MF萩原陸(2年)が強烈ミドル。徐々に押し返そうとしていく。だが、実践学園は23分に黒石川の右足ミドルでCKを獲得。続く右CKのこぼれ球にCB長谷川颯斗(3年)が反応すると、最後は海老名が右足シュートをねじ込んでリードを奪った。

 実践学園は長身CB長谷川中心とした守りも隙を見せず、充実した内容で試合を進めていた。対して、リードされた東京実も左サイドからボールを運ぶMF安藤雄祐やSB牧山龍太(ともに3年)を起点とした攻撃からチャンスが生まれる。苦しい序盤から選手がピッチの中で掴んでいった「やれる」手ごたえ。「彼らがピッチの中で『やれるな』と。白線の中で選手が何を感じているか。前半20分まではセカンド拾えなくて苦戦しましたけれど、そのあとは自分たちのサッカーが一瞬から1秒、3秒、4秒というようにできるようになった」(片山監督)。ドリブルと球離れのいいパスを繰り出す安藤を起点に萩原やFW赤松尚斗(3年)がPAに入りこんでいく東京実は40分、萩原が相手最終ラインのギャップを突くスルーパス。これで左サイドを突いたFW黒川滉揮(3年)がGKを引き付けてラストパスを送ると、ファーサイドのMF佐原優浩(3年)が同点ゴールを押し込んだ。

 前半半ばから東京実に傾きかけていた試合の軸。前半終了間際に同点ゴールを奪い、後半開始直後の選手交代で守備の修正をした東京実はさらにその流れを傾ける。14分、交代出場のFW栗田マーク(3年)を起点としたパス交換から最後は赤松の左足シュートがポストをかすめ、16分には萩原のポストプレーから右SB松浦琢人(3年)が右足ミドルを打ち込む。またチームの成長株であるMF森良太(2年)が中盤で奮闘する東京実は、28分に縦パスから赤松が抜け出すなど2点目を予感させる攻撃を展開。一方の実践学園もサイド攻撃やセットプレーから勝ち越しゴールを狙う中、交代出場のMF丸田健太郎(3年)が抜群のスピードで決定機に絡んだ。

 互いに実力の高さを示した熱戦に終止符を打ったのは、攻撃へシフトするスイッチ役として後半30分に投入された東京実・寺山だった。後半40分、右サイドでボールを受けると、ゆったりとしたドリブルから単独でPAまで持ち込んで右足シュート。「ボールが来たときに、ベンチから『仕掛けろ』という声が聞こえて、自分のストロングポイントを出そうと思って仕掛けました」という寺山の一撃がゴール左隅へ吸い込まれた。

 試合終了間際に決まった劇的な決勝ゴールに大興奮の寺山と東京実イレブン。安定したキャッチングを見せたGK増田大輝(2年)や境中心に実践学園の反撃を退けて試合終了の瞬間を迎えると、東京実の選手たちは抱擁を繰り返して勝利を喜んだ。苦しい序盤を跳ね返して掴んだ強豪対決での白星に境は「自分たちの練習していたことが前からのプレスとか、みんなも良く頑張ってくれたので自分たちDFも最後までやり切ろうということでチームが一丸となってできたと思います。チームで辛いこともあると思うけれど、全員で頑張ろうということは常にゲームの中で話していました」とチームメートに感謝した。スタンドでは「全国制覇」という横断幕も掲げられていたが、まずは目の前の1試合1試合に集中すること。境は「東京ナンバー1になることを1年から目指してきたので、東京ナンバー1を目指していきたいと思っています」と誓った。難関を突破した東京実。今後、苦しい展開になってもこの日のようにチーム全員で戦いぬいて目標を達成する。

[写真]後半40分、東京実は交代出場の寺山が決勝点となる右足シュート

(取材・文 吉田太郎)
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