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[関東1部]名門・早稲田大に欠かせない万能型の173cmCB奥山

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[4.5 関東大学リーグ1部第1節 早稲田大2-0東京国際大 味フィ西]

 後半は守勢に回る時間帯も長かったが、最多優勝回数25回を誇る早稲田大は1部初陣の東京国際大をノーゴールに抑えて2-0で勝利。特に173cmの全日本大学選抜DF奥山政幸(3年=名古屋U18)と183cmDF田中進之介(4年=湘南ユース)のCBコンビはゴール前で鉄壁の守りを見せて完封勝利をもたらした。

 奥山は「後半は自分たちのアグレッシブさがちょっと消えてしまったと思う。ボールを取りに行くにしても受け身になってしまって、高い位置でプレッシャーに行けなかったので後手に回ったことが押し込まれた結果になった。ただ、相手2トップが裏へ抜けてくることは事前のスカウティングで聞いていたので、そういったところを注意しながら対応できたと思う。(コンビを組む)シンノくん(田中)はボクに比べて競り合いとか高さの部分で強さを持っていると思う。上手く特長を出し合いながら、また弱みをカバーしあいながらやれる間柄と思います」とパートナーについて信頼のコメント。自身もクロスやこぼれ球に対する予測と反応の速さ、また危険を的確に潰す強さと安定感の高さでチームの勝利に大きく貢献した。

 15年のユニバーシアード金メダルを目指す全日本大学選抜でもリーダー格のひとりとなりつつある奥山は、万能性の高さが魅力のプレーヤーだ。高校時代はCBから3年時にボランチへ移り、早大進学後は1年時に右SB、2年時からはCBでレギュラーを務める。そして全日本大学選抜では中盤のキーマンとして活躍中。SBを経験したことで攻撃面で成長できたという奥山は「どこで出ても自分の持ち味を発揮するだけだと思っている。チームのために貢献できればと思います」と力を込める。

 万能性とともに、決して大柄でなくてもDFとして戦うために、意識して磨いてきたものがある。「自分は背が小さい分、予測だったり、危ないところを危機察知する能力だとかでカバーしていかないと上のレベルでは戦っていけない」。大学トップレベルのCBとしては高くない173cmという身長ながらも自分の武器を活かし、下級生時から名門のCBとして信頼を勝ち取ってきた。

 守るだけではなく、1試合に必ず何度かはCBの位置から攻撃参加していく姿も奥山の特長だ。この日も前半40分に自陣からドリブルをスタートすると、マークのズレた東京国際大DF陣の隙間を縫うようなドリブルで2人、3人と抜き去り、単騎ゴールライン際まで切れ込んで決定機を演出してみせた。「ある程度相手が油断している。CBに仕掛けられたら、後手後手の対応になってポジションのズレが出てくると思いますし、そこで自分が勇気をもって関わっていければ、数的優位にもなると思う。リスクもありますけれど、後ろの選手が上手くオーガナイズしてくれているので、そこは自信をもって取り組みたいです」とCBからの突破をチームの攻撃のアクセントのひとつとして活かしている。

 今年の目標について奥山は「個人として、もっともっと高められるところはあると思いますし、チームとして関東リーグ優勝という目標は(入学後)一度も成し遂げていないので、そこがこのチームの最大の目標ですし、自分もリーグは取りたい。ほかのチームよりも(リーグ優勝に対して)強い思いを持っていることは自信をもって言えますね」。加えて今年、来年は全日本大学選抜と両立していくことになるが、「選抜に選んでいただけるのは光栄ですし、自分も刺激を受けている。今回のタイ遠征でも自分は刺激を受けましたし、もっと上手くなりたいなと純粋に思ったので、厳しい日程ということもありますけれども、言い訳しないで自分の成長につなげていきたい」と前を向いた。
 
 173cmという身長でCBとして将来を切り開いていくことは難しいかもしれない。ただ今はチームに貢献することのできるポジションで全力を尽くすだけだ。「どこでもやれれば一番いい。まだ(ひとつのポジションで、という)こだわりは芽生えていないです。あと大学で2年間あるので自分で見極めていきたい」。小学2年生から、主将も務めた高校3年生まで育成組織でプレーしてきた名古屋については「戻れれば戻りたいと思っていますし、サポーターの方にも応援してもらった。小2年の時からグランパスでやってきたのでグランパス愛がある方だと思います」と笑う。ひとつのポジションでもスペシャリストになりうるポテンシャルを持つ万能型はまずはチームでの戦いに集中。今年、そして来年と早大、全日本大学選抜に多くの白星をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)
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