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市立船橋が5発逆転で難敵・八千代撃破。復活の2年生MFや注目エースも活躍し、千葉決勝へ

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市立船橋高は長期離脱から戻ってきた2年生MF峯野倖(右)やMF太田隼剛主将が球際の攻防で奮闘

[6.15 インターハイ千葉県予選準決勝 八千代高 1-5 市立船橋高 岩名運動公園]

 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技千葉県予選準決勝が15日、2会場で実施された。佐倉市の岩名運動公園で開催された八千代高市立船橋高戦は、市立船橋が5-1で逆転勝ち。市立船橋は18日の決勝で流通経済大柏高と戦う。

 史上最多のインターハイ優勝9回、プレミアリーグEASTに所属する市立船橋と、インターハイ優勝歴を持ち、今年の関東高校大会で準優勝している八千代。伝統校同士の戦いは市立船橋が制した。

 ロングボールを起点に攻める市立船橋に対し、八千代は相手以上に冷静な戦い。CB小西陽希(2年)が市立船橋の注目エースFW郡司璃来(3年)相手に健闘していたほか、左SB横山颯野(3年)の身体を張った守備など要所を封じて見せる。

 また、MF押見公介(2年)とMF平川璃迅(2年)の2年生ダブルボランチも強敵相手に奮闘。繋ぎだけでなく、奪い返しの部分でも良く食い下がっていた。市立船橋は郡司やU-17日本代表候補左SB内川遼(3年)の突破力やセットプレーの強さを活かして八千代ゴールに迫る。

 だが、凌いでスピーディーなパスワークやFW須堯恒太(2年)の鋭い抜け出しを繰り出していた八千代が先制点を奪う。前半25分、左サイドでのパス交換からMF西村元汰(3年)が得意のドリブルでPAへ切れ込み、PKを獲得。これを右SB吾妻蒼太主将(3年)が右足で決めた。

 だが、今大会初戦で失点の6分後に追いつき、逆転勝ちする経験をしていた市立船橋は「1試合目も失点した後、崩れずにやれた。試合前から失点しても慌てずにいこうと話していた」(MF太田隼剛主将、3年)。再開後のファーストプレーから仕掛け、敵陣での右スローインを獲得。右SB佐藤凛音(3年)がロングスローを入れると、ニアの内川がそらし、最後はFW久保原心優(2年)がゴールへ押し込んだ。

 この後、膠着した時間帯が続いたが、後半も先にチャンスを作ったのは八千代の方。西村がドリブルで相手を後退させ、MF井上昴(3年)の右足シュートがゴールを脅かす。この日の市立船橋は攻守にやや慌ててしまう面があり、なかなか相手との差をなかなかつけられなかった。それでも、「後半は自分たちに矢印向けて、自分たちのサッカーをしようと話した」(太田)。前半よりも冷静に試合を進め、11分に投入されたMF峯野倖(2年)が流れを変えた。

 波多秀吾監督は「後半ちょっと持ち直して、峯野が入ってから中盤でボールを奪えるようになった」。U-16日本代表歴を持つ峯野だが、プレー中の脳震盪が重なってしまい、半年以上離脱。周囲のサポートもあり、ようやくピッチに戻ってきた2年生MFは同じく球際で奮闘していた太田とともに、中盤での潰しやセカンドボール回収の回数を増やして見せる。

 そして、市立船橋は「縦に速くとか、相手の嫌がっているところを徹底してついて奪い返して得点に繋げるとか、色々な戦いできているのは間違いない」(波多監督)という強みを発揮する。後半13分、中央でパスを受けた太田が間髪入れずに前線へミドルパス。動き直して右中間へ抜け出した郡司が、冷静にゴールへ右足シュートを流し込んだ。

 1年時から名門校で存在感を放ってきた2人の“ホットライン”によるゴールで勝ち越し。市立船橋は畳み掛ける。19分、再び太田のミドルパスで郡司が左サイドへ抜け出す。そして、DFを外してラストパス。最後はMF佐々木裕涼(3年)の落としをMF森駿人(3年)が右足ダイレクトで決め、3-1とした。

 市立船橋は23分にも右ロングスローのこぼれを繋ぎ、内川が左足ミドルを決めて4点目。八千代の岡本一洋監督は「(2点目を失った)あの時間帯までやられたなというところはなかった。キチッと動かすこともできていた。でも、やり続けられる力は必要」。プレミアリーグで後半も強度を落とさない、ミスをしない力を身に着けている市立船橋に差をつけられる形となった。この後、交代出場組含めて特長を発揮した市立船橋は、40分にも太田が左サイドへ展開し、内川が強引なドリブル突破。最後はこぼれを郡司が左足で決め、強豪対決を制した。

 決勝の対戦相手は宿敵・流経大柏だ。千葉県は19年にインターハイ出場枠が2から1へ減少。選手権予選では21年度まで9年連続で決勝を戦った両校だが、1枚のインターハイ切符をかけた千葉決勝で対戦するのは初となる。波多監督は「こうやって県大会の決勝で戦えることは光栄ですし、良い戦いをしたいと思います」と語り、太田は「プレミアでも同点というのが続いているので、ここで勝ち切って、次のステージへ行きたいと思います」。今年の目標は3冠。宿敵を超えて夏の日本一への挑戦権を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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