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阪南大の鹿島内定FW山口一真の弟・拓真、注目ルーキーが見据えるは「東京五輪」と「兄貴超え」

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FW山口拓真、総理大臣杯で活躍なるか

 夏の大学日本一決定戦・総理大臣杯全日本大学トーナメントが9月1日に開幕する。関西王者として出場する阪南大(関西1)はシードのため、4日の2回戦から登場。注目ルーキーはFW山口拓真(1年=西武台高)。来季の鹿島アントラーズ入団を内定させているFW山口一真(4年=山梨学院高)の弟だ。

 ルーキーイヤーながら、今季の関西学生リーグでは開幕戦で先発デビュー。11試合中6試合に出場で2得点。総理大臣杯の関西予選にあたる関西学生選手権では、準決勝まで3試合連続ゴールを決め、優勝に大きく貢献した。活躍が認められ、8月上旬に行われたU-19全日本大学選抜選考会にも選出されている。

 とはいえ同選考会では無得点に終わり、なかなか見せ場をつくることはできず。「最初は見せようとしすぎて空回りしました。2本目になってから、サッカーは“結果=評価”だから、ドリブルでどんどんいってシュートを取ろうと思ったんですけど、ドリブルのところは良くても、最後のフィニッシュで課題が出ましたね」と悔しさをのぞかせていた。

 ルーキーイヤーの前半戦は先発も果たし、本人も納得の滑り出しかと思いきや、振り返っては複雑な表情。「ここまでは物足りないです。大学へ入ってから前期リーグでの目標は7点を決めることだった。その目標を立てて大学に入ったのに、リーグでは結果を残せなかったから」と言う。

「高校のときはFWでしたけど、今では一列後ろの左SHでやっていて、守備とかもしないといけない。自分なりにそういうのを考えすぎて、自分の個性が出せなかった。ここから出していけるようにしないといけない」

 弟は兄の背中を追う――。全日本大学選抜に選出され、すでに鹿島入りを内定させている兄・一真について、拓真は「俺的には今、大学サッカーのトップにいる一真を超えれば、俺も五輪とか夢が見えてくると思っている」と“兄超え”を誓う。

「自分の大きな目標では、2020年の東京五輪を視野に捉えているので。小さいころからサッカー選手になる目標があって、五輪に出ればサッカー選手になる夢にも近づく。自分の国で五輪がやる、こんなチャンスは二度とない。だからすごいデカイ大舞台を見据えています。だからこそ、今ではまだまだだし。まずは兄貴を超えないといけない」

 一番近いライバルである兄を超えるため、まずは練習から意識を高く取り組んでいるようで、「阪南大での練習中も、もし相手が180cmのドイツ人のDFだったら、今は抜けたけど、もっと足が届いてボールを取られていたはずだから、もっと深くしてやろうとか。そういう風に考えてやっています」と言うとおりだ。できる限りの最大限の努力をして、兄を追いかける。

「俺は阪南大に入って、ここまで伸びたのは90%が兄貴の影響だと思っているので。自分の力だけじゃなく、一真の力を借りて、アドバイスやプレーで引っ張ってもらって、いいアシストをしてもらったりして、今がある。自分で成長しているのは10%くらいかなと思うくらい、兄貴からの影響はでかいです」

 3歳上の一真を慕う拓真は「暇さえあれば兄貴とサッカーの話をしています」と笑顔をみせる。1年生ゆえに寮生活を送っているが、時折一人暮らしをしている兄の自宅へ行き、「一緒のベッドで寝たり、飯を作ってもらったりする」のだという。

 練習中に二人組を作る際はもちろん兄弟でペアになる。「基礎練習とか二人組はいつも一緒。お互いに刺激しあっています。一真も俺が点を取っていると、“うれしいけど、お前が決めるとムカつく”と言っていたので、刺激しあえていると思いますよ」。

 一足先にプロ入りという夢を叶えた兄を追い、東京五輪を見据えるルーキー。とはいえ現時点では五輪の大舞台はまだまだ遠い。すぐに控える総理大臣杯や関西学生リーグ、つまりは大学サッカーの舞台で別格の存在とならなければ、その先の道は切り拓けない。

 強い口調で“夢”を語った山口拓真は、目前の大会へ照準を合わせると「今はとにかく総理大臣杯で優勝を狙っていきたい」とより一層の力を込めた。

(取材・文 片岡涼)

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