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テーマは“下剋上”。関西大一がプリンス関西勢・大阪桐蔭撃破し、大阪制覇へ前進!

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関西大一高が13年ぶりの全国出場へ向けて大きな1勝

[5.26 インターハイ大阪府予選決勝L第1節 大阪桐蔭高 0-2 関西大一高 J-GREEN堺]

 関西大一が13年ぶりの全国へ前進! 令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)への出場2枠を争う大阪府予選は26日、4チームによる決勝リーグに突入。大阪桐蔭高関西大一高との一戦は、関西大一が2-0で勝った。大阪府予選は6月1日と6月2日に第2節、第3節を行い、上位2校が全国大会への出場権を獲得する。

 テーマは「下剋上」だ。09年度の選手権で全国4強入りしている関大一だが、インターハイは06年度以来出場がない。進学校のため、限られた中での強化。先発の半数は一般入試で進学してきた選手だというが、今大会では興國高、履正社高という強豪を相次いで破って決勝リーグに駒を進めた。そして、「テーマは下剋上です。ウチは(決勝リーグの4校で)4番目のチーム」(芝中信雄監督)として臨んでいる決勝リーグの初戦で、プリンスリーグ勢の大阪桐蔭を飲み込んだ。

「月まで走れ!」をモットーに選手権を沸かせた時代と同じことはできない。それでも、選手たちが自分たちで戦い方を考え、実践。そして、芝中監督が「走らないと勝てないのはよく分かっている。チームのために走るスタンス。それでサボる選手は使えない」というように、伝統の走力は強敵に勝つための支えになっている。

 普段は繋ぐことを意識しているというが、この日はいずれも強力アタッカーのFW百田真登(3年)とMF堤奏一郎(3年)を最大限に活用しながら、粘り強い守備と走りを徹底。百田は「(芝中監督が)社会の先生なので。今回、(大東市の)桐蔭に勝って大東市を獲ったと。大阪の陣地全部獲って、“下剋上”が目標」。学校のある吹田市から、目指している大阪の“国盗り”へ向けてまた一つ白星を加えた。

 開始1分に大阪桐蔭FW道脇走瑠(3年)が強烈な左足シュートを枠に飛ばせば、関大一はそのカウンターから百田が豪快な中央突破。ハイテンションの幕開けとなったゲームは、関大一がポストワークや空中戦で一際存在感を放つ百田と、ドリブラーの堤のコンビを中心に相手ゴールへ迫る。また、自陣から相手のプレスを剥がしながらボールを繋いで前進し、シュートに持ち込むシーンもあった。

 一方の大阪桐蔭はMF大野幹生(3年)やMF梅原樹(3年)が素早くボールを動かすなど前を意識したパスワーク。そして、鋭い抜け出しやターンからのシュートで脅威となっていた道脇やMF北本朋希(3年)、MF才木陽太(3年)の両翼にボールを預けてゴール前のシーンを増やしていた。

 拮抗した攻防戦は1プレーで流れが傾いた。34分、大阪桐蔭はビルドアップでGKにリターン。ここに猛烈なプレッシングをかけた関大一MF武内優歩(3年)がGKのキックをチャージする。ゴール方向にこぼれたボールを武内が難なく蹴り込んで関大一が先制した。

 武内は「(自分は) 最後まで走り続けて、守備でも攻撃でも全力でやりたい。前半、全然良くなかったんですけれども、とりあえず裏に出たので諦めずに走ったらゴールになったので良かったです。決まった瞬間は本当に嬉しかったです。諦めないことが大事だなと思います」とコメント。関大一のハードワークが、見事に得点に結びついた。

 反撃に出たい大阪桐蔭を関大一が突き放す。後半6分、相手DFラインの背後に配球すると、大阪桐蔭CBの後方から追いかけた百田が身体を入れ替えてボール奪取。一気にゴール方向へ突進すると、GKをかわしかけたところで倒されてPKを獲得した。キッカーの堤が蹴り直しを含めて2度のPKをしっかりと決めて2-0と突き放した。

 大阪桐蔭が注意力を欠いた守備で失点したのに対し、関大一は出足の良い守りを見せていた下雅意健太(2年)と対人で強さを見せる中島康裕(2年)の両CBを中心に集中した守り。MF浜崎響(2年)やMF武田智也(3年)がセカンドボールを狙い、サイド攻撃やセットプレーから3点目のチャンスを作り出していた。

 関大一はMF越智大貴(3年)ら交代出場もハードワーク。一方、大阪桐蔭は左SB武田晴人(3年)の左足FKやCKのこぼれ球に反応したCB永野将大(3年)のシュートで関大一ゴールを脅かしたが、関大一の運動量は最後まで衰えず、2-0で試合終了。(インターハイ開催地の)“琉球へ行こう“を掲げる関大一が決勝リーグ初戦で好スタートを切った。

 関大一がインターハイ出場を果たせば、13年ぶりの快挙。百田は残り2試合へ向けて「13年分の先輩の思いとか、僕らが1年から出ている時の先輩の涙とか、今大会で嬉し涙に変えようとみんなでやっているので絶対に負けたらダメやと思います」と言い切った。武内は「次、絶対に勝って、3戦全勝で、1位で(全国出場を)決めたいと思います」と宣言。枚方市の東海大仰星高、松原市の阪南大高にも勝って大阪制覇を果たし、歴史を変える

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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