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[関東2部]日本一の翌年降格…駒澤大主将DF小針宏太郎「いるべきステージに戻すことが使命」1部復帰の先に自身のプロ内定があると信じて

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[10.15 関東大学L2部第17節 駒澤大0-0早稲田大 駒澤大G]

 駒澤大が首位で残り5試合の戦いを迎える。15日の早稲田大戦では相手の3倍以上のシュートを放ちながらも無得点。スコアレスドローで小休止となったが、不敗を8戦に伸ばして、2位に勝ち点4差の首位をキープした。

「守備としては決定的なチャンスも作られていたので、ゼロには抑えられましたけど、課題を感じました。でも勝ち点1を拾えたことは収穫。チームもいい意味であまり気負っていないので、さらに緊張感は高まっていくと思うけど、駒大らしいサッカーをやるだけだと思います」。主将DF小針宏太郎(4年=鹿島ユース)は終盤戦へ向けた手ごたえを感じているようだった。

 天国と地獄を味わう大学生活になっている。レギュラーを掴んだ2年時には、リーグ戦で優勝争いを経験。惜しくも準優勝に終わったが、年末の大学選手権(インカレ)では、決勝で阪南大を破って日本一を達成した。

 しかし3年生となって迎えた昨年はリーグ戦でなかなか勝てないシーズンを過ごした。夏場には総理大臣杯で3位に入賞して復調をみせたかに思えたが、リーグ戦は10位で終戦。そして入れ替え戦では東海大に0-5で完敗を喫し、10年ぶりの2部リーグ降格が決まった。

「2年生でインカレを優勝させてもらったけど、あの時は4年生が優勝させてくれた形。あまり自分が何かをしたという感じはなかった。だから3年生からチームを引っ張っていくんだという気持ちでしたが、本当に悔しい1年になってしまった。このチームは2部にいるチームじゃないと思っている。いるべきステージに戻すことが使命だと思っています」

 最終学年をキャプテンとして迎えることは自分で決めた。当然、卒業後を意識したシーズンで、デンソーカップチャレンジには関東選抜Aの一員として出場。しかし1試合の出場にとどまると、チームは5位で終了。チームに戻っても現在下位に沈む亜細亜大や作新学院大を相手に取りこぼすなど、悩ましい日々を過ごした。

 しかし6月ごろからようやくチーム力が安定。小針とDF鷹啄トラビス(4年=市立船橋高)のCBコンビを中心とした守備陣を中心に戦い方がより明確になったこと、さらに現在2部リーグ得点ランクトップタイの10得点を決めるFW鈴木心月(3年=三浦学苑高)ら攻撃陣とのかみ合わせが良くなったことが、チーム状態を上向かせた。

「優勝だったり、降格だったり、いろんなことを味わった4年間でしたが、今この順位にいるのも責任を持って4年生が引っ張っていると思うし、下級生も駒大のためにという思いでプレーしている結果。自分もしっかりと先頭に立って、今はやるだけだなと思っています」

 そしてその先に自分たちの明るい未来もあると信じている。鷹啄トラビスや10番を背負うMF小島心都(4年=湘南工科大附高)ら卒業後のプロ入りを志望する選手は多いが、現時点で決まっているのはFW松本ケンチザンガ(4年=浦和東高)の秋田入りのみだ。

 小針自身もまだ、どこのクラブの練習にも参加していないという。「夏のタイミングで行ければよかったですけど、まだどこからも声はかかっていません。でも監督にも常々言われているけど、上の順位にいればスカウトも見に来てくれると思っています」。とにかく今は駒大のためにプレーし続けること。「いるべきステージ」に導くことで、存在を知らしめる。

(取材・文 児玉幸洋)
●第97回関東大学L特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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