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「まるでマイク・タイソンに殴られたよう」ドルトCEO、トゥヘル解任決断の決定的瞬間を明かす

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ドルトムントの監督を退任するトーマス・トゥヘル監督

 ドルトムントのハンス・ヨアヒム・バツケCEO(最高経営責任者)は、トーマス・トゥヘル監督との契約を解除する決断につながった瞬間を明かした。ドイツ誌『シュピーゲル』が報じている。

 ドルトムントは先月30日、2015年夏に同クラブの指揮官に就任し、2018年までの契約を残していたトーマス・トゥヘル監督の解任を発表。同日にクラブの公式ウェブサイト上に掲載されたバツケCEOによる”公開書簡”ではその理由について具体的には触れなかったが、「リーダーとしての責任という面では、問題になるのは結果だけでない」。「信頼や敬意、チームとして意思疎通をし合い協力する能力、言葉の確かさ、帰属意識という基本的な性質、そして信頼性や忠実な姿勢も問題になる」と記されていた。

 つまり、チームを今季のDFBポカール優勝、来季に向けたチャンピオンズリーグ(CL)本選出場権獲得を得られるリーグ3位に導いたトゥヘル監督との関係において、信頼やコミュニケーション、クラブへの帰属意識といった要素が不足していたとのことだ。そして、今回の『シュピーゲル』による取材で、それら問題点が表面化し、もはや取り返しのつかない状況を産んだ瞬間が明かされている。

 4月11日、ドルトムントのチームはCLのモナコ戦前にバス爆破事件に見舞われ、試合は翌日に開催されることになった。その”事件翌日開催”に対し、マルコ・ロイス、ゴンサロ・カストロら数選手は懸念を申し出たが、同CEOによると、4回に渡って話し合ったトゥヘル監督が「このプランに対し、なんの異議も示さなかった」と強調。しかし、トゥヘル監督は2-3で敗れたその試合後には、「我々はまったく意見することができなかった。UEFAがスイスで決めたんだ。気分は良くないし、ただ無力感だけを覚えた」と怒りのコメントを残し、間接的にUEFAの決断に同意していたドルトムントの首脳陣も批判したのだった。

 それまではトゥヘル監督との契約を今夏に延長する意思を固めていたというバツケCEOだが、『シュピーゲル』の記者にその発言を「まるでいきなりマイク・タイソンに頭部を殴られた気分だった」と例え、「それで私は一気に無情なテクノクラート(ドイツ語では人間性に欠ける官僚主義者の意味も含む)と見られるようになった」とも語った。トゥヘル監督がその発言でチームと幹部に対し、離間策を講じたとしている。

 先月6日に行われたブンデスリーガ第32節、ホッフェンハイム戦当日に公開されたインタビューで、初めてトゥヘル監督との確執を認めていたバツケCEO。DFBポカール決勝でフランクフルトに敗れた場合は、自身の辞任を表明することを決めていたようだ。その覚悟について「すでにクラブの他の役員たちに話していた」と『シュピーゲル』に対して明かしている。

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