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試合後の記録変更で“幻のゴール”も…今大会先発抜擢の清水桜が丘FW前田が前線で奮闘:静岡

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清水桜が丘高FW前田翔茉(左)は決勝で“文句なし”のゴールを奪う

[5.26 総体静岡県予選準決勝 常葉大橘高 1-1(PK4-5)清水桜が丘高 草薙陸上競技場]

 公式記録は試合後に自身のゴールから相手DFのオウンゴールに変更されたが、「2試合決めていなかったので、きょうは決めたかった。(決勝会場の)エコパに行きたかった」という清水桜が丘高FW前田翔茉(2年)は貪欲にゴールに向かうプレー。立ち上がりから立て続けに決定機に絡むと、0-1の前半33分にはMF村上太一(2年)の左CKに中央で反応する。

「ボールが良かったので合わせるだけでした」という前田が頭に当てたボールは、常葉大橘高DFの頭を経由してゴールに吸い込まれた。前田は初戦でハットトリックを記録した後、3回戦、準々決勝は無得点。それだけに結果を求めていた。

 自身の得点にはならなかったが、チームに貢献したいという思いを強く持つストライカーは素直に記録変更を受け入れ、決勝でまたゴールを目指すはずだ。前田は昨年のRookie LeagueでFW松永颯太(2年)とともにゴールを量産。チームを上位リーグのA Group昇格へと導いた。その後、前田が「今まで一番やりやすい相手だと思っていた」と感じていた松永は1年生ながらAチームの先発に抜擢。選手権予選決勝でゴールを決めるなど、チームの選手権出場に貢献し、大会ベストイレブン、最優秀新人にも選出された。

 一方で前田は12月に腰部を負傷し、4か月間離脱。今年のプリンスリーグ東海序盤戦の登録メンバーに入ることもできなかった。それでも悔しさを持ちながら、先を行くライバルを追って準備してきた前田は信頼を得てインターハイ予選で先発に抜擢。浮き球を正確に扱う柔らかさや身体の使い方の巧さ、そしてゴール前での力強い動きでチームの決勝進出に貢献している。

 憧れの選手に自身と同じく「独特なプレーをする」FW柿谷曜一朗の名を挙げる前田は、今後へ向けて「得点感覚はあると言われるので、とりあえず点を取りたい、他の面でもチームのためになれるようにしたい」。離脱が長かったことで体力面などの課題もある。それでも、FWらしく結果にこだわる前田は決勝で“正真正銘”のゴールを決めてチームメートと優勝を喜ぶ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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