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1・9FIFAバロンドール決定、メッシが中国誌のインタビューに応じる

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「FIFAバロンドール2011」の授賞式が9日にスイス・チューリッヒで行われ、各部門の受賞者が発表される。国際サッカー連盟(FIFA)は昨年12月5日に各部門の最終候補3名を発表。女子の年間最優秀選手賞では日本女子代表(なでしこジャパン)のMF澤穂希、女子チームの年間最優秀監督賞では同じく佐々木則夫監督もノミネートされており、日本人が受賞すれば、史上初の快挙となる。

 男子の年間最優秀選手賞「FIFAバロンドール」では、アルゼンチン代表FWメッシ(バルセロナ)のほか、スペイン代表MFシャビ(バルセロナ)、ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(R・マドリー)の3選手が最終候補に名を連ねている。中でも2年連続でバロンドールを受賞しているメッシは、元フランス代表MFのミシェル・プラティニ氏(1983~85年)以来、史上2人目となる3年連続受賞なるか、大きな注目を集めている。

 中国・タイタン社が発行するサッカー専門誌『足球周刊』の第498号(2011年11月15日)は、最終候補にノミネートされる前のメッシを取材したインタビュー記事を掲載。バロンドールを創設したフランスのサッカー専門誌『フランスフットボール』のヴァンサン・マシュノー記者がインタビュアーを務めた同記事で、メッシは当時の心境を語っている。

(以下、『足球周刊』第498号より引用)

―バロンドールについて。2011年も23人の候補者にノミネートできると思う?
「(複雑そうに笑って)12月か1月か、我慢強く待つよ。去年のように最後の3名にノミネートされたいね」

―自分がバロンドールの最有力候補だとは思わない?
「毎年繰り返して言うけど、名前が挙がるだけでとても名誉なことだよ。もちろん3年連続で受賞したらうれしいよ。この賞の重みを考えれば、その喜びはますます大きくなる。僕はバロンドールの歴史を理解している。でも、授賞式を待ってから話そう」

―お馴染みの質問をしよう。君のライバルはだれだい?
「またその話! バルサのシャビとイニエスタ、それにクリスティアーノ・ロナウド、毎年一緒だよ」

―去年の表彰式で君は緊張していてスピーチも短かった。今年は準備していく?
「準備なんてできないよ! もし僕が賞を取れたら、そのときの気持ちについて話すだけさ。いつもそうしているようにね」

―1月の表彰式ではだれが最優秀監督になると思う?
「グアルディオラで間違いないよ。2010年のモウリーニョにデル・ボスケのあと、グアルディオラは自分がNo.1だと証明したんだ。彼がふさわしいよ」

―女子W杯は見た?
「(大笑いして)ごめん。1分も見ていないんだ。そんなに興味はなくてね。もちろん、日本代表の10番(澤穂希)のプレーには驚いたよ。マルタ(ブラジル女子代表)も知っているよ。5年連続で女子の最優秀選手を取ったんだよね!」

―24歳で(3回目のバロンドールを受賞し)プラティニやクライフと同列に並ぶのは君にとって大きな喜びかい? このことで興奮を覚えるかどうか、聞かせてくれないか?
「ファンバステンもいるよ! 彼も3回、バロンドールを獲得している。もちろん、言い表せないほどの喜びだよ。この賞の価値を無視することはできないね」

―プラティニは唯一、3年連続(1983~85年)でバロンドールを受賞したプレイヤーだということは知っている?
「もちろん知っているよ。プラティニのような偉大な選手と自分の名前が並んだらこの上ない誇りだよ。僕はあと何年プレーできるかな。もしかしたら彼を越えられるかもしれないね」

 昨年8月、アルゼンチンサッカー協会はアレハンドロ・サベジャ氏の代表監督就任を発表した。地元開催のコパ・アメリカで準々決勝敗退に終わり、バティスタ前監督を解任。その後任として迎えられたサベジャ新監督はメッシをキャプテンに指名した。過去に何度かキャプテンマークを巻いてプレーしたことはあるものの、正式に任命されたのは初めて。アルゼンチン代表のキャプテンとして、メッシはブラジルW杯への道を突き進んでいる。

(以下、『足球周刊』第498号より引用)

―アルゼンチン代表の新キャプテンになった経緯を話してくれないかな。
「周りがキャプテンマークを付けるように提案して、それを受け入れたのさ。サベジャ新監督の決定なんだ。前監督のバティスタもそう要求したことがあったけど、僕はそのときは不的確だと考えた。当時のキャプテンのマスチェラーノが引き続きやるべきだと思った。今はキャプテンをやりたいと思っているよ」

