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「今年の強さを証明する」…持ち前の攻撃力発揮した帝京大可児、札幌一に競り勝ち“リベンジ”の舞台へ

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帝京大可児高(岐阜)が3回戦進出を決めた

[7.30 インハイ2回戦 札幌一 2-3 帝京大可児 東光スポーツ公園球技場A]

 2017年以降プリンスリーグ東海でコンスタントに上位争いを繰り広げていた帝京大可児高(岐阜)だが、昨季は7位で終わり、岐阜県1部リーグに降格した。「今年の強さを証明するには全国大会しかない」。仲井正剛監督の言葉通り、大勢にアピールする舞台は限られているため、この夏にかける想いはどのチームより強い。西原高(沖縄)に快勝した1回戦に続き、2回戦の札幌一高(北海道3)戦でも、持ち前の攻撃力を発揮し、3-2で勝利した。

 良さを発揮し、勝利したものの「向こうの情報が全くなかった。9番の子が速いんだというのを試合が始まってから知るような状態」(仲井監督)だったこともあり、試合の入りは決して良くなかった。「うちはサイドが生命線。全国で少しでも、らしさを見せようと話していた」(佐藤祐介監督)とMF土橋大牙(3年)、MF小林秀豪(3年)を中心にテンポ良くショートパスを動かし、サイドアタックを仕掛けた札幌一の仕掛けをまともに受けた。前半4分には、FW外舘円清(3年)の左クロスをFW藤井蓮(3年)に決められ、先制点を献上。以降も自陣まで攻め込まれる場面や、ビルドアップに苦しむ場面もあったが、徐々に攻撃のリズムが生まれ始める。「後ろのリスクを負いながら、動かさなければいけないと思いながらも、慎重になりすぎていた。でも、そこだけ突破できれば(ゴール前まで)行けていたので、少しずつ勇気が出てきた」(仲井監督)。

 ボールが前に入れば、違いが作れる選手がいるのが帝京大可児の特徴でもある。中でも、この日好プレーを連発したのが、MF明石望来(2年)だ。反撃の狼煙をあげたのも、「いつもドリブルはできても、獲られる場面があるけど、今日はほとんど獲られなかった」と振り返る明石のプレーから。22分にはDF石田凱大(2年)からのリターンパスを左サイド高い位置で受けて、ゴール前に速いボールを入れるとファーサイドのMF内藤和希(3年)が合わせて、試合を振り出しに戻した。

「失点後の状態が、ずっと続いたらかなりきつかったと思う。なんとか悪い時間を短くして前半のうちに決定機を作れたのは良かった」。仲井監督がそう振り返った通り、チームを立て直して前半を終えた帝京大可児は、後半に入って攻撃の出力を更に上げていく。

 後半11分には右サイドでボールを持ったDF伊藤彰一(1年)が前方にスルーパスを入れると、MF吉兼怜真(3年)が反応。「ボールを付けてくれた際、後ろにいるのは分かっていたのでスルーした」と上手く相手を引き付けて、PA内にボールを通すと最後はFW加藤隆成(2年)が2点目をマークした。直後の14分には自陣でのボールロストを突かれて、再び同点にされたが、札幌一を押し込み続けていたため、ゴールの匂いは十分。26分には明石が左からのカットインで相手を引き付け、ゴール前にスルーパスを入れると抜け出した加藤が再び決めて勝負あり。帝京大可児が3-2で勝利した。

 3回戦で対戦するのは桐光学園高(神奈川1)。MF鈴木淳之介(現湘南)らを擁し、チーム史上最高と言われた2年前のチームが選手権でPK戦の末、敗れたチームだ。先輩たちが掴めなかった白星を手にすれば、強さの証明になる。吉兼は「次は桐光学園で強いチームだとは思いますが、気持ちで負けたらそれまでだと思う。まずは気持ちで勝って、自分たちのサッカーに自信を持ってやれたら」と意気込んだ。

(取材・文 森田将義)

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