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ウルグアイが40年ぶり4強、ガーナは延長後半ロスタイムにまさかのPK失敗

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[7.2 W杯準々決勝 ウルグアイ1-1(PK4-2)ガーナ サッカーシティ]

 W杯南アフリカ大会は2日、準々決勝2試合を行い、ヨハネスブルクのサッカーシティではウルグアイとガーナが対戦し、PK戦の末、ウルグアイが70年大会以来、40年ぶりの4強入りを果たした。アフリカ勢最後の砦となったガーナは前半ロスタイムにMFサリー・ムンタリが先制点を決めたが、ウルグアイも後半10分にFWディエゴ・フォルランが直接FKを決めて同点に追い付く。試合は1-1のまま延長戦でも決着が付かず、PK戦の末、ウルグアイが競り勝った。ウルグアイは6日の準決勝でオランダと対戦する。

 ウルグアイは4-4-2で、GKフェルナンド・ムスレラ、4バックは右からマキシミリアーノ・ペレイラディエゴ・ルガーノマウリシオ・ビクトリーノ、ホルヘ・フシレと並んだ。中盤はエジディオ・アレバロとディエゴ・ペレスがダブルボランチを組み、右にアルバロ・フェルナンデス、左にエディンソン・カバーニ。これまで全4試合に先発してきたMFアルバロ・ペレイラではなく、フェルナンデスを初先発に起用した。前線はディエゴ・フォルランルイス・スアレスが2トップを組んだ。
 ガーナはDFジョナサン・メンサー、MFアンドレ・アイェウが出場停止。システムは4-3-3で、GKリチャード・キングソン、4バックは右からジョン・ペイントシルイサーク・ボルサージョン・メンサー、ハンス・サルペイと並び、ボルサーがジョナサン・メンサーの穴を埋めた。中盤はアンソニー・アナンがアンカーに入り、右前にクワドゥオ・アサモア、左前にケビン・プリンス・ボアテング。前線は右からサミュエル・インコームアサモア・ジャンサリー・ムンタリの3トップで、アイェウに代わりムンタリが今大会初先発となった。

 試合はウルグアイペースで始まった。ボール支配率を高め、早めにフォルランとスアレスの2トップにボールを預けてシンプルに攻撃を組み立てる。しかし、ガーナの組織的なディフェンスの前に、思うようにチャンスをつくれない。前半25分、フォルランがミドルシュートを狙うも、ゴール右へ。同26分には左サイドのスローインからスアレスがうまく体を入れ替えてPA内に進入するが、シュートはGKの好守に阻まれた。

 劣勢の展開となったガーナだが、慌てることなく反撃の時間を待っていた。前半30分、ムンタリの右CKに後方から走り込んだボルサーが頭で合わせると、惜しくもゴール左へ。同31分には鋭いカウンターからボアテングが右サイドを抜け出し、折り返しをギャンが右足ダイレクトで狙ったが、これもわずかに右に外れた。

 しかし、この切れ味鋭い速攻は、ウルグアイに脅威を与えるのに十分だった。カウンターを警戒するウルグアイの最終ラインは徐々に下がり始め、全体が間延びする。中盤のセカンドボールを拾えなくなり、試合は一気にガーナペースへ移った。

 ウルグアイはアクシデントにも見舞われた。前半30分過ぎのCKで足を痛めたルガーノが同38分にDFアンドレス・スコッティとの交代を余儀なくされる。守備の要を失い、ディフェンスはさらに混乱した。

 ガーナは前半39分、後方からのアーリークロスにムンタリが反応し、ヘディングシュート。同45分、インコームの右クロスにはボアテングが豪快なバイシクルシュートを放つなど攻勢を強めた。

 そして、前半47分、自陣でボールを持ったメンサーがギャンにくさびのパス。ギャンの落としを受けたムンタリは前を向くと、ゴールまで約35mの距離から迷わず左足を振り抜いた。ほぼ正面から狙ったミドルシュートはGKの目の前でワンバウンド。GKの伸ばした手の横をすり抜け、ゴール右に突き刺さった。

 1点ビハインドで折り返したウルグアイは後半開始からフェルナンデスに代えてMFニコラス・ロデイロを投入。ロデイロは中盤の左サイドに入り、カバーニが右に回った。

 選手交代で流れを変えたいウルグアイ。後半立ち上がりもガーナに主導権を握られる展開となったが、エースのひと振りが試合を振り出しに戻した。後半10分、左45度の位置で獲得したFK。フォルランが右足で直接狙ったボールは壁を越えて急激に右へ変化し、ゴールネットに突き刺さった。

 一瞬、鳴り止むブブゼラの音。しかし、地元・南アフリカのファンからも後押しを受けるガーナの選手は気落ちすることなく、前を向く。後半13分、ボアテングのスルーパスに抜け出したギャンが決定機を迎えるも、シュートはGKムスレラの好セーブに阻まれた。

 ウルグアイも後半18分にロングフィードからフォルランが左サイドを突破し、ゴール前にクロス。逆サイドから走り込んだスアレスが右足ボレーで合わせたが、ゴール右へ。互いに勝ち越しを目指して攻め合う激しい展開となった。

 後半26分にはウルグアイに決定機。左サイドをオーバーラップしたフシレがロデイロにつなぎ、ゴール前にスルーパス。スアレスは完全に抜け出したが、強烈な右足シュートはGKキングソンがなんとか弾き出した。

 ガーナは後半29分、インコームに代えてMFステファン・アッピアーがピッチへ。ボアテングが右サイドに回り、アッピアーがトップ下に入る4-2-3-1に変化した。ウルグアイも同31分、カバーニに代わってFWセバスティアン・アブレウを投入。スアレスがやや右に移り、アブレウを中央に配置した3トップとなった。

 後半37分にはウルグアイが相手CKのカウンターからチャンスをつくるが、最後はペレイラのシュートがゴール上に浮いてしまう。ガーナは後半41分に先制点のムンタリに代えてFWドミニク・アディアーを投入するも、互いに決め手を欠き、試合は1-1のまま延長戦に突入した。

 延長後半ロスタイム、まさかの展開が待っていた。ガーナの右サイドからのFK。ゴール前混戦からアディアーがヘディングシュートを放つと、ゴールライン上にいたスアレスが故意に手でシュートを弾く。当然、スアレスは一発退場となり、ガーナにPKが与えられた。

 キッカーはギャン。決めれば勝利は確実となる右足のキックは、しかしクロスバーに弾かれてしまう。顔をユニフォームで覆い、泣きそうになりながらピッチを引き揚げたスアレスだが、キックがクロスバーに当たったのを確認すると、表情をガラリと変えてガッツポーズを繰り返す。今度は一転、ギャンが茫然の表情。ガーナは絶好のチャンスを逃し、試合はPK戦へ。しかし、この時点で流れは決まってしまっていた。

 後攻のガーナ。1人目のギャンは今度こそしっかりゴール右上に決めたが、3人目のメンサー、4人目のアディアーがいずれもGKに止められてしまう。ウルグアイも4人目のペレイラは上に外したが、最後は5人目のアブレウが落ち着いて決め、PK4-2。ウルグアイが死闘を制し、準決勝進出を決めた。

<写真>PK戦勝利したウルグアイが歓喜のダッシュ
(取材・文 西山紘平)

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