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関東2部から1部昇格初年度で大学王者に輝いた専修大「攻撃的で美しいサッカー」で再び頂点へ

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 関東大学2部から1部昇格1年目でリーグ優勝を果たし、第60回全日本大学サッカー選手権(インカレ)で初出場初優勝の快挙も成し遂げた専修大の新チームが1月、始動した。

 昨年は華麗なパスワークと前線からの献身的な守備、そして高校時代は無名だった才能たちが躍動して一気に頂点まで駆け抜けた。FC町田ゼルビア入りしたMF庄司悦大やジェフユナイテッド千葉に加わったMF町田也真人ら4年生が卒業するものの、新主将のDF鈴木雄也(3年=武相高)とDF栗山直樹(3年=清水東高)のCBコンビや、全日本大学選抜に選出されているMF長澤和輝(2年=八千代高)、MF下田北斗(2年=大清水高)、FW仲川輝人(1年=川崎F U-18)、SB北爪健吾(1年=前橋育英高)の4選手、そしてインカレ4戦連発の190cmFW大西佑亮(3年=鹿島ユース)と今年も優勝メンバー7人らが残る強力な布陣。源平貴久監督は「攻撃の選手は残っている。昨年と違う形で面白いサッカーができるのではないか」と口にしていたが、チームはモットーである「攻撃的で美しいサッカー」で今年も内容、結果を残して大学サッカー界で強烈な輝きを放ちそうだ。
 
 昨年のこの時期には関東選抜Bの庄司ひとりだった選抜メンバーには今年、全日本大学選抜に4人、関東大学選抜Aに1人、関東大学選抜Bにも2人が選出された。また栗山、長澤、下田が千葉、仲川が川崎Fのキャンプに参加。結果を残したことで注目度が高まり、逆に選手たちが揃ってトレーニングできる時間は少なくなった。この後も各選抜チームの合宿、そして3月初めには選抜チームが日本一を争う第26回デンソーカップチャレンジサッカー宮崎大会、その後も全日本大学選抜の海外遠征が控えている。主力の半数以上が不在ということで他のチームよりもチーム作りが遅れることは間違いない。それでもレベルの高い環境でトレーニングしてきた選手が得てきた経験を持ち帰り、チームをさらに向上させている。

 川崎Fで12日間プレーしてきた仲川は「自分の持ち味であるパス出してゴー、とか裏へ抜ける動きとかいう部分も結構出来たんですけど、Jのプレッシャーは結構速くてトラップミスをしたら取られてしまったところもあった。本当にファーストタッチの質をもっと高めなければと感じました。今年は去年の結果(12得点6アシスト)を上回ること。マークが厳しくなると思うので、その中で自分がどれだけできるか試合をイメージしながら練習に取り組んでいかなければいけない。得点王という目標を自分の中でつくっているので、それを達成できるようにしていく」と語り、長澤は「(いろいろなところで)『専修、強いね』と言われます。でも今年ダメでした、じゃ話にならない。専修は内容も重視しているのでこだわっていきたい。(個人的には)昨年(リーグ14得点)プラスアルファできるように結果にこだわっていく」と誓った。

 19日に行った町田との練習試合では前線からのディフェンスで相手のリズムを崩し、J昇格クラブから2点を先取して2-2で引き分けた。怪我のためインカレではわずかな出場のみだったFW稲葉圭吾(2年=帝京三高)や全国で経験を積んだMF東大樹(1年=成立学園高)、MF星野有亮(1年=静岡学園高)といった選手たちが今年のブレイクを狙ってアピールを続けている。昨年は「上手くなりたい」「強くなりたい」とこだわる庄司、町田らに引っ張られて成長していった選手たちだが、自分達の武器だと感じている向上心の強さは今年も変わらない。昨年取り組んできたことを結果につなげた自信から「楽しみながら上手くなりたい」と上々の雰囲気の中でトレーニングを積み、成長につなげている。栗山は「ポテンシャルは持っている。力を発揮できれば必ずできる」。関東大学リーグ、インカレの連覇はもちろん、出場を逃した総理大臣、天皇杯での躍進も目指して戦っていく。

 大学王者として臨む新シーズン。注目選手たち個人のプレー、そして戦いぶりも視線が集まることが予想されるだけに、プレッシャーはどのチームよりもかかることになりそう。だが鈴木は言う。「自分達のサッカーを見てもらえるチャンスが増えるということですし、プレッシャーもいい意味での緊張感を感じますし、サッカー面でもサッカー以外の面でも責任ある行動をしようという風に全員で声を掛け合っています。一番の目標はリーグ優勝ですね。それ以外にも去年天皇杯も逃しましたし、総理大臣も全然絡めなくて逃しました。自分達が掲げている攻撃的で美しいサッカーを常にやるっていうことと、それを90分間いいパフォーマンスを続けるということ。そして1年間通していいパフォーマンスをすることが結果につながると思っていますし、ウチは『内容も、結果も』ということを源平監督が常におっしゃられるので、変えずにいきたい。そして昨年のようにああいう大きな舞台でみんなでサッカーをしようと言っています」と前を向いた。勝った後だからこそ、今年が重要。2年前には関東2部にいたチームは焦らず、全員で目標をクリアする。

(取材・文 吉田太郎)

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