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[プリンスリーグ]ライバル唖然の勝負強さ!大逆転劇のF東京U-18が全国切符(F東京U-18vs桐光学園)

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[5.16 JFAプリンスリーグ関東1部第8節 F東京U-18 2-1 桐光学園高 東京ガス武蔵野苑多目的G]

 JFAプリンスリーグ(U-18)関東は16日、1部・2部の各第8節を行い、3連覇を目指す1部首位のFC東京U-18(東京)が9位の桐光学園高(神奈川)と対戦。後半27分に先制されたF東京だったが、41分にMF武藤嘉紀が同点ゴールを決めると、43分には途中出場のMF岩木慎也が決勝FKを決めて2-1で逆転勝ちした。この勝利で1部6位以内を確定させたF東京は、今秋に行われる高円宮第21回全日本ユース(U-18)選手権への出場権獲得を決めた。

 まるで前日(15日)のトップチームの試合の再現VTRを見ているかのようだった。試合終了まで残り5分の時点で1点ビハインドだったF東京が、後半40分からの2得点で清水戦を引き分けに持ち込んだトップチームのように、敗戦目前から突如蘇る。
 F東京・三浦龍輝と桐光・峯達也の両守護神の好守もあり緊迫した展開だった試合は後半27分、肩の手術の影響でベンチスタートだったFW坂本颯の鮮やかな“ドライブシュート”で桐光が試合を動かす。F東京トップチームでの指揮経歴などを持ち、ユースチームにも数々のタイトルをもたらしている倉又寿雄監督が「(桐光の守備が堅く)先に点を取られたらキツイかなと思っていた」というF東京のピンチ。負傷した足を引き摺りながら走り回るFW菅原慶人主将ら桐光の闘争心に陰りは全く見えなかった。

 それでも、後半41分から劇的な逆転劇が始まる。F東京はセットプレーのセカンドボールから、途中出場のMF湯浅寿紀が右クロス。これは懸命な守りを見せる桐光DF陣に跳ね返されるが、「4人くらい中に入っていて決めるチャンスがないと思って」競り合いを回避し、冷静にファーサイドでこぼれ球を狙っていた武藤が絶妙なコントロールから、右足を振りぬく。するとシュートはニアサイドを破る同点ゴールとなった。F東京イレブンは、両拳を握り締めて走り出した武藤にGK三浦までが駆け寄ってゴールを喜び合った。

 敗戦を救うエース格の渾身の一撃。ただ、これだけでは終わらないのがライバルチームが“あきれるほどに”絶賛する勝負強さを備えるF東京だ。43分、チームに勝利と全国切符をもたらす「スーパーFK」が決まった。ヒーローは倉又監督から直接キッカーに指名された途中出場の2年生MF岩木だった。ゴール正面、やや距離の長い位置からのFKだったが、登録164cmの小柄なMFの右足によって撃ち抜かれたボールは鋭く変化し、ゴール左上へと突き刺さった。

 フィードのセカンドボールに対する反応で完全に相手を上回り、高い位置で攻撃起点をつくり出してビッグチャンスをつくり出した桐光。CB福森晃斗を中心とした守備でも集中力を欠くことなく今季無敗の王者の攻撃を凌いでいたが、連続失点に選手たちは顔を覆うしかなかった。その隣で喜びを爆発するF東京イレブン。これで横浜FM、浦和、東京Vの各ユースや流通経済大柏など全国トップレベルのチームが揃うプリンスリーグ関東での無敗記録が27へ伸びた。どんなに苦しい展開でもあきらめずに敗戦をドロー、そして勝利へと変えてしまう。「勝負強い」と言われるチームは他にもあるかもしれないが、これだけ試合でその「力」を発揮しているチームはF東京だけかもしれない。

 現在の3年生たちも先輩たちが劣勢を覆す試合を何度も見てきた。武藤は「(前日劇的な試合を演じた)トップが、ということはなく、自分たちはとにかく落ち着いて来たチャンスをものにしようと言っていた。自分たちは一人ひとりがあきらめることなんて絶対にない。それがきょうは結果につながった」。これに対して指揮官も「あきらめないのが、FC東京のコンセプトだということを選手たちは分かっくれている」と目を細めていた。

 全国進出を決めたチームの次の目標はリーグ3連覇。三浦は「これからも気は抜けない。2連覇で終わらせるわけにはいかない」と言い切った。ただ、先を見据えることはしない。目の前の一戦一戦を、最後まであきらめずに“F東京”らしく勝利を目指し続ける。

<写真>後半43分、決勝FKを決めたF東京U-18・岩木(右)がガッツポーズ
(取材・文 吉田太郎)

特設:プリンスリーグ(U-18)2010
特設:プリンスリーグ関東
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