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[総体]上手さだけでなく勝負決める“泥臭さ”も魅せた成立学園、強敵・東京朝鮮を3-0撃破!:東京

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[6.12 総体東京都予選準々決勝 東京朝鮮高 0-3 成立学園高 清瀬内山G]

 12日、平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」サッカー競技(広島)への出場権2枠を懸けた東京都予選の準々決勝2日目が行われ、関東大会出場校の成立学園高東京朝鮮高に3-0で快勝。成立学園は勝てば全国総体出場の決まる準決勝で東海大高輪台高と戦う。

 2年ぶりの全国を狙う成立学園と注目のU-17北朝鮮代表FWリャン・ヒョンジュ主将(3年)を擁する東京朝鮮との好カード。一進一退の展開のまま0-0で前半を終えた試合は、後半の3得点で成立学園が制した。前半は東京朝鮮が右サイドからの攻撃を中心にシュート数を増やす。スペースを狙った攻撃や競り合いのこぼれ球から仕掛ける攻撃に加えて、リャン・ヒョンジュと2年生レフティーのMFムン・インジュ、MFクォン・ジョンソク(3年)、FWチョン・リョンホ(3年)らがショートコンビネーションを交えて相手の守りを崩そうとする。対する成立学園は元日本代表MFの宮内聡監督が「スペース動かさないと、向こうのCBにまとも行ったら勝てない。サイドでポイントつくることを意図的にやりました。サイドに繋いで高い位置でサッカーをやろうと」と振り返ったように、意図的に相手のCBキム・テウ(3年)、CBキム・セヨン(3年)を動かそうとする狙い。素早いパスワークからハイサイドを取り、SB西羽開主将(3年)とMF高橋恒樹(3年)が左サイドからの仕掛けを増やすなど攻め返した。

 迎えた後半3分、成立学園は左サイドからタイミング良く飛び出してきた高橋にMF大野泰成(3年)が絶妙なスルーパス。大野が「恒樹と練習からもずっと抜け出し練習しているので狙い通り。走ってくれるんで斜めに。逆サイドと見せかけていつも狙っていますね」と説明したパスで完全に抜け出した高橋が右足で決めてリードを奪った。成立学園は東京朝鮮の落胆を見逃さずに一気に畳み掛ける。先制点から1分後の4分、MF鈴木皓(2年)のラストパスで抜け出したFW森田裕也(3年)が切り返しから左足シュートを叩き込んで2-0と突き放した。

 東京朝鮮も直後の5分に決定機。敵陣で相手のミスパスをインターセプトしたリャン・ヒョンジュが縦に仕掛けてGKをかわしにかかる。だが、これをGK園田悠太(3年)が両手で押さえてキャッチ。ビッグプレーで東京朝鮮に流れを与えなかった。そして、成立学園はもうひとつのビッグプレーで勝利を決定づける。19分、相手GKに厳しくプレッシャーをかけた森田がインターセプト。独走した森田がそのまま右足で3点目をゴールへ流し込んだ。鮮やかな崩しでゴールを狙う成立学園にとっては“らしくない”とも言える一撃。それを実行した森田は「(成立学園に)必要(な部分)だと思います」と“泥臭い“プレー、そしてゴールの必要性を口にする。そして森田は「まだまだ戦えないんですけど、最近練習も激しくなってきた。高まってきた」と語り、大野も「(現在の3年生は)全員1年生の頃からコーチに戦うところを言われてベースにやってきた」。これまで以上にトレーニングから重視してきた部分が武器となって勝利に結びついた。

 この日はエースFW竹本大輝(3年)をケガで欠く中で成立学園は快勝。“泥臭く”戦う部分に加えて上手さも健在だった。東京朝鮮の高隆志監督が「上手すぎる」と評した注目レフティー・大野を中心としたパスゲームで東京朝鮮を翻弄。最終ラインで存在感を見せるCB小山珠理(3年)やCB長草優之(3年)らがスピードのあるパスワークで失わずにボールを動かし続け、相手の体力を奪い取った。大野は「前半、結構ボール握っていて相手もバテていたと思う。上手くいったと思う」と振り返り、宮内監督も「後半は風も押してくれた。やろうとしたことができた」と強豪対決での快勝に納得の表情を見せていた。これで全国王手。準決勝では同じくボールを支配しての攻撃を特長とする東海大高輪台と対戦する。大野は「負けられない。絶対に勝ちたい」。昨年度の選手権予選でPK戦勝利している相手を再び退けて全国切符を獲得する。
  
[写真]後半3分、成立学園はMF高橋のゴールで先制

(取材・文 吉田太郎)
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