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[MOM2936]富山一MF高木俊希(3年)_チームにとって欠かせない「渋い」働き

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富山一高のアンカーとして奮闘したMF高木俊希。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.28 総体3回戦 阪南大高 0-0(PK3-5)富山一高 南城市陸上競技場]

 富山一高(富山)が3回戦の阪南大高戦で放ったシュートはわずか5本。しかしチーム全体が粘り強く落ち着いて守り切り、相手を無失点に封じたことが、ベスト8入りにつながった。

 チームにとって欠かせない「渋い」働きを見せたのが高木俊希(3年)。背番号10のキャプテンだ。昨年のインターハイでも先発を経験し、トップ下やFWとしてチームに貢献してきた。今年は2年生のMF福岡輝が負傷し、高木に「代役」の白羽の矢が立った。

高木は言う。
「決定力が自分の武器なので前をやりたいんですけれど、チームのためにアンカーで、まず守備を意識しています」

 DFラインとMFの間でボールを受け、シュートやスルーパスで点を絡むことが普段の持ち味だ。

 加納靖典コーチも背番号10の強みをこう説明する。
「彼にいいところは、相手が嫌なところに飛び出せるところ。(昨年度の)選手権で点を取っているし、フリーになれるからあの身長(170cm)でヘディングを合わせて点が取れる」

 展開が慌ただしかった阪南大高戦で、そのような迫力はほとんど出なかった。しかし、高木は別の能力を発揮して、チームを勝利に導いた。

 試合の中で焦点となった阪南大高のFW篠畑純也(3年)に対する対応も、DFラインと連携を取って上手くパスコースを消していた。高木はこう振り返る。

「後ろの選手にはずっと『(篠畑が)来たら言って』と言っていた。マークにつけなくてもコースを消せるように、バックラインがしっかり声を出してくれた」

 加納コーチはキャプテンをこう称える。
「彼は一番パフォーマンスが安定しているし、要所要所で締めてくれる。切り替えになったときに一目散に帰るとか、ゲームを落ち着かせて、リズムも作れる選手。もっと本人は『やれる』と思っているんだろうけど、僕は安定していいパフォーマンスをしてくれているなと思います」

 試合後の自己採点は「30点」と厳し目で、セカンドボールへの絡みなどについて反省を口にしていた。ただ、そこはコーチが言う自負の現れなのだろう。

 後ろと前に気を配りつつ、声で周りを動かせることも高木の強みだ。しかし、2回戦の水戸商高戦後に、思わぬ「アクシデント」が彼を襲っていた。

「この大会は普段以上に声は出せているかなとは思うんですけど、昨日の試合で声が枯れて……。龍角散とかを飲んで修正しました」

 治りが早かったのか、龍角散の効き目もあったのか、3回戦後はしっかりした声で我々のインタビューに応じてくれた。

 富山一にとってインターハイの過去最高成績はベスト8。ただし、準々決勝は過去4回チャレンジして、すべて壁に跳ね返されている。昨夏の準々決勝は現U-20代表の西川潤にハットトリックを食らい、桐光学園高に0-5と完敗した。

 西川は同じ3年生で、桐光学園は今夏もベスト8まで勝ち残っている。徳島市立高戦との準々決勝と、準決勝の突破は大前提だが、リベンジのチャンスはある。

 富山一の頼もしいキャプテンはこう意気込んでいた。
「あの舞台を知っているのは僕だけ。決勝で桐光ともやりたい」

(取材・文 大島和人)
●【特設】高校総体2019

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