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関東予選で初優勝の「挑戦者」霞ヶ浦が、インハイ予選でも初の決勝進出。初の全国へあと1勝:茨城

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前半24分、霞ヶ浦高はMF久保木周主将が決勝点

[6.14 インターハイ茨城県予選準決勝 古河一高 1-2 霞ヶ浦高 ひたちなか市総合運動公園陸上競技場]

 14日、令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技茨城県予選準決勝がひたちなか市総合運動公園陸上競技場で行われ、霞ヶ浦高が初の決勝進出を決めた。霞ヶ浦は2-1で古河一高に勝利。18日の決勝で明秀日立高と戦う。

 都立高の三鷹高、駒場高を全国高校選手権へ導いた山下正人総監督の就任から6年。霞ヶ浦は今年5月の関東大会予選を勝ち抜き、初の関東大会出場、初の茨城制覇を果たしている。そして、今回はインターハイ予選で初の決勝進出。初の全国大会出場へあと1勝とした。

 山下総監督は関東大会後、「慢心はしていないと思うけれど一回、安堵の感があった。だから、『まだまだチャレンジャーだよ』と」と選手たちに声を掛けたという。この日も挑戦者として戦い、また一つ歴史を塗り替えた。

 霞ヶ浦は前半2分、DFとの駆け引きから抜け出したFW吉沢友慶(2年)が先制ゴール。山下総監督が「狙い通り」と評したゴールによって、幸先良くリードを奪った。この日、MF久保木周主将(3年)が中盤のバトルで再三相手を上回り、MF青野嘉寿紀(2年)らがセカンドボールを回収。そして、前日の大雨などの影響でピッチコンディションが悪い中、セットプレーでチャンスを作り出す。

 前半24分にはFW大谷陸斗(3年)の左CKから最後はこぼれを胸トラップした久保木が豪快に右足で決め、2-0とした。2度の選手権優勝という歴史を持つ伝統校・古河一は、MF五島陸哉(3年)、MF高瀬裕太(3年)の両ワイドを起点とした攻撃で反撃。前半33分には、スピードのあるMF大塚昂世(2年)を早くも投入し、巻き返しを図る。だが、霞ヶ浦はCB深谷康羽(3年)や久保木を中心に阻止。逆に久保木のヘッドや吉沢のミドルシュートで相手ゴールを脅かしていた。

 霞ヶ浦はほぼ隙なく前半を終え、後半も吉沢のポストプレーや大谷のドリブルで前進する。一方の古河一は、後半開始からチームリーダーのDF鈴木奏汰(3年)を投入し、そのプレースキックやサイド攻撃でゴール前のシーンを増やす。

 古河一はさらに188cmのFW長塚慈直(3年)やパワフルなFW鈴木颯稀(3年)を送り出し、相手にプレッシャーをかける。霞ヶ浦は後半、相手の迫力をある攻撃を受けてしまい、特に終盤は「自分たちで焦りを感じてしまっていた」(山下総監督)という時間帯に。自発的な声も出ず、雰囲気を変えられなかった。

 後半40分、古河一は鈴木奏の右FKから長塚がヘディングシュート。冷静さを欠いてしまっていた霞ヶ浦は対応が乱れ、不用意に1点を失ってしまう。古河一は、さらに鈴木颯の右クロスに攻守で奮闘していたDF高野海斗(3年)が飛び込むがゴール左へ。霞ヶ浦は何とか凌いだものの、課題も残る勝利となった。

 山下総監督は試合後、すぐに選手一人一人に声がけ。気づいていたことをアドバイスしていた。そして、「(対戦相手のレベルが上がるに連れて、)要所要所で甘さが出てきている」と指摘。この日はリードしている状況で自分たちが慌ててしまい、失点してさらに苦しい状況を招いてしまった。

それでも、勝ったことでまた自信をつけ、また成長する機会を掴むことができたことも確かだ。久保木は「無失点というところでやっていたんですけれども、そこは悔しいですけれども、2大会連続で決勝まで行けるのは自信にもなる」とコメント。山下総監督も「考えてみれば、凄いね。関東大会で決勝行って、インターハイでも決勝行っているんだから、力的にはちゃんとついているんだよ」と選手たちを讃えていた。

 明秀日立との決勝へ向け、山下総監督は「当たって砕けろだよ」。関東大会予選は2-0で勝利しているものの、相手は複数の主力選手が怪我で不在だった。必ず、難しい戦いになる。久保木は「(明秀日立は)全国とかも結構出ているチームだし、オレらは全国とか出たことがない。相手の胸を借りるつもりで頑張って、倒したい」。スタンドのサポートも力に挑戦し、全員であと1勝を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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