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[デンチャレ]京都内定のMF中野瑠馬(立命館大)が2発。前回王者・関西選抜は勝利も、得失点差で決勝届かず

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後半23分、関西選抜MF中野瑠馬(立命館大3年=京都U-18/京都内定)が決勝点となるPKを決める

[2.29 デンチャレ 関西選抜 2-1 東海選抜]

 前回王者・関西選抜は勝利も、決勝に届かず――。第38回デンソーカップチャレンジサッカー 福島大会 グループA 第3節が29日に行われ、前回大会優勝の関西選抜が東海選抜に2-1で勝った。関西選抜は、勝ち点6で並んだ関東選抜Bを得失点1差で下回り、グループ2位に。3月2日の大会最終日は3位決定戦(対関東選抜A)を戦うことになった。

 試合終了の瞬間、勝った関西選抜の選手も、敗れた東海選抜の選手もうなだれていた。グループAは第2節終了時点で4チームが1勝1敗で並ぶ混戦。最終節で目の前の対戦相手に勝利した上、得失点差を広げれば決勝へ進出できるチャンスが全チームにあった。

 前半14分、関西選抜は今大会直前までJ1京都に帯同していたというMF中野瑠馬(立命館大3年=京都U-18/京都内定)が先制点を奪う。相手の縦パスをFW鹿取勇斗(同志社大2年=桐光学園高)が引っ掛け、セカンドボールに反応した中野が「得意な形」から一気に加速。そのまま左足シュートをゴールへ流し込んだ。中野はJ1開幕戦出場の可能性もあったほど。高評価を受けている俊足アタッカーが、実力を示した。

 対する東海選抜は、MF岡島翔生(愛知学院大3年=近江高)やMF村田達哉(東海学園大3年=中央学院高)がPA脇まで潜り込み、ラストパスへ持ち込んでいた。GK波多野崇史(同志社大2年=広島ユース)の好守に阻まれるシーンもあったが、20分、右SB清水和馬(常葉大2年=静岡学園高)の縦パスを右コーナー付近で受けた岡島がDF1人をかわしてPAへ侵入。ラストパスのこぼれをMF大石真暉(静岡産業大3年=静岡学園高)が右足でゴールへ蹴り込んだ。

 追いつかれた関西選抜だったが、いずれも技術力の高いMF木戸柊摩(大阪体育大3年=札幌U-18/札幌内定)や鹿取、MF佐伯清之助(関西学院大3年=神戸U-18)を軸に多くの選手がボールに係わりながら、テンポの良い攻撃。そして、PAまでボールを運んだが、東海選抜もCB河田波大(常葉大1年=新潟U-18)が守備範囲広く守るなど、2点目を許さない。

 後半はともにメンバーを入れ替えて重心を前へ。関西選抜は投入されたばかりのFW古山兼悟(大阪体育大3年=立正大淞南高/C大阪内定)が存在感のある動きを見せる。個の力でDFを抜き去ったほか、DF背後への抜け出し、また強引な仕掛けからシュートを打ち切る。

 東海選抜もCB桒田大誠(中京大3年=暁星国際高/柏内定)が身体を投げ出してゴール前のこぼれ球をクリアしたほか、GK山口畝良(中京大3年=愛知学院大愛知高)の好セーブで阻止。そして、中央からの崩しでFW有働夢叶(中京大3年=興國高/大分内定)がシュートへ持ち込もうとするが、関西選抜はCB峰田祐哉(大阪体育大3年=東海大相模高)が身体を投げ出して阻止する。

 また、関西選抜はCB木邨優人(関西大3年=京都U-18)の力強い潰しなどでボールを奪い返し、ビルドアップ。右の大串昇平(京都産業大3年=G大阪ユース)、左の村上景司(関西学院大3年=G大阪ユース)の両SBも高い位置で攻撃に係わり、勝ち越し点を目指した。
 
 その関西選抜が均衡を崩す。後半23分、右SB大串を起点に、交代出場MF戸水利紀(立命館大3年=川崎U-18)がグラウンダーの縦パス。木戸とのワンツーでPAへ潜り込んだ中野が倒され、PKを獲得した。このPKを中野が自ら右足で決め、勝ち越し。中野はすぐにボールを拾い上げ、走って自陣まで戻った。

 勝ち越された東海選抜も押し返し、有働や左SB深澤壯太(中京大3年=大阪桐蔭高)がシュートへ持ち込んだが、関西選抜は戸水がブロックするなど集中した守り。逆に交代出場のMF杉本蓮(関西福祉大3年=京都橘高)が抜群のスピードで左サイドを攻略するなどゴール前のシーンを作り出した。だが、東海選抜のGK山口やSB清水の好守にあい、3点目を決め切ることができない。
 
 後半37分にコースを突いた左足シュートを止められた中野は、「攻撃の選手として、今日いっぱい点取らないといけないっていうのは最初から分かっていたんで、前半からずっとチャンスもあった中で、昨日は自分、チャンスを外していたし、今日もあと2点は自分が決めないといけなかったかなってのは思っています」と悔しがる。

 後半45分、東海選抜はFW長井結矢(中部大3年=静岡学園高)がハーフウェーラインをやや超えた位置からダイナミックなドリブル。PA右まで持ち込んで放った右足シュートはニアポストを叩いた。諦めずに戦ったが、追いつくことができないまま試合終了。一方、勝利したものの、決勝進出を逃した関西選抜の選手たちにも笑顔はなかった。
 
 J1クラブの日常を体感してきた中野は、2得点の活躍。前日はセカンドボールの回収で決勝点の起点になり、この日は左サイドや内側の位置で崩しに係るなど、攻守に貢献度の高い動きを見せた。ただし、細かなミスや決定力を欠いた部分があったことを反省。「試合を通して、全部パーフェクトな選手になれるようにしないといけない」と自己評価は厳しい。

 そして、「(京都のキャンプ、練習参加を通じて、)まだまだ自分は足りないところがあるなっていうのは明確に分かったんで。その反面、通用するなっていうところがあったんで、そこはこれからの1年大切にして、今年からしっかり(京都の公式戦に)関わっていけるように頑張りたい。使ってもらえるためには、やっぱりチーム内の競争にまず勝たないといけないので、日頃の大学での活動をまずしっかりやって、どこでも活躍できるような選手にならなきゃいけないなと思っています。(サポーターには)自分の運ぶドリブルだったり、得点力っていうのはやっぱり見てもらいたいなって思います」と語った。

 今大会は3位決定戦を残すのみ。中野は「今、3位しか最高で目指せないんですけど、最後の試合で、やっぱり自分が違いを見せれるように頑張ります」。この日のようにラストゲームでも、チームを勝利へ導く。

(取材・文 吉田太郎)


●第38回デンソーカップチャレンジサッカー福島大会特集
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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