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[関東]「苦しさはサッカーの充実を生む」王者早稲田大が今季初の連勝!!

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早稲田大が今季初の連勝を飾った

[6.1 関東大学リーグ第8節 早稲田大2-1流通経済大 AGFフィールド]

 関東大学リーグ1部の第8節が1日に行われ、早稲田大流通経済大に2-1で勝利した。前節今季初勝利を挙げた早大は2連勝。流経大はまさかの7連敗となった。

 苦しみを経験した王者が立ち直った。開幕からの6戦を1分5敗だった昨季の優勝校である早大だが、前節、6月29日の東洋大戦を3-1でものにして、ようやく今季初勝利を挙げた。

 連勝を狙った一戦。相手は開幕から未勝利を続け、同じく苦しい戦いを強いられている流通経済大だったが、前半7分にFW加藤拓己(2年=山梨学院高)の2試合連続ゴールで先制に成功。

 前半10分にMF山口大輝(4年=西武台高)に同点弾を許したが、同14分にMF西堂久俊(1年=市立船橋高)の右クロスに飛び込んだMF金田拓海(4年=神戸U-18)の今季初ゴールで勝ち越しに成功。同23分には相手がPKを外す幸運もあり、リードを守り抜いた。

 関東1部で通算27回の優勝と、他校を圧倒する歴史を持つ名門校だが、早大は昨季より指揮を執る外池大亮監督の下で、様々な改革に乗り出している。ユニフォームには早稲田大体育各部の歴史上はじめて、胸部分に企業ロゴを掲出。社会人2部リーグにチームを持つことや、部員をフットサルに挑戦させるなど多くの試みを行っている。

 ただそのことだけにフォーカスすることで、“本業”に集中しきれていない選手もいたという。そこで外池監督は4年生を中心に厳しい言葉をかけた。「やっていることは止めちゃいけない。でもそれだけじゃダメ。プロ志望の選手が本当にプロが見えているのか。就職希望の選手は部は関係ないとなったりしていないか。人生の中でア式をどう表現できているのか」と。

 そこには中心選手の精神的な成長も不可欠だった。外池監督が意識したのはキャプテンDF大桃海斗(4年=帝京長岡高)と、副キャプテンの金田の存在。大桃には「キャプテン、代わったら?」と厳しい言葉で突き放すこともあったという。だが大桃は「自分たちのために厳しい言葉をかけてくれる」と感謝として捉えている。信頼関係。外池監督も「モモ(大桃)や金田がキャプテン、副キャプテンらしくなった。そこが一番うれしい」と目を細める。

 苦しみを抜けた先に光がみえる。内容はまだまだとイレブンは口々にするが、チームはようやく勝ち方を思い出した。「苦しさはサッカーの充実を生む。こういう時間がサッカーをやる上で本質的に必要なこと。そこを忘れかけていた部分があった」。外池監督の言葉。金田も「苦しい時があったから今があると思っています」と同調するように話す。

 まだ順位で下位に沈むチームに連勝したのみと、完全復活とまではいかないかもしれない。ただ結果が出始めたことは何よりの励みになる。王者は気分よく、中断期間に入る。

(取材・文 児玉幸洋)
●第93回関東大学L特集

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