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選手権予選に続く駒澤大高撃破に大興奮!多摩大目黒が東京8強入り!

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後半28分、多摩大目黒高FW陸野泰勢(11番)が先制ゴール

[6.10 総体東京都予選2次T2回戦 多摩大目黒高 2-1 駒澤大高 堀越学園総合G]

 多摩大目黒が大興奮の東京8強入りだ。平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」サッカー競技(インターハイ、三重) への出場2枠を懸けた東京都予選は10日、2次トーナメント2回戦が行われ、8強が決まった。多摩大目黒高駒澤大高戦は、FW陸野泰勢(3年)とMF秋山陸(3年)のゴールによって2-1で多摩大目黒が勝利。多摩大目黒は16日の準々決勝で駒場高と戦う。

 昨秋、選手権予選で3連覇を狙った駒澤大高に3-2で勝利。この日、雪辱の思いを持って向かってきた強豪を再び打ち負かした。多摩大目黒の遠藤雅貴監督は「前への意識が強い駒澤さんは、次から次へと押し寄せてくる。それに対していかに良い準備をしてセカンドを拾うか」をポイントに考えていたという。

 駒大高は前線へボールを入れると、セカンドボールを拾って突破力のあるFW原田大渡(2年)らが縦へのドリブルを繰り出し、サイドからの崩しで多摩大目黒の守りを破壊しようとしてきた。だが、多摩大目黒は4バックを中心に準備良く相手の攻撃を弾き返し、セカンドボールの攻防戦を含めた球際でも怯むことなく戦って相手の迫力ある攻撃に飲み込まれない。

 守護神の好セーブもあった。駒大高は前半18分にFW江藤惇裕(3年)が右足FKを狙ったが、多摩大目黒GK能嶋昭登(3年)が横っ飛びでセーブ。30分には左サイドからの折り返しをMF小林泰晟(2年)に左足で狙われたものの、GK能嶋が反応してゴールを許さない。

 多摩大目黒もMF松本優(3年)のドリブル突破や縦に速い攻撃から陸野やFW服部功汰(3年)がシュートを放って対抗。それでも、相手の鋭いプレッシャーの前に慌ててしまい、普段に比べると落ち着いてボールを動かすことはできなかった。

 雨に加えて風も強くなっていく中、一つのミスが勝敗を左右するような緊迫した戦いに。その中で駒大高が決定機を作り出す。後半11分、右CKからファーサイドのMF羽鳥陽祐(3年)が頭でゴールを狙うが、GK能嶋が横っ飛びでかき出す。さらに15分には左クロスから中央でコントロールした注目CB齋藤我空(3年)がビッグチャンスを迎えたが、必死に距離を詰める多摩大目黒DFの前にシュートを枠上へ外してしまう。

 逆に多摩大目黒はセットプレーからシュートへ持ち込んで一発があることを示す。駒大高もセットプレーに人数をかけてゴールをもぎ取ろうとしていた。そして0-0で迎えた28分、ついにスコアが動く。多摩大目黒は相手の左FKを跳ね返すと、カウンター攻撃。右SB関澤洋(2年)の縦パスが対応しようとしたDFの頭上をわずかに超えて陸野の下に通る。

 抜け出した陸野は巧みにDFの背中を取ってボールを運ぶと、GKの位置を見極めて右足を一閃。ボールはGKの頭上を超えてそのままゴールネットに吸い込まれた。次の瞬間、倍以上の数の駒大高応援団に声で対抗していた多摩大目黒の控え部員たちが、一斉に応援席から飛び出す。向かってくる“青い波”に背番号11が走り込むと、ピッチサイドは興奮のるつぼと化した。

 駒大高はすぐに反撃に移るが、多摩大目黒はカウンターで相手をひっくり返して1度、2度とビッグチャンスを作り出す。そして40分、多摩大目黒は相手CBとGKとの連係ミスを突いた秋山が、強引に間へ割って入って右足シュートを放つ。ポストを叩いたボールを自らゴールに押し込んだ秋山は、「応援してくれる人たちがいるので、その人たちのために決めました。全国行けるように頑張ります!」。再びピッチになだれ込んできた仲間たちとともに喜びを爆発させた。

 駒大高も44分に交代出場のDF小林慎治(3年)が右足ミドルをゴールに突き刺して1点差。だが、再開直後に試合終了の笛が鳴る。多摩大目黒はピッチの選手、ベンチ、そしてスタンドも一体となってインターハイ予選では初となる東京8強入りを喜んだ。

 多摩大目黒は「紙一重のところにボールが転がってくる。見えない力を引き寄せられるように、細部にこだわってやろう」という遠藤監督の下、練習・日常生活に取り組んできたという。そのこだわりが大一番で紙一重の白星を引き寄せた。

 新チーム発足当初は結果も内容も安定しなかったチームは少しずつ成長。指揮官は「3年生にリーダーとしての自覚が出てきた」と目を細めていたが、メンバー外の選手たちが自主的に応援練習を実施するなど、それぞれが自分にできることを全力でやり切って歴史を変えた。だが、昨秋の選手権予選では駒大高を破った次の試合で敗退。選手たちはその悔しさを忘れていない。陸野は「次、その次も勝たないと全国に行けない。絶対に勝ちたい」ときっぱり。V候補の一角を突破した新鋭が激戦区・東京を勝ち抜いて、全国のピッチに立つ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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