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狙い通りの先行逃げ切り。米子北が長崎日大に走り勝ち、3回戦へ

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米子北高が走り勝って3回戦進出。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[7.27 総体2回戦 米子北高 1-0 長崎日大高 南城陸上]

 令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(男子)の2回戦が27日に行われ、米子北高(鳥取)と長崎日大高(長崎)が対戦。前半23分にFW中田来輝(2年)が決めた1点を守り切った米子北が1-0で勝利した。

 観測された気温こそ26.8度だが、時折雲も見られた前日の1回戦とは違って、晴れ間が広がった2回戦は非常に暑かった。この試合が2試合目の米子北にとって、対戦相手の長崎日大は1回戦シードで疲労度が違う。だが、分が悪い条件の中でも、試合開始から米子北はチームの武器である”走り勝つサッカー”を徹底し、相手を追い詰めていく。

「割り切ってトーナメントの戦い方をした」と城市徳之総監督が明かす通り、失点のリスクを避けるため、ボールを持ったら、素早く前線にロングボールを入れることを徹底した。前線ではFW崎山友太(2年)と中田の沖縄出身2トップが、競ったこぼれを拾ってシュートまで持ち込むことを狙う。

 前半6分には自陣からのFKを起点に中田がシュート。12分には左サイドを破ったMF原田海(3年)のパスから中田がゴールを狙うなど、果敢な仕掛けで長崎日大を追い込んでいく。すると23分、自陣でボールを奪ったDF岡田大和(3年)が相手DFの背後にロングボールを入れると、相手DFとGKが衝突。こぼれ球を逃さなかった中田が無人のゴールに流し込み、米子北が均衡を崩した。

「プリンスリーグでもそうですけど、立ち上がりから積極的に行けば、今のFWは点が獲れているので狙っていた」。城市総監督のプラン通り、先手を奪った米子北の走力は得点以降も衰えない。MF後藤佑也(3年)とMF林莞太(2年)のダブルボランチがセカンドボールの回収に奔走し、相手に決定機を与えないまま試合を折り返した。

 理想通りの試合展開となった前半から一転し、後半は長崎日大のペースで試合が進む。力強いボールキープを見せたレフティーのFW山崎光(3年)を起点に途中出場のMF松村優生(3年)が右サイドからチャンスを作った。大型FW橋本亮介(3年)への放り込みも脅威となっていたが、米子北は後半27分にDF荒川莉音(3年)とDF横山凌雅(2年)を投入。システムを4-4-2から、5-4-1に代えて、逃げ切りを図った。

 米子北は終盤は前からの守備が機能しなくなり、長崎日大に押し込まれる場面も続いたが、岡田を中心に最後まで守備の集中を切らさず、1-0で勝利。米子北らしく走力によって粘り強く3回戦への切符を手にした城市総監督は「さすが長崎を制したチーム。技術的な部分で言えば、長崎日大の方が高かった。粘りもあるし、最後まで何が起きるか分からなかった。きつかったけど、よく凌いでくれました」と選手を称えた。

「勢いに乗れれば上に行けるかもしれない」と中村真吾監督が自信を覗かせていた米子北だが、大会直前のプリンスリーグ中国でU-18日本代表のDF高橋祐翔(3年)とエースのFW植田葉月(3年)が負傷し、登録メンバーから外れた。想定していた戦いを変えざるをえず当初、中村監督は落胆していたが、今は負傷を前向きに捉えている。

「あの二人がいない中でどこまでできるか指標になる。走ればここまでは行けるというのが分かって、二人が帰ってくれば更にスケールアップできるし、選手には『アイツら戻ってくるポジションを無くしてしまえ』と言っている」。満身創痍での戦いの中で、確実に選手の経験値と逞しさは増している。次戦以降も自慢の走力で、主力不在を感じさせない戦いが披露し、勝利を狙う。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2019

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