beacon

[MOM870]流通経済大DF根本健太(3年)_“日本代表”でも貴重な経験をした大型CBが躍進の鍵を握る

このエントリーをはてなブックマークに追加

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.9 関東大学L1部第2節 明治大2-2流経大 味フィ西]

 苦しい前半を無失点で折り返した後半開始早々だった。流通経済大は右サイドのCKの流れから左サイドで作り直して入れたボールが相手のクリアミスを誘発。浮き球となったボールをDF根本健太(3年=東京学館高)が押し込んで先制に成功した。

 ただその後、チームは2失点して逆転を許す。終了間際にオウンゴールで同点として勝ち点1は拾ったが、開幕連勝は逃した。「引き分けで終われたのは、次に繋がったのかなと思う」と話した根本健も、「2失点したことは自分たち最終ラインの課題。焦らず、戦おうという中で、逆転を許してしまった。次はクリーンシートで勝てるようにしたい」と修正を誓った。

■“W根本”

 上位進出へ向け、守備陣の安定が鍵を握っていることは分かっている。一昨年のリーグ戦を制した流経大だが、主力がごっそりと卒業したこともあり、昨年は開幕から苦戦。何とか残留を果たしたが、総失点はリーグワーストの54を数えた。18試合に出場した根本健も、「自分と根本泰志(3年=流通経済大柏高)を中心で守って、クリーンシートで勝てるようにしたい」と自覚を口にする。

 根本健が挙げた「根本泰志」は今季よりSBコンビを組む相方。同級生だが、昨年までは主にCチームでプレー。関東リーグでのプレーは今季からとなっている。ただ「安心感はどちらもある。隣に泰志がいるとやられる気がしない。息が合って、守りやすいと感じています」と“W根本”への手ごたえを語った。

■かけがえのない経験

 根本健自身も高校時代は無名選手だった。中学時代はジェフユナイテッド千葉の下部組織で過ごしたが、高校は東京学館高校に進学。全国大会に出場した実績はなく、高校3年生の時は千葉県1部を戦う予定でいたが、コロナ禍の直撃によりほとんど試合をすることが出来なかった。

 自身の実力を図ることが難しかったと振り返る高校時代だが、左利きのCBという特異性、さらに185cmの恵まれたフィジカルを持っていたこともあり、大学に入学してからすぐに頭角を現すことになる。そしてその名前を一躍広めたのは、22年1月に行われた日本代表合宿。代表チームに怪我人がいたことでサポートメンバーとして出場すると、堂々としたプレーを披露して周囲を驚かせた。

 当時について根本健は「スタッフに明日代表で出るかもしれないと言われたんですけど、嬉しい気持ち半分と緊張が…。前日から緊張していました」と苦笑いで振り返る。ただミスをしてもDF佐々木翔ら経験豊富な選手が優しく声をかけてくれたことで徐々に緊張も解けていったという。

「普通じゃ経験できないことをさせてもらって、J1で活躍している選手の中でプレーさせていただいて、刺激を受けました。森保監督にも得意なプレーをどんどんしてほしいと(言われていた)。温かく試合に送っていただけたおかげで、自分のプレーが出せました。これからこうして行こうということがみえたので、いい経験になりました」

■増す存在感

 大学に入ってからは積極的なプレーも出始めたという。「高校の時を振り返ると、すごく消極的なプレーばかりをしていた。大学では厳しい環境に身を置こうと思って流経大に入った。壁にぶつかることもたくさんあるけど、スタッフや仲間たちのおかげでプレーに自信がついて、今の自分があると思います」。

 部員260人の代表としてピッチに立っているという思いも、原動力になっている。「(自分自身も)関東選抜に選んでいただいたり、U-20全日本選抜に選ばれたり、責任が高まっている。流経大で先発11人に選んでもらっていることも当たり前じゃない。メンバー全員の責任を背負って戦いたい」。大学リーグで存在感を強める大型CBが、名門大を更なる高みへと導く。

(取材・文 児玉幸洋)
●第97回関東大学L特集

TOP