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ストライキに揺れるリーガ・エスパニョーラ、交錯するそれぞれの思惑

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 スペインサッカー選手協会(AFE)がストライキを行う意向を発表したスペインサッカーだが、現在は各組織の思惑が交錯している状況だ。

 AFEは先にスペイン政府が可決したリーガのテレビ放映権一括販売の法令への不満をきっかけに、ストライキを起こすことを意向を発表。これを受けたスペインサッカー連盟(RFEF)は、リーガ第37節以降の予定を無期限で延期することを決定した。

 AFEがストライキを起こす理由は、多岐にわたる。今回の法令で定められたリーガ1部90%、2部10%という放映権収入の分配率に異論を唱え(ドイツは1部79%、2部21%。フランスは1部80%、2部20%)、選手たちの再就職を支援する資金繰りを名目として分配収入にAFEを含めることも要求。また今回の法令はリーガの競争力の向上よりも多額な債務を抱える各クラブの財政状況の改善にプライオリティーが置かれて可決されたが、財政省、社会保障への債務の支払いが保証されるのに対して、選手たちの受給が保証されていないことも不満とした。

 スペインサッカーは数か月前から、AFE&審判技術委員会(CTA)らを味方につけるRFEFと、スペイン政府のスポーツ上級委員会(CSD)&スペインプロリーグ機構(LFP)が対立するという構造が生まれている。そして今回のAFEのストライキは、同組合と同様にスペイン政府の法令に不満を持つRFEFのアンヘル・マリア・ビジャール会長主導とされ、そのためにRFEFによりリーガの無期限延期が発表されたものと見られている。ビジャール会長はスポーツ振興くじの収入を他スポーツのために使うCSDのミゲル・カルデナル委員長に以前から不満を感じており、今回の法令によって放映権収入の1%がCSDに割り振られ、またRFEFの分配率が要求していた3%ではなく2%にとどまったことにも納得していない。

 だが、RFEFにリーガの日程を変更する権利があるかどうかは、疑問視されている。リーガの日程はLFPが作成して、RFEFが承認するという流れで決められるが、両組織のコンセンサスなく、RFEF単独で決定権を有すことができるかは疑わしい。これについて判断を下すのはCSDとなるが、同組織がその判断において、今回のRFEF&AFEの動きをストライキと認めるかどうかで状況はまた変わってくる。これがストライキではなくただのリーグ戦の休止とみなされるのであれば、延期される第37節&最終節は後に開催されるが、ストライキと捉えられるならば労働基本権に基づき同2節は開催する必要性がなくなる。つまり今週に行われる第36節で、2014-15シーズンのリーガは終了となる可能性もある。

 しかしながらRFEFにストライキを行うことを認められたAFEは、第37節の延期だけを見込んでいるという。AFEとしてもリーガを第36節で終了させることは望んでおらず、17日に一斉開催される予定であった第37節を20日まで延期することを現実的なプランとしているようだ。一方、30日に予定されるコパ・デル・レイ決勝バルセロナ対ビルバオについては、問題の解消に依存することなく開催される予定。AFEにはどの試合でストライキを起こすかを決定する権利があり、またRFEFがCTAを味方につけていることにより、審判も自由に使えるためだ。

 一方、AFEから放映権一括販売の新法を改めるよう求められるスペイン政府は、可決された法令をただちに改正することは原則的に不可能としている。しかし将来的に改正することは可能であり、後々の改正を約束することで今回のストライキを中止させる可能性もあるようだ。

 なお、LFPとリーガ1部&2部のクラブは11日に会議を行い、AFEのストライキ及びRFEFのリーガ日程延期について、その是非や解決法を協議する予定。その場にはビジャール会長も招待されているが、対立関係にある同会長が出席する可能性は限りなく低いと見られる。一方でAFEのルイス・ルビアレス会長は、12日にLFPのハビエル・テバス会長、ビジャール会長と話し合う考えがあるようだ。

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