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2度の怪我で断たれていた舞台へ。「全国行きた過ぎて」の思いぶつけた桐光学園FW宮下拓弥が先制点

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前半13分、桐光学園高FW宮下拓弥(3年=JFC FUTURO出身)が先制ゴール

[6.17 インターハイ神奈川県予選準決勝 相洋高 0-4 桐光学園高 等々力]

「全国」への特別な思いを持つ桐光学園高FW宮下拓弥(3年=JFC FUTURO出身)が先制点だ。前半13分、左SB武藤光希(3年)が前線に入れたロングボールに反応。相手CB間が空いているところを逃さずに胸トラップから中へ潜り込むと、「先に足を伸ばしたら触れてゴールの方に飛んでくれたので良かった」。対応したDFよりも一瞬速く足に当て、ゴールへ押し込んだ。

 準々決勝の川崎市立橘高で決めたゴールはチームの3点目。だが、この日は貴重な先制点となった。「きょうは自分のゴールで勝負決めてやろうと思っていたので良かった。全国行きた過ぎて、気持ち入り過ぎました」というFWは、右コーナー方向へ走り出して跳躍するとガッツポーズ。「絶対に全国へ」の思いを体全体で表現していた。

 宮下は1年時に腰椎分離症で選手権メンバー外に。昨年は選手権予選準々決勝で腓骨骨折の重傷を負い、欠場した準決勝でチームは敗退した。それだけに、全国大会への思いは特別だ。この日は決定的なヘッドなど2点目、3点目を取るチャンスがあっただけに1得点は反省。それでも、代表決定戦で決め、待望の舞台に立つ権利を勝ち取った。

 指揮官の前でようやく結果を出せるようになってきている。宮下は今年3月に怪我から復帰。プリンスリーグ関東2部では開幕から2試合連続で2ゴールを決めている。だが、その2試合は鈴木勝大監督が日本高校選抜欧州遠征のために不在。鈴木監督帰国後は公式戦で決められない試合が続いた。

 だが、今大会は準々決勝、準決勝で2戦連発。鈴木監督も「ようやくコンスタントに点が取れるようになってきた」と頷き、宮下も「まだ明日あるけれど自信につながると思います」と喜んでいた。

 このまま、ゴールを重ねてインターハイへ。「自分が選手として全国大会出場するのは初めてなので、ワクワクが止まらないです。優勝できたら周りからもホンモノと認めてもらえると思う自分たちの力を信じてやっていきたい」。桐光学園の先輩FW小川航基(現横浜FC)に憧れ、公式戦の9番も練習着の18番も同じ。小川のように得点を連発し、チームを勝たせる。
 
(取材・文 吉田太郎)
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