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1年生MF岩根が延長戦で直接CK弾!U-20代表FW西川擁する桐光学園が「分岐点」の一戦制して全国へ!!

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桐光学園高が延長戦を制して全国へ

[6.22 インターハイ神奈川県予選準決勝 日大藤沢高 0-1(延長)桐光学園高 相模原ギオンスタジアム]

 U-20日本代表FW西川潤主将(3年、C大阪内定)擁する桐光学園が全国へ! 令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)への出場2枠を懸けた神奈川県予選の準決勝が22日に行われ、昨年度全国準優勝の桐光学園高と一昨年度全国準優勝の日大藤沢高が激突。両校無得点で迎えた延長前半2分に1年生MF岩根裕哉が直接CKを決め、桐光学園が1-0で勝った。桐光学園は2年連続14回目の全国大会出場。23日の決勝で神奈川第1代表の座を懸けて東海大相模高と戦う。

 桐光学園の鈴木勝大監督は「この一戦は彼らにハッパをかける意味で『分岐点になる』と。『ここをしっかり(勝って)オマエたちが方向性を示せたら、すごく幅のある成長になるんじゃないか』と試合前に伝えて。それを彼らが整理して遂行してくれたと思います」と微笑んだ。

 現3年生にとって、日大藤沢は1年生時のRookie Leagueで0-4で敗れている相手。当時からAチームに合流していた西川が不在だったとは言え、このRookie Leagueは勝ちきれない試合が続いてA Groupから降格した桐光学園に対し、日大藤沢はRookie Leagueに続き、全国Rookie League交流大会でも優勝して“日本一”に輝き、注目度を高めていた。桐光学園は、今年の関東大会予選も制している日大藤沢と全国出場を懸けてリベンジマッチ。「分岐点」となる一戦を100分間一体となって戦い、白星を勝ち取った。

 桐光学園はこの日、相手の両翼の攻撃力を削るために3-6-1システムを採用。WBを置いてサイドに蓋をし、中央はいずれも高さのある奈良坂巧(2年)、安久高貴(3年)、荒井ジュリアン海都(2年)が相手の攻撃を跳ね返そうとした。

 試合はJ注目のMF植村洋斗(3年)やMF有山佑汰(3年)を中心にポゼッション能力の高い日大藤沢が多くの時間でボールを支配。そして、CB青木駿人主将(3年)のサイドチェンジやFW布方叶夢(3年)のドリブルシュート、植村のミドルシュートなどを交えて相手にプレッシャーをかける。
 
 一方、桐光学園は1トップに入った西川がシンプルに周囲を活用。注目FWはベストコンディションでは無く、ボールが入ればDF2、3人が寄せてくるような状況の中でのプレーだったが、それでも18分にスルーパスでMF神田洸太(3年)のチャンスを演出するなど一発があるところを示していた。また、桐光学園は左WBの佐々木ムライヨセフ(3年)が突破口になり、クロスがゴール前に入るシーンも。選手たちは守備のタスクをしっかりとこなしつつ、スペースを活用して速攻を狙い続けた。

 後半立ち上がりは日大藤沢の左SB吉本武(3年)が攻撃力を発揮。14分には相手DF3人をかわしてPAへ切れ込んだ。また、植村のループパスから布方がチャンスを迎える。だが、桐光学園はPAで安久がボールを奪ったほか、しっかりとシュートコースを塞ぐなど決定打を打たせない。逆に交代出場のMF所新太郎(3年)がボールに絡んで仕掛けの回数を増やそうとする。

 試合は80分間で決着がつかず、延長戦へ突入した。ここで桐光学園は「勝負に出ました。(1トップの西川)潤の周りを増やしたかったので」(鈴木監督)という理由で4バックへスイッチ。右SBに池上遼太(3年)を投入し、それに伴って重心をやや前方に傾ける。すると、本来右SBのレギュラーである池上がファーストプレーで右CKを獲得。このCKを岩根がニア上を狙って左足で蹴り込むと、ボールはGKの頭上を越えてファーサイドのゴールネットに吸い込まれた。

 5月の関東大会予選後から先発に定着したという1年生MF岩根が大仕事。拳を突き上げた1年生を中心に喜んだ桐光学園に対し、日大藤沢は前線に人数をかけて反撃するが、ゴールが遠い。逆にカウンターからチャンスを作っていた桐光学園が1-0で逃げ切り、全国出場を決めた。

 昨夏、5人抜きのスーパーゴールを決めるなど、インターハイをブレイクの大会としている西川は、試合前の鈴木監督からの「分岐点になる」というメッセージについて、「去年、自分も全国出ていますし、一昨年は全国に出られなかった。自分も出ると出ないとではだいぶ違うなと感じているところなので、チーム全体として(大一番で勝つことの大事さを)共有してできたのは良かった」とコメント。この勝利が彼らに自信をもたらすことにも繋がりそうだ。

 今年はエース西川がC大阪に帯同したり、U-20ワールドカップ出場のため、チームを離れることが多かった。チーム作りに苦慮してきたが、その中でチーム力を高め、全国切符を勝ち取ったことの意味は大きい。この日も課題と言われる集中力の部分を切らすことなく、戦い抜いて勝利。インターハイへ向けて西川は「タフな戦いになると思いますし、本当に一戦一戦やっていかないと勝ち抜けない大会だと思う。去年、ここ準優勝で悔しい思いをしているので、しっかり優勝できるように頑張っていきたい」と力を込めた。

 昨年度、桐光学園はインターハイ決勝(対山梨学院高)で1-0の後半アディショナルタイムの失点から逆転負け。選手権初戦は大津高との注目対決を0-5で落としている。この日、勝ち取った「分岐点」での白星から個人、チームとしてさらに力を高め、次は沖縄で昨年のリベンジを果たす。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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