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ミドルシュートでリズム。昌平、0-2から4発逆転で青森山田を撃破!

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後半アディショナルタイム、昌平高FW森田翔が4点目のゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[8.8 総体2回戦 昌平高 4-2 青森山田高 上野]

 しびれる展開だった。平成30年度全国高校総体「2018彩る感動 東海総体」(インターハイ)サッカー競技2回戦、有力校同士の一戦は、昌平高(埼玉1)が4-2の逆転で青森山田高(青森)を下して3回戦進出を決めた。

 2点差から4発、青森山田の激しいプレスを巧みなパスワークでかわし、豪快なミドルシュートを連発。最後はアディショナルタイムに、GKが攻め上がったセットプレーを跳ね返し、カウンターで加点。とどめを刺した。

 試合の序盤、両チームとも決勝戦のような入り方をした。昌平は、開始50秒で森田翔(3年)がミドルシュート。さらに9分、MF原田虹輝(3年)も風上から強烈ミドルを放ったが、青森山田はGK飯田雅浩(3年)が弾き出した。

 対する青森山田も速さと強さを両立させた守備で相手の攻撃を封殺。声を掛け合い、高い集中力を見せる選手の連鎖は、見事。ボールを奪うと、前半11分に右DF橋本峻弥(3年)が鋭利なサイドチェンジを展開した。パスを受けたU-18日本代表左MF檀崎竜孔主将(3年)のカットインシュート、2年生MF武田英寿のシュートとつないで右CKを獲得。武田のキックを身長194cmのU-18日本代表DF三國ケネディエブス(3年、福岡加入内定)がヘディングでゴールにたたき込んで先制に成功した。

 さらに3分後、武田が右サイドから個人技で局面を打開し、左足でループ気味の軌道のミドルシュートを決めてリードを広げた。2点を失った昌平は、1年生で10番を背負う須藤直輝を投入して状況の打開を図った。

 見ている者が感じたのは「青森山田、強し」というイメージだったが、昌平はポジショニングとパスワークを基盤とした攻撃での反抗を止めなかった。目立ったのは、ミドルシュート。ボールを握っても打ち切れず、点を取り切れないという課題の克服を狙い、今季から取り組んで来たポイントだった。相手GKの好守に何度阻まれても攻め切る姿勢は、次第に試合のペースを手繰り寄せていった。

 前半36分、昌平は右MF木下海斗(3年)が森田とのワンツーで中へ切り込んでミドルシュートを決め、前半のうちに1点を返した。青森山田の黒田剛監督が「2-0で帰って来なければいけなかった。前の選手が3点目を狙おうとして前に残り、守備をしてから前に出ていくコンセプトがブレてしまった」と悔やんだ1点だ。

 後半、青森山田は守備から入るようになったが、今度は圧力を欠いた。昌平は17分に「昨日の1回戦が個人的にダメで、1点も取れなかった。絶対に取ってやろうと思っていた」と話したMF渋屋航平(3年)がパス交換から右足ワンタッチシュートを豪快に蹴り込んで同点。さらに2分後、須藤が左サイドから仕掛けた場面で中央につないだボールを木下が左足のミドルシュートを決めて一気に逆転した。

 残り16分で逆転を許した青森山田は、パワープレーを展開。MF澤田貴史(3年)を投入してロングスローで強襲。FKの場面では三國が高さを生かしてゴールを狙った。しかし、後半35分にロングボールの落としを左DF豊島基矢(3年)が豪快なミドルを狙ったが、枠を外れた。そしてアディショナルタイム、右DF橋本が退場処分を受けて1人減ると、CKの場面でGK飯田が上がり、そのまま続くスローインでも攻撃参加。昌平は、スローインから生まれる混戦を防ぐと、森田が単独カウンター。追いすがるGKを振り切ってダメ押しの4点目を奪った。

 壮絶な試合を制した昌平の藤島崇之監督は「選手が慌てず、自分の判断でできた。0-2になったけど、その前後でしっかりとゴールに向かうプレーはできていた。今までは崩し切らないとシュートを打たないという状況があったけど、ミドルシュートでリズムを作って、それを嫌だと思わせた瞬間にワンツーを入れるとか。1点目は、ミドルがあったから生きてきたと思う」と持ち味であるパスワークに加え、ミドルシュートという武器を加えたチームの勝因を語った。

 勝った昌平は、翌9日の3回戦で札幌大谷高(北海道1)と対戦する。優勝候補を破った勢いで次戦も駆け抜けるつもりだ。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校総体2018

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