―キャプテンの役割とは?
「僕はチームの出来を変えることはできない。キャプテンマークは特別なものだけど、僕とチームメイトの関係を変えるものではないね。僕らの関係はずっと良好だ。ピッチの中でも外でもね」

―パサレラ、ルジェリ、マラドーナのように偉大なリーダーになりたい?
「監督が僕にこの任務を与えたのは、僕のピッチでのプレーを認めてくれたからだ。チームメイトもそれで僕を尊重してくれる。僕は何も変わらない。他の人に指図したいからキャプテンマークを付けるわけじゃない」

―南アフリカW杯でもマラドーナのもとでキャプテンを務めた。これについてはどう思っている?
「ギリシャ戦だね。マスチェラーノがベンチだったからさ。公式戦だから名誉なことだと思ったよ。キャプテンマークには特別な意味があると感じた。キャプテンマークを付けるのはとても素晴らしい感覚だった」

―キャプテンマークを付けることでプレッシャーはない?
「そうは思わないよ。引き続き自分の最高のパフォーマンスをするだけさ」

―バルサのキャプテンは君にとってどんな意味がある?
「順序というものがあるよ。今はプジョル、シャビ、僕の前にはイニエスタ、バルデスもいる。いつか僕に回ってくるかもしれないけど、今は関心はないよ」

 FIFAバロンドール最終候補にノミネートされたメッシとC・ロナウドは、常に比較の対象となってきた。昨年12月に日本で開催されたFIFAクラブW杯で言えば、メッシとブラジル代表FWネイマール(サントス)も、その“直接対決”が注目を浴びた。世界最高のプレイヤーはだれか。答えの出ない問いは、いつの時代も変わらない。

(以下、『足球周刊』第498号より引用)

―君は最近こう言った。「マラドーナが史上最高のプレイヤーだ」とね。これを聞いたペレは君に彼のDVDを送ると言った。受け取ったかい?
「いや、まだだよ。彼の当時のプレーを見るのは楽しみだよ。彼のプレーを見たことがないから、評価はできないんだ。みんなが彼のプレーが素晴らしいと言う以上、それを信じるよ。彼がプロ生活で得た栄誉を見れば分かるよね。でもまだ彼のプレーを実際に見たことはないんだ」

―世界最高の選手がだれかという話になると、この2人はいつも議論を巻き起こす。自分もこの話題の中心になると思うかい?
「史上最高のプレイヤーになるためにサッカーをしているんじゃないよ」

―そうじゃない?
「違うよ! こういう比較には関心がないな。チームのためにプレーするのであって、称賛されるためにやっているんじゃない。褒められるのはいいものだけどね。プロ生活を終えたときに美しい印象を残せれば、と思っているよ。自分のプレーや獲得した栄誉が重視されてほしい。僕が最高の選手かどうかは、僕が考えることじゃない。みんながどう見るかだよ」

―ゴールがサッカーの快楽だ。違う?
「もちろん。ゴールするのは最高だよ。どうしてそんな質問をするんだい?」

―君は3試合ゴールをしていない(インタビューは昨年10月29日のマジョルカ戦でメッシがハットトリックをする2日前に行われた)。
「そうだよ。たった3試合さ……」

―でもみんながこのことを大事件のように話題にしている。まるで顕微鏡の上に乗せられて観察されているかのようだけど、不愉快に感じる?
「クレイジーだよ。僕はチームのためにプレーしている。チームメイトが僕を助けてくれるのと同様にね。それが重要なことで、またすぐにゴールできるよ!(土曜日にマジョルカに5-0で勝ったあと、メッシは私に3点決めたよとメールを送ってきた)」

―試合に勝ったあと、君はいつもメールを返してくれる。負けたあとは一言もない。敗戦で怒っている?
「つまり、こういうことだよ。敗戦は僕をやりきれなくさせるのさ。自分を閉ざして、人と交流したくなくなるんだ。自分のミスについて考えてしまう。たとえばセビージャ戦でPKを外したときには、何でああいう風に蹴ったんだろう。他の蹴り方はなかったんだろうか。いろんなことを思い返してしまう。特にミスについてはね。試合を振り返ってしまうんだ」

―テレビで?
「いや頭の中でさ」

 トップ選手だからこその苦悩も明かすメッシ。周囲からの期待や雑音、さまざまな重圧やプレッシャーと闘いながら、数多くのゴールを積み上げ、数々の栄冠を勝ち取ってきた。2012年1月9日。その“コレクション”にまた一つトロフィーを加え、歴史に名を残すことはできるか。世界中が、その発表の瞬間を待っている。

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