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[MOM940]関西大DF吉村瑠晟(3年)_課題のスタミナ面を克服、J1クラブも関心寄せる大型左SB

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関西大のDF吉村瑠晟(3年=神戸弘陵高)

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[4.6 関西学生L1部第1節 京産大2-3関大 J-GREEN堺メイン]

 関西学生リーグ2024シーズンのオープニングゲームは劇的な幕切れとなった。2点を先行する関西大に対し、京都産業大もさすがの底力を見せて後半41分に追いつく互いに譲らぬ展開。その激戦に決着をつけたのは、DF吉村瑠晟(3年=神戸弘陵高)の圧倒的なスピードだった。

 左サイドでボールを受けた吉村が、一気に加速して相手を置き去りにし、DFラインの裏へと抜け、ゴール前へとボールをいれる。これをFW前田龍大(4年=C大阪U-18)が落ち着いて決めて関大に歓喜をもたらした。

 吉村は「追いつかれたんで、攻めに重心をおいて前に前にっていう形を意識してました。去年は体力が持たずにあんまりフル出場もなかったんですけど、今日はあの時間帯にあのスピードで行けたことは成長かなと思う」と殊勲のプレーを振り返る。練習での強度だけでなく、場面場面で考えて自分の体力をコントロールする取り組みが、大一番での結果につながった。

 この日は前半から持ち味のスピードあるプレーで相手DFラインの裏を取ったり、SHを追い越す動きで幾度もチャンスにつなげてきた。FW堀颯汰(1年=帝京長岡高)の先制点も、吉村がCKを打点の高いヘディングで折り返してお膳立てと攻撃面で結果を残したが、2失点は「後ろの選手の責任。しんどくなったときの守備がまだまだできてなかったのがわかった」と課題も口にする。

 前田雅文監督が「大学ではトップレベルの左サイドバック」と評する逸材。スピードがあり身体能力の高い181cmの左利きプレイヤーはJ1チームも興味を寄せる存在だ。高校時代は攻撃的なポジションでのプレーも経験しており、ペナルティエリアへと入り込む動きにも優れる。この日も深い位置までドリブルで入り込み、シュートを狙う場面でスタンドをわかせた。

 3月に行われたデンソーカップチャレンジの関西選抜は、怪我で直前に離脱したが、「自分の持っているものを前面に出して良さを見てもらって、注目されることは目標。もっと突き詰めて、誰にも負けないよう、輝けるよう頑張っていきたい」と力を込める。「能力もあるが、もうひとつ上に行くために、もっと成熟しないと」と前田監督が話したように、吉村自身が「目指すべき存在」とする関大の先輩・黒川圭介(G大阪)を意識する。そうなればチームを2006年以来のリーグ優勝へ牽引する存在になれるはずだ。

(取材・文 蟹江恭代)
蟹江恭代
Text by 蟹江恭代

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