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伝統校が表現する「ねばれ はしれ」の色。県Bリーグの清水東がプリンス勢連破し、静岡ファイナル進出!

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後半アディショナルタイム、FW中山大耀の決勝点を喜ぶ清水東高イレブン

[5.30 インターハイ静岡県予選準決勝 清水東高 2-1 常葉大橘高 藤枝総合]

 清水東、全国復帰まであと1勝! 令和3年度全国高校総体(インターハイ)「輝け君の汗と涙 北信越総体2021」サッカー競技(福井)静岡県予選準決勝が30日に開催され、インターハイ優勝4度の伝統校・清水東高とプリンスリーグ東海所属の常葉大橘高が対戦。後半アディショナルタイムにFW中山大耀(2年)のゴールで勝ち越した清水東が2-1で勝ち、4年ぶりの決勝進出を決めた。清水東は、決勝で92年以来のインターハイ出場を懸けて静岡学園高と戦う。

 輝かしい歴史を持つ伝統校が粘って、走って、静岡ファイナルへの切符を勝ち取った。気温25度を超える暑さの中で行われた試合は前半から拮抗した戦いに。普段、静岡県Bリーグ(2部リーグ)で戦う清水東は、準々決勝の藤枝東高戦同様、2カテゴリー上のプリンスリーグ勢に勝つために意識してきた守備の強度や切り替えの速さで“格上”常葉大橘に対抗する。

 そして、ボールを奪うとDF細川紳(3年)を中心にボールを繋ぎ、右WB宮野陽貴(1年)と左WB中澤翼(3年)の両ワイドを活用した攻撃。前半は相手をシュート1本に封じた一方で自分たちもなかなか攻め切ることができなかったが、37分に1チャンスをゴールへ結びつける。

 中盤中央から持ち上がったFW望月優太(3年)が左前方の中山へ展開。それを追い越す形で前に出たMF佐野健友主将(3年)がGKとDFの間へ絶妙なラストパスを入れる。最後は「(藤枝東戦の同点ゴールの場面で)ニアで中山が合わせたシーンが結構印象に残っていて、ニアに来るかなと思ってニアへ行きました」という望月がニアへ走り込み、スライディングシュートで押し込んだ。

 先制した清水東は後半も守備意識高く戦いながら追加点のチャンスを伺う。だが、守りへの意識が強くなりすぎたか、受け身となってしまい、常葉大橘に押し込まれてしまう。常葉大橘は技巧で違いを生み出していたFW豊泉優大(3年)や配球役のMF宮本陽生(3年)らがボールを丁寧に繋ぎながら局面を打開。セカンドボールを回収して連続攻撃を繰り出した。

 17分には豊泉起点の攻撃で右サイドを抜け出したMF吉原健太郎(3年)がクロスを上げ、MF杉本将太郎(3年)が決定的なヘディングシュートを放つ。だが、このシュートは清水東GK服部幸太郎(3年)が1ハンドでビッグセーブ。その後も我慢強く守っていた清水東だが、攻め続けた常葉大橘が同点に追いつく。

 36分、右CKに右SB深谷光太郎(3年)が飛び込み、最後は左SB大田悠功(2年)が頭でゴールへ押し込む。土壇場で追いついた常葉大橘は、勝ち越しを狙って畳み掛けようとする。

 だが、渡邊勝己監督が「粘り強くやれ、と日頃言っているので、それが出たかなと思います」と振り返ったように、清水東はここで踏ん張る。40分のピンチを懸命なディフェンスで切り抜けると逆に40+3分、劇的な決勝点を奪った。左サイドの佐野がスピードのあるクロス。交代出場のFW野村光(3年)のシュートのこぼれ球を中山が右足でゴールへ蹴り込んだ。

 前日に部員たちが清水駅周辺のゴミ拾いを実施するなど、“徳も積んできた”清水東が最後の最後で白星を引き寄せた。後半終了間際のゴールで追いつき、PK戦の末に勝利した藤枝東戦に続くプリンスリーグ勢撃破。公立の進学校で「マジメだけが取り柄のような選手でも、ひたむきに頑張ればここまで来れるんだよ」(渡邊監督)と示す決勝進出だ。

 もちろん、復権への思いは強い。指揮官は「藤枝東、(清水)桜が丘、静岡学園……各チーム色があって、ウチも早くその仲間に戻りたいなと思っています。ウチが全国に行けるようなことになれば、そういった面白さが増えるのかな、みなさんが期待してくれているような高校サッカー、静岡やっぱり面白いな言ってもらえるような時代がまた来るんじゃないかなと思っています」と語る。決勝も厳しい戦いになることは間違いないが、今の自分たちにできることを精一杯貫くだけだ。

 佐野は「僕たちのチームはそんなに足元がある訳でもないし、身体がある訳でもないので。全員がハードワークして走りきれないと勝てないようなチームだと思っている。決勝は今までやってきた練習の成果とか全部出して勝ちたいです」と力を込めた。変わらぬモットー、「ねばれ はしれ 清水東」。決勝でも自分たちの色で注目校・静岡学園に挑戦し、全国への扉を開く。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2021

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