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崩壊するバレンシア、深刻なチーム弱体化で今季目標は1部残留に…第8節時点での勝ち点8は今世紀最低の成績

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崩壊するバレンシア

 スペイン第三の都市を代表するクラブ、バレンシアが喘いでいる。1日のラ・リーガ第8節ヘタフェ戦を2-2で終えて、今季成績は2勝2分け4敗に。第8節時点で獲得した勝ち点はわずか8と、今世紀ワーストを記録した。

 バレンシアはオーナーのピーター・リム氏が資金を投じることを止めたことで、極度の財政難に陥った。この夏にはFWロドリゴ(リーズ・ユナイテッド)、DFエセキエル・ガライ(無所属)、MFフェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)、MFフランシス・コクラン(ビジャレアル)、MFダニ・パレホ(ビジャレアル)ら主力選手を一気に放出したが、補強は一切なし。唯一クラブに加わったと言えるハビ・グラシア監督は、補強の約束が果たされなかったことに失望して退団に動き、契約違反を咎められて結局は残留している。

 監督、選手たちはクラブ上層部への不満を募らせており、メディアで「僕たちの目標はラ・リーガ1残留しかあり得ない」と言い放つ選手も現れた。現在、その目標は現実になりつつある。チームは第8節終了時点で、今世紀ワーストとなる勝ち点8しか獲得できず13位に位置。ここ4試合の成績は1分け3敗と勝利に見放されており、さらにMFジョフレイ・コンドグビアのアトレティコ・マドリー移籍が決定し、チームはさらに弱体化することになる。

 ただヘタフェ戦では、まだ消えかけていないチームスピリットも垣間見えている。前半、MFユヌス・ムサ(17歳338日)が昨季のMFイ・ガンイン(18歳218日)の記録を上回る21世紀のクラブ最年少ゴールを決めたバレンシアは、後半にDFティエリ・コレイラが退場となって数的不利に。その後FWクチョ・エルナンデス、FWアンヘルのゴールを許して一度ヘタフェに逆転されたが、100分に獲得したPKからMFカルロス・ソレールがシュートを決め切り、土壇場で勝ち点1を獲得。主将DFホセ・ルイス・ガジャは「勝ち点なんて関係ない。僕たちは望んでいたバレンシアを見ることができた。負けたっていいが、こういった感覚が必要なんだ。この感覚があれば、負けるより勝つほうが多くなるだろう」と手応えを口にする。

 ハビ・グラシア監督も情熱を失わずに檄を飛ばし続けるなど、チームはまだ死んでいない。が、戦力的な乏しさやクラブとチームの軋轢は明らかで、窮地にいるのも事実だ。果たしてバレンシアは今季終了時、一体どのような位置にいるのだろうか。なおハビ・グラシア監督はヘタフェ戦後、「選手たちは素晴らしい努力を見せてくれた」と満足感を表しながら、コンドグビアのアトレティコ移籍については「まったく知らず、報道で把握したことだった。会長からは彼の退団はないと言われていたよ。それでもう、十分だろう」と皮肉気味に語っていた。

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