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W杯監督インタビュー:セルビア代表ラドミール・アンティッチ

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W杯出場チーム監督インタビューの第21回目はセルビア代表を率いるラドミール・アンティッチ監督。日本ではややなじみが少ないもののタレント軍団を擁する監督はW杯でどう戦う?

―W杯南アフリカ大会は、セルビア代表にとって初めてのW杯となります。2006年のW杯で、セルビア・モンテネグロとして参加しましたが、グループリーグでは3戦3敗、ベスト32の中で最下位の成績に終わりました。今年のセルビア代表は南アフリカでどのような成績を挙げられるでしょうか?
「グループの4チーム(ドイツ、オーストラリア、ガーナ)のいずれも決勝トーナメントに進出する可能性があると思います。我々は自分達の力を信じています。セルビア代表として初めてのW杯出場であり、監督として栄誉あることだと思います。W杯で良いプレーができると信じていますし、良い成績を収めることもできると信じています。我々は旅行に行くのではありませんから」

―セルビア代表は、W杯欧州予選で非常に素晴らしい成績を収めました。全勝でフランス代表を抑えてW杯本大会出場を果たしました。セルビア代表は既にヨーロッパの一流チームの仲間入りを果たしたとお考えですか?
「今回の予選では負け知らずしたが、それは運が良かったからではありません。非常に優れた選手がいますし、トレーニングも優れています。また一部の若い選手は、ヨーロッパのユース大会で優勝を経験しています。セルビア代表はヨーロッパでも上位にランキングされるはずです。ですから我々は、今回のW杯で好成績を収めることができると思います」

―セルビア代表選手の準備の状況はどうですか。若い選手が多いようですが、彼らのプレーについてどのように見ていますか?
「セルビア代表には多くの天才的なプレーヤーがいます。例えば、イングランド・プレミアムリーグ所属のマンチェスター・UでプレーしているDFネマニャ・ビディッチはヨーロッパで最も素晴らしいCBの一人であり、これに加えてまだまだ切れ味のよいMFデヤン・スタンコビッチ、FWニコラ・ジギッチら一流の選手がいます。我々の代表チームは、強い競争力を持っています。そして世界レベルの強豪チームに、セルビアサッカーを改めて見直させたいと思っています。若い選手については、積極的にプレーして、セルビアを代表してW杯を戦う力があることを自ら証明しなければならないですね」

―セルビア代表は、W杯までの準備期間中、日本代表とも一戦を交えています。日本代表の岡田武史監督は、グループリーグを突破し、ベスト4入りを目標として掲げていますがそれについてどう思いますか?またセルビア代表が振り分けられたDグループの対戦相手については?
「日本代表が振り分けられたグループは、非常に厳しいと思います。あのグループリーグを突破するのは容易ではないでしょう。オランダ代表とデンマーク代表はいずれも手強い相手ですし、カメルーン代表にはインテルでプレーしているFWサミュエル・エトーがいます。彼は如何なる状況でもシュートを決めて得点することができる、相手にとっての『恐怖の殺し屋』です。日本代表はリズムを保った試合運びをしなければなりません。それが日本代表がグループリーグを突破できるか否かのキーポイントです。日本代表に比べれば、セルビア代表の対戦相手は若干戦いやすいと思っています。ドイツ代表は古くからの強豪ですし、オーストラリアもW杯にカムバックして久しくありませんし、ガーナ代表は競争力の高いチームだと思いますが、選手が素晴らしいプレーをできれば、グループリーグ突破の可能性もあると思っています」

―元来ユーゴスラビアのサッカーはいわゆる「ヨーロッパ・ラテン型」であり、「技術重視」であることは周知の通りですが、現在のセルビアのサッカーについて、監督はどのように位置づけていますか?
「サポーターの多くは、我々を『ヨーロッパのブラジル』と呼ぶのが好きなようです。つまりおっしゃるとおりの『ヨーロッパ・ラテン風』ということですが、今はプレーも難しく、自由にピッチを駆け巡ることができませんから、パスミスをしないよう全力を尽くさなければなりません。こうなるとラテン風のサッカーを披露する機会は減ると思います。試合の美的要素は足りないかもしれませんが、必ず素晴らしい試合をします」

(取材・文 馬徳興・傅亜雨?殘・・・・詞・・・洫

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