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[ケイスポ]王者相手に敗戦するも、次につながる好ゲーム 専大戦

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[慶應スポーツ ゲキサカ版]
[10.19 関東1部・後期リーグ第17節 慶應義塾大0-1専修大 古河]

 開幕当初に掲げたスローガンは “日本一”だったが、 後期5連敗という現実にさらされ、目標を“1部残留”に移行した慶大。プライドを捨て泥臭いプレーに切り替えたことで、前節ようやく後期初勝利を手にした。ここから勝利の階段を駆け上がりたいところだが現実は甘くない。今節、慶大は王者専大に対し攻守にわたり奮闘するが0-1で敗戦してしまった。

強豪を相手にして慶大にまず求められたのは堅い守備だった。前節と同様、今節でも長尾賢太郎(3年=神戸U-18)と武藤嘉紀(3年=F東京U-18)がツートップを担ったが、「皆で守ってカウンターで1点」(武藤)という戦略のもと下がって試合に臨むこととなる。

 試合開始のホイッスルが響くやいなや、専大はゲームの主導権を握っていった。しかしそれも「予測通り」(松下純土主将、4年=國学院久我山高)。守備に重点をおきつつ、隙を見つけては攻撃を仕掛けにいった。11分、川田悠介(3年=桐蔭学園高) がクロスを上げるもゴールには届かず。また溝渕雄志(1年=流通経済大付柏高)も攻撃のチャンスを数多く演出する。34分、相手カウンターでピンチを迎えるが久保飛翔(2年=済美高)が体を張ってディフェンス。堅守の作戦が功を奏し0-0で前半を折り返した。

 50分にピンチが訪れる。ディフェンスラインを崩されキーパーの福本晋也(4年=暁星高)が前に出たことで、ゴールエリアにスペースを作らせてしまう。だがこの危機的状況を増田湧介(3年=清水東高)が瞬時に察知し、相手クロスに対しナイスカット。その直後もひやりとさせられる場面があるが、ここは福本が守護神の意地を見せ顔面でキープした。このあたりから、増田や溝渕らが積極的にカウンターを仕掛けていく。専大も負けじと対抗してカウンターの応酬戦となる。そんな中、57分に専大がとうとう牙をむいた。仲川の打ったヘディングシュートのこぼれ球を長澤に押し込まれ、先制点を決められてしまったのだ。王者に食らいつき好ゲームを展開していただけに、この失点は「もったいない」(溝渕)。

 何とか勝ち点1だけでもほしい慶大は、その後武藤と長尾がシュートを放つが枠を外す。0-1というスコアで迎えたロスタイムでも、慶大はゴールへの道筋を必死に描こうとするがかなわない。そのままタイムアップし敗戦となった。

専大が18本のシュートを打ったのに対し、慶大のシュートはわずか3本。戦略通りに慶大はカウンターを仕掛けていったが、中盤でその芽を摘み取られてシュートにまで持ち込めない場面が多く見られた。しかし、圧倒的シュート数を誇る専大相手に1失点で抑えたことは、大きな収穫と言える。次節迎え討つのは筑波大だ。残留するためには負けられない。今踏みしめている1部の舞台で、来シーズンへとたすきをつなげるために―。筑波大戦での勝利に期待がかかる。

以下、慶應義塾大の試合後のコメント

●須田芳正監督
―今日の試合を振り返って。
「負けは負けだからしょうがないですね。だけど次につながるというか、気を落とさないゲームだったのではないかと思います」

―その中で勝ち点を得るには。
「点数を取らなければいけないですね。今日はしょうがないんじゃないかな。もう1本2本ぐらいで決めるというような感じで考えていたんだけど」

―前線の相手選手を止めるためには。
「5-4-1になってもいいということでやったので、攻撃に対してよくディフェンスしたのではないかなと思います」

―強豪相手にどのような指示をしたか。
「攻撃されるのはどうしようもない、と。しっかりそこをしのいで、数少ないチャンスをものにしようということを言いました」

―次節もこのやり方を続けていかれますか。
「筑波戦で、これをやっちゃって去年8点取られてしまいましたから。ただ押し込まれることはあるので、前から行くトレーニングをするのと、取った後もうちょっとシュートまで行けるようなパターンのトレーニングをするしかないです。(次節は)水曜なので、コンディションを整えるしかないです。気持ちが切れないようなかたちにすれば、勝ち点はついてくるのではないかなと思います」

松下純土主将(4年=國學院久我山高)
―今日の試合を振り返って。
「押し込まれる時間が多かったんですけど、それは最初から予測していました。押し込まれて押し込まれて、結局カウンターで1本取れればいいかなという感じで臨みました。よく1失点で守れたなという感じと、攻撃する時間が少なすぎたかなというのが印象です」

―専大相手に0-1という結果はポジティブに受け止めているか。
「結果的に負けたので、0-1で負けようが0-5で負けようがあまり変わらないんですけど、次につながると言っていいと思います」

―前半0-0で持ちこたえた点については。
「予測通りというか、前0-0でいけたら後半チャンスが回ってくるかなと思っていたので、よく前半耐えて0で抑えることができたなという感じです」

―専大の攻撃陣の印象は。
「特に長澤選手は意識して絶対に止めてやろうという気持ちはあったんですけど、結構やられてしまったので、個人的には完敗だと思います」

―次節に向けての意気込みは。
「結果的に今回も負けましたけど、次につながる試合だったと思います。水曜日まで時間はないですけど、しっかり準備して勝てるように頑張りたいと思います」


(文・取材 慶應スポーツ 窪山裕美子)

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