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[MOM652]順天堂大MF旗手怜央(4年)_圧巻決勝弾、そしてボランチ起用で見せた新たな可能性

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順天堂大MF旗手怜央(4年)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.17 関東大学サッカー1部第21節 順天堂大1-0流通経済大 フクアリ]

 東京五輪代表候補の順天堂大MF旗手怜央(4年=静岡学園高/川崎F内定)はこの日ボランチ起用で躍動。そして0-0で迎えた後半13分、自らの右足ミドルで勝利を手繰り寄せた。

 今節は対戦相手の流通経済大にとって敗れれば降格が決まってしまう大一番に。しかし旗手は「自分たちもインカレ(全日本大学選手権)が懸かっているし、そういった点でも自分たちのプレーをするっていうのが大事だったので。そこまで相手のプレッシャーがかかっている感じでもなかった」と平常心で試合に臨んだ。

 順位は低迷する流経大だが攻撃力は十分。順大は「失点しないことを大事に」したプレーを心掛け、試合に臨んでいく。旗手もボランチの位置でバランスを取りながら、攻守に動いていった。両者決定機を迎えることはなく、前半は0-0で折り返していく。

 すると後半13分、旗手が均衡を破る。DF栗田詩音(1年=清水ユース)のパスを受けた旗手は圧巻の冷静さ。PA手前で右足を一閃し、ゴールに突き刺した。この得点がそのまま決勝点となり、順大は連敗ストップとなる3試合ぶりの白星に。熾烈極まるインカレ出場権争いで、価値ある勝ち点3を積み上げた。

 旗手は得点シーンについて「選択肢がたくさんある中でミドルは自分が持っているもの。思い切って狙えたのが良かった」と振り返る。瞬時に自信のある右足シュートを選択し、それが今季5点目となるゴールとなった。

 ゴールで勝利に貢献した旗手だが、大学入学から得点ランク上位に名を連ねたストライカーとしての姿は今日はなく、中盤で躍動。攻守において常に首を振り続け、ピンチとチャンスを察知していく。味方がボールを奪われそうになるとリカバーの位置に素早く動き、逆に味方がボールを奪う瞬間にはパスを受けられる位置へと動いていた。

 その位置は中盤だけではなく、味方の配置を見ながら前線から最後方へとゆっくりと細かく移動。パスを受けたら瞬時に前線を見据え、ダイレクトパスでチャンスをつくる場面も何度も見られた。

 攻守の切り替えに大きく影響する中盤は位置取りも重要。「FWでもそうですけど、特にボランチは真ん中で失えば一気にカウンターを食らう。しっかりと状況を見て、相手も見つつスペースを見るのが大事だと思うので、それが自然とできていたので良かったんじゃないかなと思います」。この試合では、前線で疾走するストライカーではなく、ゲームメークに徹するボランチとしての姿があった。

 10月のU-22日本代表ブラジル遠征ではメンバーに選出されるも、出発直前の負傷が響いて悔しい思いも。「仕方ないっていうのもあるし、怪我しているのも自分の実力の無さ」と唇を噛んだ。この日にはU-22日本代表のキリンチャレンジ杯が行われており、そのメンバーからは外れることに。しかし、旗手は力強く東京五輪への思いを語る。

「現段階でベストメンバーって監督も言っていたと思うんですけど、今の段階なので。まだ(東京五輪まで)半年あるし、来年から川崎Fに入るのが決まっている中で自分自身すごくワクワクしているし、成長できるって感じている。そこの振れ幅に関してはどれくらい行くかわからないので、川崎Fに行ったときに最初からスタメンを狙えるようにしっかりやっていきたい。プロのスタートに立つのもあと1、2か月しかないので、その1、2か月でまだまだ成長できると思うので、もっともっと頑張りたいです」

 最終節では筑波大と対戦。ともに東京五輪代表を狙い、また来季からチームメートとなるMF三笘薫(4年=川崎F U-18/川崎F内定)と相まみえる。「まあそんなに気にせず」と口にしつつも「ただ、キーマンであることには間違いない」と語る。再びボランチ起用となった場合には、三笘とマッチアップすることに。「めちゃくちゃ楽しみですね。一番楽しみな試合じゃないですかね。自分の実力を試す場でもある」と眼を光らせていた。

(取材・文 石川祐介)
●第93回関東大学L特集

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