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向上した「耐える」力と抜群の決定力、王者・専修大が強さ示して中央大撃破:関東1部

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[5.18 関東大学リーグ1部第8節 専修大5-2中央大 味フィ西]

 JR東日本カップ2013第87回関東大学サッカーリーグ戦1部第8節、首位・専修大と4位の中央大との一戦は、5-2で専大が快勝。7勝1敗として首位を守った。

 リーグ3連覇を狙う王者・専大には互角の試合を自分たちに傾ける決定力と耐える力がある。全日本大学選抜の右SB北爪健吾(3年=前橋育英高)が出場停止から復帰したものの、前節・筑波大戦で大怪我を負ったCB本名正太朗(4年=川崎F U-18)を欠く専大は最終ラインの中央で本来ボランチのMF河津良一(3年=作陽高)をDF萩間大樹(2年=川崎F U-18)と組ませる布陣。この日は拮抗した展開だったが、北爪が「コーチにも言われたんですけど、攻められた時に我慢出来るようになったという部分は去年との大きな違い。去年はそういう場面で取られていたんですけど、今年はみんなで頑張って、チームとして我慢して、追加点を取って勝つというところが続いている。それが勝っている要因かなと思っている」と胸を張ったように、この日も押し込まれた時間を耐えて試合を勝ち切った。

 先制したのは専大だった。前半27分、右サイドでボールを拾った全日本大学選抜FW仲川輝人(3年=川崎F U-18)がフォローした北爪へつなぐと、北爪はペナルティアーク方向へグラウンダーの鋭いラストパス。これを受けた全日本大学選抜MF下田北斗(4年=大清水高)が左足のファインショットをゴール左上隅へ叩き込んだ。
 
 対する中大は全日本大学選抜FW皆川佑介(4年=前橋育英高)、FW澤田崇(4年=大津高)、CB岡崎亮平(3年=湘南ユース)ら主力が不在。それでも全日本大学選抜GKシュミット・ダニエル(4年=東北学院高)の好守など7試合を終えてリーグ最少失点の3で勝ち点を拾ってきた。下田のスーパーゴールによって先制されたものの、その1分後にカウンターから陣形の崩れた専大陣内へドリブルで持ち込んだMF田辺圭佑(4年=成立学園高)が左足シュートをゴール右上隅へ突き刺して同点に追いつく。

 ただ中大はアンラッキーな失点によって再びリードを奪われてしまう。33分、専大は全日本大学選抜MF長澤和輝(4年=八千代高)が中央でDFを引き付けると、PAへ飛び込んできた下田へ絶妙なラストパス。下田の放った右足シュートがDFのハンドを誘い、PKを獲得した。自らキッカーを務めた下田の左足シュートがゴールネットを揺らしたが、蹴る前に味方がPAへ入ったとして蹴り直しに。それでも下田は2本目を中央へ決めて2-1と勝ち越した。

 中大は45分に左サイドからの崩しで最後は左中間を抜けだしたMF細見諒(4年=C大阪U-18)が左足シュートをゴールヘ流しこむが、オフサイドの判定。それでも後半、バイタルエリアで上手くボールを引き出すFW砂川優太郎(3年=広島ユース)を起点に重心の低いドリブルで中央突破する田辺やFW川越勇治(4年=川崎F U-18)のスピードを活かして専大ゴールへ迫り続ける。

 10分、砂川の右CKをニアサイドのCB木村圭佑(3年=大宮ユース)が頭でそらすと、大外から飛び込んだ左SB古賀鯨太朗(4年=大津高)が決定的な形で合わせる。さらに11分には右サイドをドリブルで崩した川越のラストパスからMF渋谷亮(3年=東京Vユース)が決定的な一撃。だがゴール至近距離から放ったシュートが専大GK福島春樹(2年=静岡学園高)の好守に阻まれると、23分に左サイドを切れ込んだ古賀の折り返しを交代出場のFW古橋匡悟(1年=興國高)が右足で合わせようとするが、ヒットせずに追いつくことができない。34分にもスルーパスで川越がGKと1対1となったが、ここでも福島がビッグセーブ。耐えた専大は源平貴久監督も「我慢してカウンターとかで得点できるようになってきた。追いつかれても突き放せるのは成長したかな」と評していたが、ここから決定力の違いを見せつけた。

 専大は39分、中央で強さを発揮した交代出場FW稲葉圭吾(4年=帝京三高)のスルーパスで抜けだした長澤がGKとの1対1を制して3-1。中大は42分、右中間からMF渡辺大斗(3年=横浜FMユース)が仕掛けたこぼれ球を細見が右足で叩きこんで再び1点差とするが、専大は45分、左タッチライン際でボールをコントロールしたMF佐藤遵樹(1年=千葉U-18)がDFを振りきってサイドをえぐると、この折り返し長澤が右足ダイレクトで合わせて再び突き放す。そして46分には中盤左サイドでボールを持った長澤が中央へ切れ込みながら、右足でGKとDF間へボールを落とすと、飛び込んできた仲川が圧巻のボールコントロールから5点目を流しこんで中大を沈めた。

 攻防戦を落とした中大の白須真介監督は再三あった同点機を逃したことを悔やみつつも「負けは負け。決めきるところは課題」ときっぱり。一方、2連勝とした専大の長澤は「後ろの若い選手が経験は少ないかもしれないですけど、声をかけて一生懸命やっている。最後のところで頑張ってくれているのはありがたい」と感謝した。そして苦しい時間帯を乗り越えてゴールを奪い、勝ち点を重ねていることについては「それぞれが自分たちの強みじゃないですけど、後半のあの時間帯に何をすればいいのか分かっている。例えば交代選手の(4点目をアシストした佐藤)遵樹もあそこでキープするのではなくて、前に突破してクロスを上げきるとか。自分たちが何をすればいいのか分かっている。それぞれが後半の辛い時間にやるべきことをしっかりとやっていることが点につながっていると思う」と分析。チームの柱だった鈴木雄也(現Honda FC)と栗山直樹(現千葉)の両CBが卒業し、守備力の低下について指摘されていた専大だが、それぞれが役割を全うしている。そしてこの日も違いを示した長澤と仲川のダブルエースを中心とした爆発的な攻撃力。連覇を果たした過去2年以上に攻略が困難なチームになってきた。

(取材・文 吉田太郎)
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