[6.13 ブラジルW杯B組 スペイン1-5オランダ サルバドル]

　大会直前には不調も伝えられていた“オレンジ軍団”のエースが、王者スペイン代表自慢の守備陣を引き裂いた。

　代名詞の3トップを封印し、守備的ととれる5-3-2のフォーメーションで臨んだオランダ代表だったが、高い位置から激しいプレスをかける“攻撃的守備”でスペインのリズムを狂わせた。攻撃では、2トップのFWロビン・ファン・ペルシーとFWアリエン・ロッベンが、つねにDFラインの背後を狙う。オランダの1点目は、その作戦が功を奏した。左サイドバックのDFダレイ・ブリントがGKとDFの間にアーリークロスを送ると、スペースに走り込んだファン・ペルシーがダイビングヘッド。類いまれなるシュートセンスを見せつけた“フライング・ダッチマン”(空飛ぶオランダ人)が、名手GKイケル・カシ―ジャスの牙城を破った。

　エースによる前半終了間際の同点弾で勢いに乗ったオランダは、後半、世界中の誰もが予想しなかった45分を演じる。20分足らずで逆転に成功。呆然とするスペインに、4年前の決勝戦(0-1)で涙を呑んだオランダは攻撃の手を緩めなかった。カシージャスがボールの処理にもたついたところをファン・ペルシーが奪って無情の4点目。代表通算得点を「45」にのばしたファン・ペルシーは、後半34分にピッチを後にした。その後、ロッベン加点し、終わってみれば5-1という歴史的大勝で、オランダはスペインへのリベンジに成功した。

　主力の高齢化と怪我による離脱。低い下馬評を覆す出色の出来で白星発進を飾ったオランダだが、まだ勝ち点3を積み上げたに過ぎない。しかし、オランダ代表最多得点記録を保持するファン・ペルシーの活躍次第では、頂も視野に入ってくるはずだ。

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