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ドイツ代表GKエンケは移籍すべき?

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 先日のW杯欧州予選ドイツ対リヒテンシュタイン戦でドイツのゴールを守ったハノーファー96のGKロベルト・エンケ。ところが、実はハノーファーの今シーズンの失点52はブンデスリーガ最悪の数字である。もちろんエンケ自身の怪我もあり、すべての試合でゴールを守ったわけではないし、基本的に素晴らしいプレイを見せてくれている。過去2002‐2003シーズンには、スペインのバルセロナに所属していたこともある(残念ながらめぼしい活躍はできなかった)。

 彼が現在所属するハノーファー96はブンデスリーガでは、Bクラスのチームで、さらにその中でも下のほうに位置づけられてしまうチームである。つまり降格してもだれも驚かないようなチームである。現在は13位につけている。

 先日の代表戦前後に、そんなハノーファーのGKエンケがドイツ代表のゴールを守ることになり、ちょっとした議論が起こった。ドイツ代表のヨアヒム・レーフ監督がエンケを先発させることを公言した直後に、ブレーメンのアロフォスマネージャーは「どういうことなんだ?(ブレーメン所属のGK)ティム・ビーゼはUEFA杯で素晴らしい活躍をしているじゃないか?レーフ監督の決定を理解できない!」と腹を立てたそうだ。

 またリヒテンシュタイン戦でテレビ解説を務めたオリバー・カーン氏は「ドイツ代表のゴールを守るということは、No1でなくてはならない。レギュラーの座を得ようとするならば、トップクラブでプレーする必要があると思う」と移籍することがエンケの将来につながるとコメントしている。
 ドイツサッカー協会側もこの意見に同調しているようで、近いうちにレーフ監督はエンケと直接会って将来のことについて話し合いを持ちたいとしている。

 ハノーファー96のディーター・ヘッキング監督は3月30日のドイツビルド紙で「誰がどんなアドバイスをしてくれても、私はそんなことに興味ない!」と不快感も露わ。しかしながら、同チームの“ビッグボス”マーティン・キント氏は「もしそういうオファーがあり、エンケがここを出たいと言うなら、我々はきちんと話をしないといけないね。彼の気持ちも理解できるし」とコメントしている。

 過去ドイツ代表チームのゴールを守ってきた選手たちは、カーン氏やレーマン(シュトゥッツガルト)、トニー・シューマッハ氏、古くはゼップ・マイヤー氏など良くも悪くもかなり個性が強い面々がそろっていたため、エンケのようなまじめな好青年がドイツ代表でレギュラーを獲得するには、やはり大きなクラブへ移籍し、存在感を示していかないといけないかもしれない。ちなみに、ビルド紙のWEBアンケートでは、70%の人が、ハノーファーでは彼は成長できないとしている。

 エンケ、そしてブレーメンのティム・ビーゼ、レバークーゼンのレネ・アドラーと今現在この3人がドイツ代表正GKの座を争っている状況だが、エンケにとってレーフ監督や世論を味方につけるには移籍が必要な解答かもしれない。

今シーズンブンデスリーガの3人の出場数と平均採点(キッカー誌より)
※CL、UEFA杯含まず
エンケ
15試合出場 2,73点

ビーゼ
20試合出場 3,08点

アドラー
22試合出場 3,05点
 
(文 福岡正高)

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