[4.17 関東大学リーグ1部第3節 早稲田大1-1国士舘大 味フィ西]

　第90回関東大学リーグ1部の第3節2日目が17日に各地で行われた。味の素フィールド西が丘で行われた第2試合では、開幕3連勝を狙う早稲田大と2連勝して波に乗りたい国士舘大が対戦。国士舘大が開始約30秒で先制するも、後半25分に早稲田大が追いつき、1-1で引き分けた。開幕から2勝1分と負けなしの早稲田大は、勝ち点7で桐蔭横浜大と並び、首位に立っている。

　昨年末の全日本大学選手権の準々決勝では、国士舘大が早稲田大に4-1で快勝し、2年ぶりの全国4強入りを果たしていた。試合前から“リベンジ”に燃える早稲田大だったが、先制したのは国士舘大だった。

　開始約30秒でゴールは生まれる。左サイドでDF藤嵜智貴(4年=清水ユース)のスローイン。受けたMF平野佑一(3年=國學院久我山高)は「返すことを意識しましたけど相手が来ていなかったので、ターンして相手が来ていたら何かしよう」と考えたという。

「普段からどの試合も最初に打てるシチュエーションがあったら打っていこう」と志しているMFは、相手が寄せてこないと即座に判断。右足を振り抜いた。「全くゴールは見えていなかった」と言うが、風にも乗って伸びたボールは早稲田大GK後藤雅明(4年=國學院久我山高)の指先をかすめ、ポストの内側を叩き、後藤の背中に当たってゴールイン。鮮やかな先制点が生まれた。

　國學院久我山高の一学年上の先輩から奪ったゴール。平野佑は「相手が雅明くんだったので、手足も長いし、そんな簡単に入るGKじゃないと思っていました。そのまま入るかなと思ったらやっぱり触られたので、ダメだと思いきや入ってよかったです」と笑顔。「今日は絶対に決めてやるという思いが強くて、いいボールを蹴ることができました」と喜んだ。

　国士舘大主将のDF附木雄也(4年=八千代高)も「あれはどんなGKでも止められなくないですか? 見ていて自分も驚きました。予想外すぎてあれは平野を褒めるしかない。素晴らしかった」とチームメイトの一発を賞賛した。

　この日の国士舘大は昨季のアシスト王MF荒木翔(3年=日本航空高)を足首の負傷で欠き、故障明けのエースFW松本孝平(4年=藤沢清流高)はベンチスタート。それでも左足首負傷で離脱していた主将の附木が復帰し、今季初出場。そんななかで開始早々に先制に成功。平野佑が「点が入っていないような、0-0みたいな気持ちでした」と言えば、附木も「あまりに早くに取ったので浮き足立つことはなかった」と振り返ったように、その後も1点を守りに入ることなく果敢に攻めていった。

　前半を1-0で折り返し、迎えた後半もチャンスの連続。両サイドからパス交換で崩しにかかれば、後ろから飛び込んできた選手がドリブル突破するなど、敵陣へ切れ込んだ。後半開始6分には右サイドから仕掛けたMF大石竜平(2年=清水桜が丘高)が倒され、FKを獲得。平野佑のボールからDF遠藤裕太(4年=瀬戸内高)がヘディング弾もGKに止められる。同20分には平野佑の右CKにファーサイドの附木が合わせたが、相手守護神に阻まれた。

　すると後半25分、沈黙の続いていた早稲田大がワンチャンスを逃さなかった。左クロスが逆サイドへ流れ、こぼれを拾ったMF相馬勇紀(2年=三菱養和SCユース)がドリブルで前進し、中央へ折り返す。ゴール前へ詰めていたフリーのMF小林大地(4年=流通経済大柏高)が頭で叩き込んだ。「たまたまいいボールが来て、叩くことができました」という4年生MFの大学リーグ初ゴールが決まり、早稲田大が1-1に追いついた。

　二度目のリードを狙う国士舘大は負傷明けの松本を投入。高さあるFWを的にボールを入れるも、強風で流されてしまい思うようにつなげない。序盤から果敢に仕掛けた中盤の選手たちは、風に翻弄されるボールの対応で体力を消耗していたこともあり、足が止まり始める。松本を的につなごうとするも、セカンドボールも拾えず。エース投入のチャンスを効果的に生かせなかった。

　逆に後半終了間際には、早稲田大が決定機。左サイドから相馬がロングスロー。PA内正面の小林が押し込み、ネットを揺らすもゴール前へ詰めていた早稲田大DF熊本雄太(3年=東福岡高)のファウルを取られ、ノーゴール。ともに最後まで2点目は生まれずに1-1で引き分けた。

　試合後、国士舘大の平野佑は「勝ち点3取れる試合を勝ち点1にしてしまったイメージ」と険しい表情。「自分は大学3年間で一度もリーグ戦で早稲田大に勝てていないので、絶対に勝ちたかった。悔しい思いが強い」と唇を噛んでいた。また引き分けに持ち込み首位に立った早稲田大だったが、同校初の開幕3連勝を逃したことで、選手たちは悔しさを露わにしていた。

(取材・文 片岡涼)

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