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伝統校同士のアツく激しい好勝負。1、2年生10人先発の鹿児島城西が2戦連続のPK戦制し、鹿児島決勝へ!

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勝利を喜ぶ鹿児島城西高イレブン

[5.25 総体鹿児島県予選準決勝 鹿児島実高 0-0(PK5-6)鹿児島城西高 鹿児島県立サッカー・ラグビー場A]

 25日、平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(三重)鹿児島県予選準決勝が行われた。鹿児島実高鹿児島城西高との強豪対決は0-0で突入したPK戦の末、鹿児島城西が6-5で勝利。鹿児島城西は2年ぶりの全国大会出場を懸けて、26日の決勝で神村学園高と戦う。

 技術力の応酬というよりも、勝利への執念、プライドをぶつけ合う戦いだった70分間、そして20分間の延長戦。紙一重の戦いは1、2年生10人先発の鹿児島城西がPK戦の末に勝利した。鹿児島城西は鹿児島商高との4回戦を延長戦で制し、前日の準々決勝・鹿児島高戦は後半ロスタイムに追いつき、PK戦で190cmの1年生GKヒル袈依廉が1本止めて勝利。この日も相手に主導権を握られる戦いを乗り越えた。

 今年、鹿児島城西は県新人戦準々決勝で敗れ、プリンスリーグ九州も開幕6試合で25失点して1分5敗。苦しいシーズンとなっていた。それでも小久保悟総監督に代わり、今年から指揮を執る新田祐輔監督は「守備をどうやって安定させるか。それが辛抱できるようになった。小久保先生から『チームらしくなってきた』と言ってもらえたので、それは生徒にも伝えたい。生徒が良く頑張ってくれている」。若き鹿児島城西イレブンは今大会、勝ち上がりながら着実に成長を遂げている。

 前半から球際の攻防が非常に激しく、ファウルでゲームが止まる回数も多い展開だった。鹿児島実は185cmの大型FW上村征矢(3年)にボールを入れ、そのこぼれ球からトップ下のMF奈良脇玲央(2年)や甲斐拓斗(3年)、副島龍太郎(3年)の両SHの仕掛けへ持ち込もうとする。

 対する鹿児島城西は濱田康成(2年)と飯野修司(2年)の両CBが10cm近く大きな相手に怯むことなく立ち向かい、必死に跳ね返していた。またGKヒルが1年生とは思えない堂々としたプレーで相手のハイボールに対応。それでも、縦に速い展開の中でよりゴール前のシーンを増やしていたのは鹿児島実の方だった。
 
 U-21日本代表MF原輝綺(現新潟)を兄に持つGK原佑弥(3年)やCB杉山豪瑠主将(3年)中心に安定した守備に支えられた鹿児島実は、セカンドボールをサイドへ散らし、そこからの攻撃でチャンス。上村や交代出場の右SB鮫島将也(3年)がシュートへ持ち込んでいく。そして、後半終了間際には交代出場MF岡元凱士(3年)の突破から上村が決定的なヘッド。だが、枠をとらえることができない。

 一方、我慢強く守る鹿児島城西は前線の選手を入れ替えながら反撃。MF北條真汰(2年)の鋭い抜け出しとクロス、交代出場MF西田崇人(2年)の左足キックなどを活かして攻め返す。そして後半24分にはロビングで上手く相手の背後を取った交代出場FW上城崇斗(3年)が右足を振り抜く。だが、これは鹿児島実GK原がコースを消してビッグセーブ。バックスタンドを埋め尽くす一般生徒を含めた大応援の中で繰り広げられた熱戦は互いに譲らず、延長戦に突入した。

 延長前半、鹿児島実がサイドからの崩しで決定機を作る。だが、9分に前線の柱・上村が2枚目の警告を受けて退場。数的優位に立った鹿児島城西は延長前半終了間際と後半立ち上がりに濱田、北條がそれぞれビッグチャンスを迎えた。飯野を前線に上げて1点をもぎ取りに行った鹿児島城西は右SB赤谷稜平(2年)のロングスローを交えて攻めたが、鹿児島実はMF福井悠(3年)やCB野添温斗(2年)が気迫溢れる動きでゴールを死守。スコアは動かず、決着はPK戦に委ねられた。

 鹿児島城西は準備してきていたPKで各選手がコースへ速いシュート。反応されても決めきり、5人全員が成功する。鹿児島実も5人目まで全て成功したが、6人目のシュートが枠上に外れて失敗。直後に左SB池田真太朗(2年)が右足シュートを決め、鹿児島城西が好勝負を制した。

 執念の勝利を果たした鹿児島城西の上城は「昨日もこういう戦いだった。きょうも決勝戦のつもりでやりました。指導者の方々だったり、日頃の行いだったりで勝たせてもらった。新人戦でとても悔しい思いをしたので絶対に優勝しないといけない。ここまで辛抱して頑張ってきたので無駄にしないように、絶対に優勝したい」と意気込んだ。これまでの悔しい思いもぶつける戦いで接戦を突破してきた鹿児島城西が、全員でもう1試合戦い抜いて全国切符を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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